「営業終了候補店」となったコープ志染の三好洋子店長=三木市志染町西自由が丘1
生活協同組合コープこうべ(神戸市東灘区)が、赤字幅の大きい「営業終了候補店」の公表を始めて4年目になる。半年かけて収益改善の可能性を見極める制度で、過去3年間で候補とした計17店のうち8店は営業継続が決まり、9店は閉じた。地域ぐるみの買い支えや各店の努力が実った例がある一方、スーパーなどとの競争が激しさを増す中で店舗事業全体の赤字縮小は見通せておらず、試行錯誤が続く。(長尾亮太)
「店の1日の供給高(売上高)が、営業継続のために必要な目安を下回ったけど大丈夫かな?」。三木市志染町のコープ志染では、地域の住民らが日々、張り出される売上高を興味深そうにのぞき込む。
今年3月、営業終了候補店として新たに6店が挙がり、1977年から営業する志染も入った。同店の売上高はピーク時の約2割に減少。本業のもうけを示す営業利益は赤字で、売上高に対する赤字の割合が2025年度は5・3%と、コープこうべが営業終了基準とする4%を超えた。
利用を求めるはがきを組合員らへ送り、三好洋子店長が地元自治会に協力を求めた。自由が丘地区区長協議会の鷲尾孝司会長は「生活を支えてくれる店を守らなくては」と応じ、買い支えが始まった。店側も、外部委託していた作業を職員が担うようにするなど経費削減に努めた。赤字割合は4、5月とも1・9%と基準以下に収まった。秋ごろに営業継続の可否が決まる。
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コープこうべは現在、兵庫県と大阪府北部で129店を運営する。
阪神・淡路大震災後、地盤の県内には多くの食品スーパーやドラッグストアが進出してきた。広さや売り場のレイアウトが標準化された競合他社と比べ、ふぞろいなコープの店舗は運営効率が劣った。一部の店舗で売り場が複数階にまたがる構造も、「短時間で買い物をしたい」とのニーズに合わなくなったという。
25年度の店舗事業の供給高は1143億円と、1995年度(2715億円)の42%まで減った。営業利益に当たる営業剰余金は38億9千万円の赤字で、宅配事業の黒字(49億4千万円)に支えられて経営が成り立っている。
生協は店舗と宅配の両事業で収支が合えばよいとする考え方の一方、宅配の収益力を保ち続けられるかどうかは見通せないとして、19年度に店舗を閉じ始めた。「早く知らせてくれたらできることがあったのに」との声が寄せられ、23年度にコープみらい(さいたま市)に倣い、営業終了候補店の制度を設けた。
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神戸市兵庫区のコープ兵庫は、25年度に候補店となったが、営業継続にこぎ着けた。収益性を高めるため、2階の衣料品と住居関連品の売り場をやめた。外部に貸し出す計画だ。兵庫を含め継続8店は、いずれも地元の買い支えが力になった。存続を願う気持ちを持ち続けてもらえるかが課題といい、店舗事業を担う緑淳史常勤理事は「本当に大切なのは継続後」と気を引き締める。
いったん営業継続が決まりながら、再び収支が営業終了基準まで悪化した店も出ているためだ。23年度に候補店となった大谷(西宮市)と猪名川南(兵庫県猪名川町)の2店。ともに店規模が小さいコープミニで、人件費の上昇が収支を直撃した。
「1店舗でも多く残せるようにチャレンジする」。6月10日、神戸市内で開いた総代会で岩山利久組合長は強調した。候補店以外も含めた店舗事業全体の収支改善へ、変革を急ぐ。
多くの店を効率良く運営するため、広さに応じて売り場レイアウトのひな型をつくる。その際、食事メニューが思い浮かぶよう関連商品を集めて提案する。
食品ロス削減と採算性向上の両立にも努める。消費・賞味期限の商品の撤去について、従来は自宅での保管期間を考慮して「豆腐は1日前」などとしていたが、6月から当日まで延ばした。コープミニでは、肉は豚や鶏、魚はサバやサケの塩干など普段使いの商品に品ぞろえを絞る。
メニュー提案型のモデル店舗でさまざまな商品施策を試すといい、緑常勤理事は「成功事例を他店に展開して底上げを図る」と力を込める。営業を終えた店に関しては「新たに400人近くが宅配利用を始めていただいたところもある。地域で暮らしをサポートする役割を果たし続けたい」と話した。