読者の実体験をもとにしたエピソードをご紹介。ある日、大学のゼミ室で男友達から「彼女に騙されていた」と深刻な相談を受けました。浮気や借金の話かと思いきや、彼の口から飛び出したのは耳を疑うような内容だったのです。
「彼女に騙された」と落ち込む友人
私が大学生だった頃のことです。その日は午後の必須講義が教授の急病で突然休講になり、空いた時間を過ごそうとゼミの共有ルームへ向かいました。
部屋には同じゼミの男友だちがひとりだけ。普段は明るくお調子者の彼が、その日に限ってはスマホを見つめながら深いため息をついていました。
「どうしたの?」
そう声をかけると、彼は重い表情で言いました。
「ちょっと聞いてほしいことがあるんだ」
あまりにも深刻そうな様子だったため、私は向かいに座り話を聞くことにしました。
彼が語り始めたのは、最近付きあい始めた彼女のことでした。
「俺、彼女に騙されていたんだ」
突然の言葉に私は驚きました。浮気?隠し事?それともお金の問題?さまざまな可能性が頭をよぎります。
「騙されたって、どういうこと?」
そう尋ねると、彼は悔しそうに拳を握り締めながら言いました。
「俺はずっと、あの笑顔に騙されていたんだ…」
私はすっかり深刻な話だと思い込み、次の言葉を待ちました。
耳を疑った「騙された理由」
話によると、彼は先週末に彼女と初めての一泊旅行へ行ったそうです。
観光や食事を楽しみ、デートは順調そのもの。しかし、問題はホテルに戻った後に起きました。
「お風呂から出てきた彼女を見て、俺は驚いたんだ」
彼はそう言って顔をしかめました。
私はなにか重大な秘密でも発覚したのかと身構えましたが、続く言葉に思わず拍子抜けします。
「あいつ、メイクを落としたら顔が全然違ったんだよ!」
まさかの理由でした。彼はさらに続けます。
「いつもはぱっちり二重なのに、すっぴんは一重だったし、肌も全然違った。あれは詐欺だろ!」
私はしばらく言葉を失いました。
彼が大騒ぎしていた理由は、彼女のすっぴんがメイク後と違って見えたという、ただそれだけだったのです。
「男を騙そうとしてるとしか思えない」
そう真顔で主張する彼。
しかも彼は、すっぴんを見た瞬間に「えっ、誰?」と言ってしまい、その後も露骨にテンションを下げてしまったと悪びれずに話しました。
その話を聞くうちに、私の同情は完全に消え失せ、代わりに怒りが込み上げてきました。
少しでも可愛く見られたいと思って努力してきた彼女の気持ちを、この人はなに理解していない。
そう感じた私は、彼の考えに反論することを決意したのでした。
被害者ぶる友人への反論
「それのどこが『騙された』なの?」
私は真っ直ぐ彼に言いました。
「彼女は騙そうとしたんじゃなくて、あなたの前で少しでも可愛くいたかっただけでしょ」
予想外の反応だったのでしょう。彼は驚いた顔をしました。
「でも、あんなに顔が違うのは卑怯じゃないか?」
まだ納得していない様子です。私は呆れながら続けました。
「女の子がどれだけ時間やお金をかけてメイクしていると思ってるの?」
毎朝早く起きて準備し、コンプレックスを隠し、自信を持てるよう努力する。
それは誰かを騙すためではなく、自分を少しでも好きになるためであり、好きな人の前で素敵に見られたいという気持ちの表れです。
どうやら、自分の考えの身勝手さに少しずつ気付き始めたようでした。
私は最後にこう伝えました。
「本当に好きなら、すっぴんも含めて彼女自身を受け入れるべきじゃない?」
その瞬間、彼は気まずそうに視線を逸らしました。
ようやく、自分が彼女を傷つけてしまったことを理解したのです。
私の言葉に、彼は次第に黙り込みました。
友人の後悔と謝罪
しばらく沈黙した後、彼は顔を覆いながら呟きました。
「……俺、最悪だ」
詳しく聞くと、彼女は彼の態度に深く傷つき、翌朝は泣き腫らしたような目で帰ってしまったそうです。
私はため息をつきながら言いました。
「今すぐ謝った方がいいよ。本当に取り返しがつかなくなるから」
彼は慌ててスマホを取り出し、何度も文章を書き直しながら謝罪メッセージを送っていました。
その後、彼の必死な謝罪によって2人は改めて話しあう機会を持てたそうです。
最初は許してもらえなかったものの、彼が自分の無理解と失礼な言動を心から反省していることを伝え続けた結果、なんとか関係を修復することができました。
いかがでしたか?
相手の努力や気持ちを理解しようとせず、自分の理想だけを押しつけると関係は簡単に壊れてしまいます。驚くことがあったとしても、まずは相手の立場や気持ちを想像することが大切です。
本当に大切なのは見た目の変化ではなく、その人自身を受け入れ、思いやる姿勢なのかもしれません。
原案:Ray WEB編集部
ライター Ray WEB編集部