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竹谷と深夜のコンビニに行く(夏)/Novel by 小豆*7/5星願

竹谷と深夜のコンビニに行く(夏)

2,000 character(s)4 mins

 
そして深夜に洗濯機を回した。 
 
 
 
7/5 のイベントは、竹谷夢本予定です。  
 
感想をいただけると嬉しいです!
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「あ」

空になったチューハイの空き缶をシンクに置き、追加を取ろうと思って冷蔵庫を開けたら残りはもうひとつも無かった。それならと冷凍庫を開けたら、アイスも無かった。
無いなら終わりにしろという話ではあるが、無いと言われるとほしくなるのが人間のサガだ。

「は~ち~」
「おー、どうした?」
「チューハイもう無かったから買ってくるねぇ」
「おー……は?!」

Tシャツ短パンの部屋着ではさすがに少し寒いだろうかと思い、ソファに雑に置いてあったパーカーを羽織る。彼シャツならぬ彼パーカー。お尻まですっぽり隠してくれるそれは、ほんのり八左ヱ門のシャンプーの香りがした。

「待て待て待て待て」
「なぁに? ほしいものがあったらメッセージ送ってくれれば買ってくるよ」
「そうじゃない待て、その格好で行くのか?」
「うん? あ、パーカー借りるね」
「そうじゃないバカ、今は何時だ?」
「11時半」
「夜のな。こんな時間に一人で行かせるわけないだろう!」
「着いてきてくれるの?」
「当たり前だ!! あとズボンは長いやつに履き替えろ!」
「えー、めんどくさい」
「ダメだ、じゃなきゃ留守番だ」
「ちぇっ」

こうなった八左ヱ門はテコでも動かないので、渋々長いスウェットに履き替えた。ちょっとダサいかも。オーバーサイズのパーカーに短パンなのがかわいいのに、と思ったが、これを言うとまた怒られそうなので心の中で留めておいた。
小さいトートバッグに財布とエコバッグを入れる。玄関ドアにかけてある鍵も取って、しっかりと鍵をかけてからぽいっとバッグに投げ込んだ。鍵につけるにしてはやや大きめのマスコットがこちらを見ている。

「ちゃんと鍵閉めたか?」
「閉めたよー、八左ヱ門のうちなんだから自分で閉めなよ」
「いや、俺には大役があるから」
「なんの?」

見上げながら疑問をぶつけると手に持っていたトートバッグがするりと奪われ、空っぽになった手にはバッグの代わりに八左ヱ門の大きな手が滑りこんできた。

「大役、だろ?」
「たしかにとんでもない大役だね」



「それも買うのか?」

買い物かごを手にした八左ヱ門が声をかけてくる。
深夜のコンビニってどうしてこんなに楽しいんだろう。昼間ランチを買いに行ったときには気にならないものが、深夜だというだけでほしくなる。あちこちの『新商品』のポップは目に毒だ。

「買う、んん……いや、我慢する!」
「おお、偉い。そんな偉い子にはアイスを二つ買う許可が出ます!」
「やったー!」

甘やかされているな、と思う。思いつつも、定番のアイスと新商品のアイスをかごに投げ込んだ。かごの中を覗き込むと、八左ヱ門のらしいビールが数本と、チューハイが二つ入っていた。チューハイのパッケージには『限定』の文字がでかでかと書かれている。

「ブルーハワイ味と冷やしパイン味?」
「夏限定だって。好きだろ、こういうの」
「さっすがよくわかってる~」
「まあね。何年お前の彼氏やってると思ってるんだ」
「もうすぐ三年かな」
「あっという間だなあ」

いけない、深夜だからってコンビニで感傷的になるところだった。
お会計を済ませ、店を出る。いくつかの缶とアイス、それからお菓子が入ったエコバッグは八左ヱ門の右手に。トートバッグは中に八左ヱ門のビールがひとつ入り、私の左手に。そして私の右手は八左ヱ門の左手におさまった。今度は私が、八左ヱ門のビールを運ぶ大役を仰せつかった。


深夜の外出ってどうして楽しいんだろう。街灯に照らされた道は暗くて心もとないのに、なぜか気持ちは前向きだ。それはたぶん、隣にいる八左ヱ門のおかげだろう。
人も車も通らないのをいいことに、狭い道の真ん中を歩く。

「夜は涼しいねえ」
「ズボン履き替えてきてよかったろ」
「えー、ちょっとダサくない?」

あ、言わないでおこうと思ってたのに言っちゃった。

「こら! ダサいとかじゃないだろ、そんな、そんな、生足出して外に出ようとするなんて!」
「はち、おじさんっぽい~」
「そういう話じゃない!」

きゃっきゃ、と笑い合いながら歩く。楽しい気持ちがあふれて、気付いたら足はスキップをしていた。手を繋がれた八左ヱ門も、大きく腕を振る私のスキップに引っ張られるようにしてステップを踏む。

「待て待て待て、ビール! 炭酸入ってるから!!」
「そうだった!あはは! まあなんとかなるでしょ!」
「ならないだろ~!」

八左ヱ門と二人で歩く誰もいない深夜の道は世界に二人だけみたいだ。スキップをしながら、寝ている近所の人にごめんなさい、と心の中で謝ってみた。



「はち~、この新商品のアイスおいしいよ、一口食べる?」
「食べる、ビール開けるからちょっと待っ」
「あ」
「あ? あ、あ、あーーーーーっ!!!!!」

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  • .3月@7/5星願
    Jun 4th
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