「『ハイキュー!!』全巻を読み込ませている」――東宝がアニメグッズの監修にAI活用、他作品にも拡大へ
「『ハイキュー!!』の全巻を読み込ませている」――アクセンチュアの戸賀慶氏は、東宝がアニメのキャラクターグッズの監修に活用するAIについてこのように説明する。
東宝はこのほど、アクセンチュアと協力し、IPを活用した商品の監修にAIシステムを導入した。同システムの詳細や展望について、6月25~26日に開催されたイベント「AWS Summit Japan 2026」の講演に登壇した戸賀氏と東宝の田中亮史氏が語った。
「このせりふ、原作のどこにある?」をAIが検索
IPを活用した商品の監修では、商品そのものや広告が原作の世界観に沿っているか、表現や権利、品質などの観点で確認する。
東宝ではこれまで、監修における多段階のチェックを人の手でこなしていた。一方、手掛ける作品の数や規模が拡大するなかで人材不足が深刻化しており、アクセンチュアの支援のもとAIシステムを導入した。
このシステムでは、自律的にタスクをこなすAIエージェントが、商品案についてデザインやコピーライトなど50以上の項目で確認する。各項目に特化した複数のAIエージェントが連携する仕組みで、タスクの性質に応じてベースとなるAIモデルも切り替えられる。
AIシステムの基盤には、米Amazon Web Servicesのクラウドサービスを利用した。アニメのロゴや登場するキャラクターの設定情報、原画、原作の画像などもデータとして格納しており、AIエージェントがチェックの際に参照できる仕組みだ。
業務フローとしては、制作会社の依頼を受けると、AIシステムが商品案の1次チェックを実施した後、人間が2次チェックに入る。講演では、マンガ原作のアニメ「ハイキュー!!」のキャラクターイラストとせりふがプリントされたTシャツの事例を紹介した。
「マンガの全巻を読み込ませているため、Tシャツに使われたせりふが何巻のどのページに出てくるか、AIが自動的にピックアップする。この候補をもとに人間が確認するヒューマン・イン・ザ・ループの仕様になっている」(戸賀氏)
「ブランドの価値を守る門番に」
東宝の田中氏は、AIシステムの導入について「最終的には人の目でチェックして、さらに価値のあるものをユーザーに届けることが最大の目的」と強調する。監修の品質を保ったまま作業速度を上げることで「違法商品」の対策にも役立つとの考えを示した。
「世の中には、正式な許諾を得ていない違法商品も多く流通している。違法商品をユーザーに届けることは、われわれの本意ではない。そういった意味で、このAIシステムは『ブランドの価値を守る門番』といえるのではないか」(田中氏)
海外向け商品の監修でもAIシステムの導入を目指しており、4月から機能の追加などに取り組んでいる。今後、ハイキュー!!以外に東宝が管理するIPにも展開していく方針だ。
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