Side あなたの下の名前
塩﨑太智のことを『初期装備ニキ』と呼び始めた人は、
ほんとに天才だと思う。
だって彼、年中短パンとTシャツしか着てないもん
私とデートに行く時も、出勤する時も、いっつも同じ服
いつ見ても同じすぎて、たまにデジャヴかと思うくらい笑
パッと見だと、紅白に出てたアイドルだとは思えないよね
……うん、まぁそう来ると思ってた。
私は太ちゃんの手を取って立ち上がった
ということで、太ちゃんを連れてやって来たのは、
私が普段行ってる駅前の服屋さん
ここの服は男女問わず着やすいから人気なんよね
だけど太ちゃんはさっきからめちゃくちゃ挙動不審笑
店内に入ると色とりどりの服が目に入ってくる
私は近くにあったシャツとパンツを取って太ちゃんに渡した
しばらく試着室の前で待っていると、さっき渡した服を着た太ちゃんが出てきた
その姿は、私の開いた口が塞がらないくらい、思った以上に似合ってた
太ちゃんは鏡に映る自分を見て、照れたように首をかいた
互いに笑い合っていると、急に太ちゃんが服のタグを見る
ようなしぐさをし出した
試着室に戻っていく太ちゃんを見送りながら私は思う
たぶん彼は、『初期装備ニキ』から変わる気がないわけではなくて、 あまり服に関心がないだけなんだって
だから、私が手を引っ張ってあげるんだ
いつか『初期装備ニキ』が最強の勇者になるまで。
着替え終わった太ちゃんと合流する
カゴには、さっき試着した服一式を携えて
こうして、『初期装備ニキ』は少しだけアップデートされた
完全進化するにはまだ当分先な気がするけど笑
同じく第3位のdiciさん回でした〜
最後はsyntさんの物語です!
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。