なぜ競合は「まねきねこ」に勝てないのか? 居抜き×アプリ×コラボで回す最強の弾み車!高校生に優しくして泥酔客を囲い込め!!
この記事はPodcast「四季報読みまくって脳ムキムキRADIO」の文字起こしをベースに編集を加えたものです!
ぜひ、Podcastでも聞いてみてくださいね!
こんにちは、中小企業診断士のゆうさいです。
この番組は、私ゆうさいが四季報を読みまくって得た気づきや仮説を恥ずかしげもなく発表し、実際のところどうなのか検証していく『脳育🧠』ラジオです!
決算書と四季報からビジネスモデルや戦略のストーリーを読みとく練習としてお話ししています。
AI時代に、“すぐ答えを知る”よりも“自分で考える材料を増やしたい人”、ビジネスの仕組みをじっくり考えたい経営企画志望の若手社員や診断士志望の方に特に聞いていただきたい内容をお届けします。
今回はカラオケ業界のリーディングカンパニー、コシダカホールディングス(以下、コシダカHD)についてお話しします。
「カラオケまねきねこ」の会社と言ったほうがピンとくるかもしれませんね。
実はここ、ただの安いカラオケ屋さんじゃないんです。四季報と決算書を読み解くと、筋肉質な儲かる仕組みが見えてきました。
会社概要
事業構成と財務数値
会社名はコシダカホールディングス、証券コードは2157。
カラオケまねきねこを運営する日本最大のカラオケチェーン運営会社です。
創業は2000年、上場は2007年。
時価総額は約1,020億円で、1,000億円の大台に乗せている業界のリーディングカンパニーです。
事業の顔を一言で言うと「カラオケ最強一本道」でしょう。
連結事業の構成は、非常にシンプルです。
カラオケ事業:売上の97%(利益率18%)
不動産管理:約2%
その他:約1%
店舗数は業界地図ベースで646店舗。
2位の第一興商(DAMの卸元、ビッグエコー運営)の506店舗に大きく差をつけて圧倒的な首位です。
ここの本当の凄さは、サービス業とは思えない圧倒的な利益体質にあります。
売上高は825億円(予想)
営業利益は130億円(予想)で
営業利益率は15.76%という水準です。
業種平均が6.3%程度なので、競合の倍以上稼ぐ効率性を誇っています。
経営効率を示す指標もすこぶる優秀です。
ROE(自己資本利益率)は24.2%。
日本企業の目標とされる8%から10%を大きく上回っています。
PER(株価収益率)は11.8倍で、業種平均の27.5倍と比較すると、この好業績なのに意外と割安に放置されているともいえます。
四季報が語る、攻めと効率化の同時進行
四季報のコメントを見ると、企業の野心が明確に見て取れます。
JOYSOUND直営店の買収で約70店舗を上乗せし、新店も100店舗目標と超強気。
既存店の客数が増え、単価も維持できている。
買収した店舗でも屋号は維持しつつ、裏側の仕入れや管理を共通化してコストを下げる戦略を取っている。
一方で、かつて手掛けていた温浴事業(スーパー銭湯)は売却し、カラオケへの選択と集中を完了させました。
つまり、「攻め」と「効率化」が同時に進んでいる、極めて筋肉質な状態になっているんです。
こうして四季報数値や会社概要を見て、昔のことを思い出しつつ2つの仮説が浮かんできました。
仮説のコーナー:ビジネスモデルの真の仕掛け
仮説1:持ち込み自由は「優しさ」ではなく「固定費削減」
私が高校生の頃、「あ、まねきねこ、めちゃめちゃ店舗増えたな」と感じた記憶があります。
その時何が起きたのかを思い出してみると、まねきねこは持ち込み自由を広めたカラオケ業態だったんじゃないでしょうか。
コシダカは単に「顧客に安く楽しんでほしい」から持ち込み自由にしたわけではないはず。
真の目的は、厨房スタッフの人件費削減と、食材廃棄ロス(変動費・リスク)のカットにあるはずです。
結果として、損益分岐点を劇的に下げ、競合他社が撤退するような立地でも利益が出る「ローコスト体質」を完成させたのではないかと思いました。
仮説2:高校生無料は「未来の泥酔幹事」を救うための壮大な先行投資
なぜ高校生をほぼ無料にしてまでアプリを入れさせるのか。
それは大人になった時の2次会を独占するためではないでしょうか。
飲み会の2次会では、新規会員登録なんて誰もできません。その時、選ばれるのは全員がすでにアプリを持っている店です。
つまり、高校生の室料を極端に下げる「ZEROカラ」はボランティアではなく、将来彼らが社会人になり、幹事として店を選ぶ瞬間に「まねきなら皆アプリ入ってるし、面倒がないからそこでいいか」という消去法的な勝利を掴み取るための、壮大な先行投資ではないかと考えました。
これは単純な一例に過ぎませんが、長く付き合える顧客を若いうちから圧倒的な安さと店舗数で囲って、生涯顧客価値(LTV)の最大化を目指しているのではないでしょうか。
検証のコーナー:居抜き×アプリ×コラボの弾み車は止まらない
検証1:なぜ「居抜き」が最強なのか? 数字で見る驚異の投資効率
事実として、コシダカHDの強さは徹底した「居抜き出店」にあります。
レポート(日本ベル投資研究所のアナリストレポート参照)から、投資効率の強さが数字で見えてきます。
30ルームくらいの中型店を作る場合、新築だと数億円かかるところ、居抜きなら1億〜1.5億円で済みます。
既存設備の活用などにより、だいたい3分の1から4分の1のコストで出店できる、という感覚です。
さらに凄いのが回収期間で、年商1億円・営業利益率20%くらいの店を作って、1年半から2年で投資回収できるモデルになっています。
一般的な飲食店の投資回収が5年から7年と言われる中で、これは異常に速いです。
ただ「判断が早すぎるのでは?」という疑問に対しては、会社としての規律がセットで走っています、というアンサーができます。
統合報告書には「3年回収を徹底する」と明記されているんですね。
つまり、理想は1.5年で回収できるポテンシャルを持ちつつ、悪くても3年で回収できない場所には出店しない、という鉄の掟があるわけです。
検証2:1,700万人が回す「成長の弾み車(フライホイール)」
事実として、アプリ会員数は2025年8月末時点で1,700万人を突破しています。
業界2位に5倍以上の差をつけて独走している、というデータです。
ここは「弾み車(フライホイール)の法則」が機能している、と整理すると理解しやすいです。
弾み車の法則とは、ビジョナリーカンパニー2にも紹介されている概念で、施策が車輪のように好循環をもたらすといったイメージで説明されます。
一つ一つの施策を単発で打っていくわけではなく、連鎖を狙ってより巨大なビジネスを作っていこう、という考え方ですね。
私が考えるまねきねこ版の弾み車は4ステップです。
1つ目は会員基盤の拡大です。
高校生無料(ZEROカラ)などで会員を爆発的に増やす(高校生の50%が会員)という入口を作っています。
2つ目はLTVの最大化です。
ZEROカラを使っていた高校生(単価約500円)が大人になると客単価が約3倍の1,500円に跳ね上がる、という変化が示されています。
実際に、顧客の約7割が10代〜20代(10代23%、20代43%)です。
昔からの常連が歳をとったのではなく、常に新しい若者を大量に取り込み続けているのです。
さらに恐ろしいのが、アプリの「25歳以下限定」プランです。
一度退会すると二度と戻れない設計にすることで、辞めるのがもったいない心理を作り、社会人になっても顧客化する戦略が仕掛けられています。
つまり、若者を大量に取り込みまくり、顧客愛顧を高め、10年スパンで利益をもたらし続ける顧客に育成させる、という仕組みが出来上がっているのです。
3つ目はドミナント出店で、固定客がいるから強気に店舗を増やせる、という因果です。
固定客がいて、それがアプリ会員だからこそ、来客数の予想や単価の予想が立てやすくなります。
どのような立地でどのような戦略をとれば投資回収を早めることができるのか、シミュレーションも容易になっていくでしょう。
4つ目は利便性の向上です。
まねきねこがどこにでもある状態になり、さらに会員が増える、という循環が回ります。
結論として、最初は重かった車輪が猛烈な勢いで回転し、他社が追いつけない間接的ネットワーク効果を生んでいます。
検証3-1:「コラボカフェ」のビジネスモデルを個室に移植した
単価の維持は単純な値上げというより「推し活消費」を取り込むことで説明しやすい、という整理になっています。
この推し活需要の取り込みでやっていることはコラボカフェと同じです。
オリジナルドリンク注文でコースターがもらえる、いわゆる特典商法です。
ただしカフェと違うのは、カラオケは騒げる個室であることです。
カラオケで推し活を行う、というのは突如生まれた文化ではありません。
背景として、mixiオフ会の時代から、カラオケボックスでアニメや特撮ソングを歌う文化は10年以上前からありました。
まねきねこはカラオケをファンが集まる場所としての機能に目をつけ、公式にアニメ・ゲームとコラボすることで、ただのオフ会を「公式イベント」に昇華させています。
受動的にドリンクを飲むだけでなく、仲間と映像を見ながらペンライトを振ったり、歌ったりして盛り上がれるので、能動的な参加型エンタメとしての体験価値(コト消費)が作れます。
したがってコラボは単価のためというより"集まる理由"を公式に供給する装置のように見えます。
コラボの結果として部屋が埋まりやすくなり、コラボドリンク等が注文され単価向上にもつながる、という因果が発生しているのではないでしょうか。
検証3-2:E-boというオリジナル機種で新たなエンタメ展開&カラオケ機材のレンタルフィー削減
まねきねこは、近年E-boというオリジナルカラオケ機種を開発し、提供しています。
このE-boで、新たなエンタメ展開が示されています。
WOWOWが見れたり、ゲームができたり、本人と一緒に歌えたりといった機能があり、まだ機能は限定的ですが拡大の余地があるように見えます。
もう一つの論点が、カラオケ機材のレンタルフィー削減です。
個室の用途を拡張して稼働を取りにいきつつ、コスト面でも効かせていく、という二つの狙いが同居しているのがポイントのように見えます。
おわりに
まねきねこは「安いカラオケ屋」ではなく、居抜きで投資効率を極端に上げ、規律(3年回収)で守りを固める会社に見えてきました。
高校生を無料で囲い込み、
10年がかりでLTVを回収する弾み車を回しつつ、
E-boやコラボで個室の用途を拡張して稼働と粗利の両面を取りにいく、
という全体像です。
ということで、コシダカHDの今後の見どころは値上げではなく、用途開発×囲い込み×出店効率がどこまで回り続けるか、だと思います。
今後もコシダカHDの成長に目が離せませんね!
PodcastはSpotify、Apple Podcast、Amazon musicで毎週火曜7時に配信中!
ぜひ音声でもお楽しみください😊
👇Apple Podcast
👇Amazon music




コメント