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2021年5月の記事

2021年5月31日 (月)

機関車の構造及理論:中巻(その375)勾配に関する術語と解説

4.勾配に関する術語と解説

勾  配
  水平距離に対する高低垂直の比。

上り勾配
  前進方向に上りたる勾配。

下り勾配
  前進方向に下りたる勾配。

標準勾配
  線路上1キロメートルを隔てる2点間を結ぶ直線の勾配中、最急なるもの(運転取扱心得によるもの)。

最急勾配
  ある区間中における最急なる勾配。

査定勾配
  牽引定数査定上に採用のもの。

仮想勾配
  加速抵抗を勾配抵抗に等しく考えたもの。

換算勾配
  曲線路における曲線抵抗と勾配抵抗との和を勾配に換算せるもの。

惰行勾配
  列車の惰力を利用すれば上り得る勾配。

反向勾配
  上り勾配と下り勾配とが交互に存在する勾配。

勾配(‰)
  勾配「ミリ」という(千分率:パーミル)。

 

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2021年5月30日 (日)

機関車の構造及理論:中巻(その374)抵抗に関する術語と解説

3.抵抗に関する術語と解説

列車抵抗
  列車の進行を妨げんとする抵抗力の総称。

走行抵抗
  列車が平たん直線路を運転する場合の抵抗。

出発抵抗
  停車せる列車が出発せんとする時の抵抗。

勾配抵抗
  列車が勾配線を上るときに地球引力により起こる抵抗。

曲線抵抗
  列車が曲線路を通過するとき車輪とレールとの間に生ずる摩擦抵抗。

加速抵抗
  列車の加速に起因する抵抗。
  速度を増加するために余分に要する牽引力。

機械抵抗
  シリンダーの出力が動輪周に伝わるまでの間に生ずる抵抗。
  (機関抵抗とも称される。)

 

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2021年5月29日 (土)

機関車の構造及理論:中巻(その373)率、効率に関する術語と解説

2.率、効率に関する術語と解説

機械効率
  シリンダー力と動輪周牽引力との比。

缶 効 率
  理論上の蒸気発生量と実際蒸気発生量との比。

燃 焼 率(力行燃焼率)
  力行運転中において、火格子面積ごと平方メートルあたり毎時間の平均石炭燃焼量(キロ)。
  (単に燃焼率と称する場合は力行燃焼率をいう。)

全燃焼率
  列車運転時間に対し、火格子面積ごと平方メートルあたり毎時間の平均石炭燃焼量(キロ)。

蒸 発 率
  伝熱面積ごと平方メートルあたり毎時間の平均蒸気発生量(キロ)。

牽引効率
  機関車牽引定数と実際輸送両数との比。

 

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2021年5月28日 (金)

機関車の構造及理論:中巻(その372)力に関する術語と解説

第3章 運転術語

 機関車運転を主とした術語は舶来語、日本語または舶来語の直訳、意訳等種々あり、同一意味の事柄を数種の術語をもって言い表される場合が少なくない。この不便を除くため、運輸局運転第一課では標準たるべき運転術語を統一し、一般に使用する事になった。

 すなわちこれらを大別すると力、率および効率、抵抗、勾配、速度、取扱い、寸法および重量の7項に分かれ、さらにこれらを細別すれば次のごとくなる。

1.力に関する術語と解説

牽 引 力  
  機関車自身およびこれに連結せる車両を牽く力。

指示牽引力  
  機関車の構造による牽引力で、機関車自身の抵抗を考えに入れない場合の牽引力。

シリンダー力 
  シリンダーの大きさによる指示牽引力。
  シリンダー内に発生した牽引力が動輪周に伝達するに当たり、途中少しの損失もないものと仮定した場合の牽引力。

動輪周牽引力
  シリンダー力から機械抵抗を減じたもの。
  シリンダーに発生した牽引力がピストン、クロスヘッド、クランク等を経て動輪の周りにおいて発生する牽引力。

粘 着 力
  動輪とレールとの間の摩擦力により、動輪周において発生する指示牽引力。

汽 缶 力
  缶で発生する蒸気量に応じてシリンダー内に発生する指示牽引力。

有効牽引力
  指示牽引力より機関車の走行抵抗を減じたもの。

引張棒牽引力
  指示牽引力より機関車自身の各種抵抗を減じたもの。
  有効牽引力の一般的なもの。

加 速 力
  有効牽引力より牽引車両の走行抵抗を減じたもの。
  列車の加速に利用し得る牽引力。

缶 圧 力
  缶で発生する蒸気圧力(特に明示せざる場合は常用圧力を示す)。

平均有効圧力

  シリンダーに供給された圧力蒸気のうち、有効に作用した部分を平均したもの。

 

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2021年5月27日 (木)

機関車の構造及理論:中巻(その371)車両動揺の測定(3)

(2)車両の衝動

 車両動揺の中には衝動なる現象が認められるが、これは前後動揺の極端なるものである。

 物理学においては物体の位置が変わらないと見なせる短時間内に、速度または角速度の変化の起こる現象を、衝撃または衝動と定義しているが、車両においても発車または停車のとき、前後車両間に速度の差を生じて衝動が起こる。

 車両間には連結器にバネ装置があって衝動作用をするが、前後車両間の速度差大なる時は、弾性体が衝突の際に起こるごとき衝動現象起こり、車体が大なる衝撃作用を受け、乗客に対してもはなはだ不快の念を抱かしむるものであるから、この量をも測定する必要の生ずることがある。

(3)構造部分の相対運動

 車両は種々の運動部分より成っているが、その個々の運動状態を測定する必要が起こる。例えば主台枠と台車との関係、担バネの伸縮状態、連結器の伸縮状態等を測定する事である。

 かくのごとく車両構造部分の相対運動状態を、運転中測定するには相当の困難を伴うものであるが、特殊の記録装置により滑車、ピアノ線等を利用し一般に測定される。

 

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2021年5月26日 (水)

機関車の構造及理論:中巻(その370)車両動揺の測定(2)

(1)車両の振動

 一質点 Pが一定の角速度 Wをもって円周上に円運動を成す際、円の任意の直径上における P点の正射影 P'点の運動を単一弦運動(Simple Harmonic Motion)と称するが、これは最も単純なる振動を表すもので、その振動例図は第335図のごとくである。

335_20210501223801

 この単一弦運動に対する「動き」の状態を数式で書くと

P509_20210501223801

となり、変位が時間に対し正弦曲線(Sin Curve)にて表される運動である。この極大値、すなわち Aを振幅と称し、動きが+Aより-Aまで変化する。Tを振動の周期と称し、時間(t)が次々に Tだけ経過するごとに同じ状態を繰り返すものである。すなわち周期は波形の山の頂上から、次の山の頂上までの時間(谷から次の谷までの経過時間でもよい)を測ればよい。

 また、山の高さと、谷の深さの和は振幅の2倍を表しているもので、動きの極端から極端までの距離であるから、これを全振幅を称し、物理学上に定義する振幅(A)と区別している。

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 ふつう車両に起こる振動は極めて複雑であるから、次のごとくして振動や周期が求められる。第336図において Aなる波は一周期の4分の1を描いているから、A'B'の時間の4倍が周期となり、AA”なる距離は全振幅である。次に前記(93)式にて示される動きの加速度は次式で示される。


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 故に振動加速度は振動の振幅に比例し、振動周期の自乗に逆比例し、その極大値は

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にて表される。しかして振動加速度の周期は振動の周期と一致するものである。

 従って振動加速度計の記録から振動振幅 Aを求めるには、振動加速度波の振幅を aとして、周期を Tとして次式により求めることができる。

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 故に振動計も振動加速度計も、共に同じ役目をするものであるから、振動の大小のみを比較する場合には振動振幅どうし、または振動加速度どうしにて、そのまま比較して良いが、振動の振幅と加速度とは直接比較し得ないから、(95)式のごとくして換算して同一単位と成し比較しなければならぬ。

 現在、車両用振動計として一般に使用されている大森式、ハラド式等は振動計に属し、石本式、ケンブリッジ式、研六式、梅北式等は振動加速度計に属するものである。

 これらの測定器はいかに精密に作製されても、その機械自体の固有振動を有するものであるから、車両の真の振動を表さずに、自己振動と、車両振動との合成されたものを表すことになる。

 故に極めて精密を要する場合には、機械自体の自己振動を考慮しなければならぬが、一般には機械自体の自己振動は小さいものであり、且つ極度に減衰されるごとき構造とされているので、自己振動を考慮の中に入れないのが普通である。

 

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2021年5月25日 (火)

機関車の構造及理論:中巻(その369)車両動揺の測定(1)

3.車両動揺の測定

 車両の動揺が車両自体に対してはもちろん、線路の保守ならびに客貨待遇上にも、はなはだ好ましからぬ結果をもたらす事は前述のごとくであるから、これが大小を測定し、改良上の資料とする事は必要なことである。

 すなわち車両製作上より言えば、その構造部分をいかにしたら最も良いかを考え、また運転取扱い上より言えば、車両の構造ならび線路の状態に対して、いかなる運転が合理的であるか、あるいは線路の保守上より言えば、いかなる保守が車両動揺上、最も好結果を与えるか・・・等を研究するため測定が必要になってくる。

 しかして車両の動揺は、その測定する目標により大体次の3つに区別して考えることができる。

 (1)車両の振動

 (2)車両の衝動

 (3)構造部分の相対運動

 

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2021年5月24日 (月)

機関車の構造及理論:中巻(その368)機関車動揺の原因

2.機関車動揺の原因

 上下動、前後傾斜動揺、左右動等はレールに対する衝撃、担バネのたわみ、車体のたわみ性等から起こる動揺で、複雑極まるものであるが、前後動および蛇頭動は往復部分の不釣合いによる惰力や、タイヤ踏面の勾配を成している事によって生ずる動揺である。

 左右傾斜動揺は、滑り棒に作用するピストン圧力の垂直分力、レールとタイヤフランジの横圧等によって生ずる動揺である。なお滑り棒に作用する垂直分力は、前後傾斜動揺にも関係を及ぼす。

 これらの動揺は機関車の運転によって必然的に起こるものであるが、設計に注意して相当の補正を講ずれば、かなり軽減し得るものである。機関車の動揺は乗り心地を悪くし、機関車全体に弛緩、亀裂等を誘発しやすく、軌道に対しても、悪影響を与えるから、できるだけ動揺軽減の方法を講じなければならぬ。

 すなわち

 (1)往復部分重量の釣合を良くすること。

 (2)バネ装置は担バネのごとく、重ね板バネ式で摩擦のあるものを用いること。

 (3)釣合梁を装置とし、重量配分の均一を図ること。

 (4)機関車設計としては、シリンダー中心間隔の縮小、車輪配列等を考慮すると共に、機関車重心は許し得る範囲で高くすること。

 以上のほか、軌道を整備すること、ならびに加減弁の開閉やブレーキ等の取り扱いに注意することも、また動揺軽減に有効なる方法である。

 

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2021年5月23日 (日)

機関車の構造及理論:中巻(その367)動揺の種類

第2章 機関車の動揺

1.動揺の種類

 機関車は運転中、極めて複雑なる動揺を成すものであるが、これらの動揺を解剖して次のごとく大別することができる。

 前後動・・・前後の方向に生ずる動揺。

 左右動・・・左右の方向に生ずる動揺。

 上下動・・・上下の方向に生ずる動揺。

 左右傾斜動揺(ローリング)・・・前後方向の中心線を軸として生ずる回転動揺で、車体の右側が下がって左側が上がり、あるいはその反対に動揺するもの。

 前後傾斜動揺(ピッチング)・・・横方向の中心線を軸として生ずる回転動揺で、車体の前方が下がると後方が上がり、あるいはその反対に動揺するもの。

 蛇頭動(蛇行動:ヨーイング) ・・・上下方向の中心線を軸として生ずる回転動揺で、前方が右側に偏すれば後方は左側に偏し、あるいはその反対に偏するごとき動揺で、あたかも蛇が進行する時に生ずる様な状態を呈するもの。

 

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2021年5月22日 (土)

機関車の構造及理論:中巻(その366)インジケーター・ダイヤグラム

2.インジケーター・ダイヤグラム

 インジケーターによって書かれる、シリンダー内に作用した蒸気の圧力線図、すなわち指圧線図は、ピストン行程の各位置に対する蒸気圧力を、ある縮尺で表わしたものであるから、この線図の面積を測定して、その縮尺を考慮に入れれば、蒸気がピストンに対し蒸気が成した仕事量を表すことになる。

 機関車の機関効率を測定する場合には、ぜひともこの線図が必要である。速度、締切別等に描取し、一方機関車(炭水車の)の後部に、別途牽引力を測定する装置を設けおき、これに表れた仕事量と、線図に表れた仕事量との差を求める。

 しかるときは、この差は機関車の走行抵抗(平坦線とせば)と、機関抵抗による損失である。機関車の走行抵抗は各速度に応じ、別途求めることができるから、機関抵抗を求め機械効率を知ることもできる。なお、缶から供給した蒸気量との関係から、蒸機効率も求められる。

 また指圧線図からピストンに対する背圧や、締切に対するワイヤー・ドローイング(蒸気隘路)の傾向、圧縮状態(コンプレッション)等も調べることができる。また左右を同時に取れば、その形状や面積の相違から、弁調整の良否が最も明瞭に判断できる。

 

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2021年5月21日 (金)

機関車の構造及理論:中巻(その365)インジケーター(2)

 インジケーターにはリチャード式(Richards Indicator)、トムソン式(Thompson Indicator)、テーボル式(Tabor Indicator)、クロスビー式(Crosby Indicator)、マクイン式(McInnes Indicator)、その他種々のものがある。いずれの式もシリンダーおよび円筒部はほとんど同じであるが、鉛筆装置は非常に異なっている。

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 第330図はこれらの鉛筆装置を示したもので、かような構造により、鉛筆の取付点 Pを点線のごとく垂直に運動せしめるのである。第331図はクロスビー式インジゲーターを、第332図はマクイン式インジケーターを示したものである。

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 インジケーターを機関に取り付けるには、第333図のごとくシリンダーのインジケーター・プラグに管を取付け、インジケーターを取り付けるに便利なところまで導き、これを三方コック口に連絡し、その上部にインジケーターを取付け、コックによりシリンダーの前後いずれへも、任意に通ぜしめることができる様にする。

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 シリンダーヘッドにより円筒を回転させるには、第334図甲または乙に示すような装置により行う。すなわち甲および乙のいずれにしてもテコの上端を固定し、その下端をクロスヘッドに取付け、テコの下端の前後運動に伴い、甲は扇形を、また乙は棒 Dを前後に動かし、これに取り付けてある糸を引き、または弛め、インジケーターの円筒を回転せしめるのである。

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2021年5月20日 (木)

機関車の構造及理論:中巻(その364)インジケーター(1)

第7編 雑

第1章 インジケーター(指圧描取装置)

1.インジケーター(Indicator)

 インジケーターは、シリンダー内における蒸気の圧力、すなわち指圧線図(インジケーター・ダイアグラム:Indicator Diagram)を自動的に書かせる器械で、その主要部分は小なるシリンダー、紙を巻いた直立せる円筒および鉛筆を支持し、これに垂直運動をせしめる装置の3つより成っている。

 シリンダーはその中にピストン、ピストン棒およびバネを蔵し、その上部には小穴を設けてピストンの上部を大気に通ぜしめ、ピストンの下部にはシリンダーの一端より蒸気を導き、その圧力に比例してバネを圧縮しピストンを上下させる。

 この運動はピストン棒により鉛筆装置に伝えられ、その一端に取付けられている鉛筆は、円筒上に巻いた紙片に触れながら垂直に動き、ピストンの運動を数倍に拡大して書く様にしてある。

 一方、紙を巻いた円筒は内部にバネを有し、外部には糸が巻いてあって、クロス・ヘッドより運動を取り、機関車のピストンがいずれか一方に動く時、糸を引いて円筒を一方に回転させ、反対行程の時は糸が弛むから、円筒は内部のバネにより自動的に反対方向に回転する。

 それ故、円筒は機関のピストンの往復と共に左右に回転するから、鉛筆は紙の上にシリンダー内の蒸気圧力を書くことになる。この図を気力線図、または指圧線図(インジケーター・ダイヤグラム)と言い、その縦線は圧力を、横線はピストンの位置を示すから、図の面積は蒸気が成した有効な仕事量を表すものである。

 インジケーターのシリンダーに入れるバネには、剛柔種々のものがあって、且つバネは自由に取り換える事ができるから、測定する場合の圧力の高低に応じ適当なバネを選択する。それ故、指圧線図を採った時は、必ずその図に使用したバネの強さと高さとの関係を記録しておかねばならぬ。

 

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2021年5月19日 (水)

機関車の構造及理論:中巻(その363)仕上り程度の表示法

4.仕上り程度の表示法

 機械部分品の仕上り程度を、図面上で一々明示する事は繁雑なので、仕上げ程度の記号を用いてこれを表示している。

 特に加工法を指定する必要のあるものは、記号の傍(そば)に加工法を記入する。

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2021年5月18日 (火)

機関車の構造及理論:中巻(その362)車両修繕記号

3.車両修繕記号

 車両修繕記号は、車両修繕関係の帳簿、報告、記録等に記載する場合、一々その不良状態や修繕の方法を記載する事は繁雑であるから、記号を定めて使用する事にしたものである。

 現在、鉄道省で制定したものは次のごとくであるが、各鉄道局ではさらに追加し、数多くの記号を定めている向きが少なくない。

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2021年5月17日 (月)

機関車の構造及理論:中巻(その361)蒸気機関車の製作仕様書

2.蒸気機関車の製作仕様書

 本仕様書(昭和11年10月制定)は蒸気機関車製作の場合、各部の主要事項を指示したものであるから、修繕と直接関係を有しないが、機関車の検修に携わる者は少なくとも、機関車がいかなる条件の下に新製されたかを了解しておく必要がある。その概要は次のごとくであるが、詳細に付いては同仕様書を見てもらいたい。

(1)一般事項

 工作局と会社(製作者)と一般事項(報告、設計図等)を決めている。

(2)材料および検査

 材料に対する指示およびその検査に関する事項、ならびに各部分品の立ち合い検査等に関する事項を述べている。

(3)標記、刻印および塗装

 各部に対して標記や刻印の範囲を明示し、各部分品に対する塗装の順序方法、程度等を指示している。

(4)工 事

 工事に関する一般事項、缶および同付属品、シリンダーおよび運動部分、台枠および輪軸等に関する製作、組立、仕上り精度、ならびに部分品に対して施行する検査の方法等を詳細に述べている。

(5)水圧試験

 水圧試験を要する管類その他、缶、同付属品、蒸機止弁に至るまで、その圧力ならびに試験すべき事項の指示を成している。

(6)試運転

 試運転に対する一般指示を成している。




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2021年5月16日 (日)

機関車の構造及理論:中巻(その360)機関車検修 限界ゲージ方式(3)

(7)軸基準と穴基準

 嵌合方式には「軸基準式」と「穴基準式」との2種類がある。一定公差の軸に対し、これに種々なる穴を規定する方式を「軸基準式」と言い、一定公差の穴に対し、これに種々なる軸を規定する方式を穴基準式と称する。

 軸基準式においては、軸の最大寸法を称呼寸法に合致させ、穴基準式においては、穴の最小寸法を称呼寸法に合致させる事になっている。しかして設計上、いずれの方式によっても良い場合は穴基準式による事になっている。

 なお、その符号は穴基準では欧字の大文字 Hを前位に用い、軸基準式では小文字 hを前位に使用し、嵌合の状態を示す符号は、穴基準式では欧字の小文字(p,n,m,j,r ・・・・・・)を用い、軸基準式では大文字(P,N,M,J,R ・・・・・・)を用いている。

(8)嵌合公差

 各嵌合の穴の公差と軸の公差との和を「嵌合公差」と言う。穴基準式でも軸基準式でも、同一等級の同種嵌合であれば、嵌合公差は等しいものである。

(9)寸法表

 直径1ミリから500ミリまでを12段に区分して、その寸法を表したるもので次表の通りである。

 表の見方(例)

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 これは欧字の大文字H₄が前位にあるから、穴基準式の四級嵌合である事がまず了解される。しかしてピン穴の直径を仮に40ミリとすれば、次表(穴基準式)を見て「径の区分」の欄、30ミリを超え50ミリ以下の段と、H₄a₄の縦罫との交叉する欄を見ればよい。しかるときは最大隙間0.59ミリ、最小隙間0.28ミリとなり、上記の部分品は0.28~0.59ミリの隙間なる事がわかる。

 

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2021年5月15日 (土)

機関車の構造及理論:中巻(その359)機関車検修 限界ゲージ方式(2)

(3)隙間および締代

 嵌合部に隙間のある場合において、穴の最小寸法と軸の最大寸法との差を「最小隙間」と言い、穴の最大寸法と軸の最小寸法との差を「最大隙間」と称する。

 嵌合部に隙間の無い場合、すなわち締代を有する嵌合において、軸の最大寸法と穴の最小寸法との差を「最大締代」と言い、軸の最小寸法と穴の最大寸法との差を「最小締代」と称する。

(4)寸法差

 実際寸法と称呼寸法との差を「寸法差」と言う。しかして最大寸法と称呼寸法との差を「上の寸法差」と言い、最小寸法と称呼寸法との差を「下の寸法差」と称する。

(5)嵌合の等級

 機械にはそれぞれ精密を要するものとしからざるものとがある。故にその嵌合にも等級を設け、精度の高いものから順次一級、二級、三級、四級(ただし静合は一、二級のみ)と等級が付してある。

 しかして軸と穴と異なる等級の嵌合を適用することもできる。その表し方は略字の下に等級を付記するもので、例えばH₃,F₃のごとくなる数字が付記されていれば三級嵌合なる事を示し、2が付記してあれば二級嵌合なる事を示すものである。

 機関車の部分品としては三級嵌合のものが多く、弁装置のごとく精密を要する部分が二級、基礎ブレーキ装置のごとく粗雑なる部分が四級嵌合である。

(6)嵌合の状態

 嵌合部分の状態は次のごとく3種に区別されている。

(イ)遊 合・・・・・・軸と穴とのはめ込み部分に適当の隙間があり、両方が互いに自由に運動し得る状態にあるもので「遊動嵌合」または「遊合」と言う。

(ロ)静 合・・・・・・軸と穴との隙間が極めて少なく、または締代を有し、互いに運動せざるものを「静止嵌合」または「静合」と言う。

(ハ)滑 合・・・・・・遊動嵌合と静止嵌合との中間の状態のものを「滑合」と称する。

 しかして遊合と静合とは、その隙間または締代の大きさによって数種類に区別されている。

 

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2021年5月14日 (金)

機関車の構造及理論:中巻(その358)機関車検修 限界ゲージ方式(1)

第3章 機関車検修に関する雑事項

1.限界ゲージ方式

 限界ゲージ方式は、機械部分品の嵌合度合(かんごうどあい:軸と穴のはまり具合)を指示したもので、日本標準規格委員会で決められ鉄道省でも採用されており、J.E.S(JES Limit gauges)限界ゲージ方式として広く使用されている。

 機械部分品の軸と穴との関係は使用目的により色々であるが、また設計上所定寸法を示しても、その寸法に仕上がるものではなく、その精度というものは、必ずある範囲の余裕寸法を許容しなければならぬ。故に一定の規格を設け、精度の統一を成しておくことは設計、修繕上便利なばかりでなく、広く国内における部分品の流用性からみても望ましい事である。

 限界ゲージ方式の大要を述べれば次のごとくである。

(1)嵌 合

 本規格は、主として機関部分品の相はまり合う部分に適用するもので、軸が穴にはまり込む場合、またはこれに準ずる場合には、その部分の機能に応じ、これらの間に隙間または締代を持たせねばならぬ。かように機械部分の相はまり合う関係を「嵌合(かんごう)」という。

(2)寸法の表示方

 部分品の製作に当たりては必ず若干の誤差は免れないものである。故に寸法に対しても次のごとく定義を与えている。

(イ)称呼寸法・・・・・・とは、嵌合部分の大きさを表す寸法で、図面に記入される寸法である。

(ロ)実際寸法・・・・・・部分品の実際に仕上げられた寸法である。

(ハ)限界寸法・・・・・・実際寸法は、これを正確にある寸法に合致させることは困難であるから、その機械が所要の目的に適する範囲内である誤差を許容している。この許容範囲の寸法を「限界寸法」といい、その最大なるものを「最大寸法」、最小なるものを「最小寸法」、最大寸法と最小寸法の差を「公差」と称する。

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2021年5月13日 (木)

機関車の構造及理論:中巻(その357)修繕基準

5.修繕基準

 車両修繕方法は日ごとに進歩発達しているが、これに伴い車両部分品の製造修繕等に付いて、各工場の考案改良に基き施行するとすれば、勢いその方法が多岐にわたるは蓋(けだ)し止むを得ないところである。

 これを一定の基準に統一する事は、各自の自由な研究改善を掣肘(せいちゅう:干渉妨害)し、作業方法の進歩を阻害するの恐れなしとしないが、現在施行されているもののを粋を集めて、合理化された作業基準を設け、一貫された修繕方法を採用する事は必要なことで、現在制定されている修繕基準を要約すると

 (イ)部分品の製作、修繕に対する仕上がり精度の限度

 (ロ)成すべきことと成すべからざることの明示

 (ハ)標準作業方法の推薦

であるが、本基準は最高のものではなく、修繕作業の標準を示したものであるから、これよりも優れた方法があれば、それによることは妨げるべきでない。故に平素研究を怠らず、修繕技術の高度化を図るべきである。

 しかして本基準は独り工場においてのみ施行するものでなく、機関区においても修繕施行に当たり、本基準により得る場合は努めてこれに準拠すべきである。

 

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2021年5月12日 (水)

機関車の構造及理論:中巻(その356)車両部分品摩耗限度の種別

4.車両部分品摩耗限度の種別

 鉄道省においては車両部分品の摩耗限度を次の3種に区別している。

(1)工場修繕限度

 これは一般修繕の場合、取替えまたは加修を要せざる限界である。故に一般検査の際、この限度寸法までは修繕しなくともよいが、これを少しでも超過している場合には、その部分品の取替えを成すか、あるいは加修を施さねばならぬ。

 また局部修繕のため、一般検査の中間に工場を入れて修繕を成す場合あるも、これは一般検査でないから、原則としては工場修繕限度は適用されない。

(2)区修繕限度

 これは機関区(または工場)で施行する六月検査の際、取替えまたは加修を要せざる限界である。

(3)使用限度

 これは使用を許容する限界である。故に本限度寸法までは使用してもよいが、これを少しでも超過したものは使用を禁止しなければならぬ。

 

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2021年5月11日 (火)

機関車の構造及理論:中巻(その355)修繕の時期、修繕の要否ならびに範囲

2.修繕の時期

 修繕のみを主体として考えれば、当該部分が使用に耐えずと認められた場合、それを取替えまたは加修する事が物質愛護のうえからも、修繕費節約のうえからも望ましいことである。しかしながら場所によっては解体に多数の手数を要し、却って不経済となるから、検査のため解体された機会において、修理または取替えすることが有利である。

 機関車修繕の時期としては簡易なる部分を除き、各検査に付随して行われるのが普通で、その修繕程度は特別の部分を除き、少なくとも次の同一種類の検査、修繕の時機まで、保証し得る程度に施行すべきである。

 故に普通の修繕、例えば仕業検査に伴う修繕は次の仕業検査まで、六月検査に伴う修繕は、次の六月検査まで保証し得る程度の修繕を成すべきである。

3.修繕の要否ならびに範囲

 修繕施行の要否ならびにその範囲は、機関車の使用状況に応じ、担当技術者の適確なる判断に基づき施行することを理想とすべきものであるが、実際問題としては修繕の統一上からも、また見解の相違による判断の齟齬なき様、主要部分に対しては修繕限度、修繕基準、使用限度等を設け統制ある修繕をなし、各機関区、各工場によって検修に甲乙の生ずることのない様になっている。

 

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2021年5月10日 (月)

機関車の構造及理論:中巻(その354)修繕の観念

第2章 機関車の修繕

1.修繕の観念

 機関車検査の観念に付いては既に述べたところであるが、検査によって発見された不良箇所を修繕する事は、検査の目的を完了させるもので、修繕は検査と共に車両の安全を期する上において最も肝要な事である。

 修繕を広義に解すれば、修繕はすべて車両の安全を期するためと言う事ができるが、狭義に解する場合は検査と同様、大体三段に区別することができる。

 (1)運転事故を惹起せしめざるための修繕

 (2)修繕に要する経費(材料、人工等)を可及的少なかしめるため、早期に行う修繕

 (3)機関車の円滑なる運転を望み、蒸気消費量の節約、石炭の節約、摩耗の減少等、機関車性能の優秀化を期するための修繕

 しかして修繕は原則として検査に付随して要求されるもので、機関車の検査は不良箇所の修繕が施行され、その出来栄え検査または試運転を成し、良好なる事が確認されて始めて完了するものである。

 車両の安全を確保する検査は重要であるが、それによって発見された不良箇所の修繕はさらに重要であり、その修繕後の確認はいっそう重要である。すなわち車両故障の実績において、修繕の上の欠陥または修繕後の検査不十分に基因するものが、いかに少なからざるかを見れば、思い半ばに過ぐるものがある。

 

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2021年5月 9日 (日)

機関車の構造及理論:中巻(その353)空気ブレーキの検査

5.空気ブレーキの検査

 空気ブレーキは機関車の一部分品であるから、当然機関車検査規程中に包含さるべきものであるが、現在は未だその運びに至らず、空気ブレーキに対しては機関車検査規程とは別に、空気ブレーキ検査心得があり、これによって各種検査が施行されている。

 (故に検査の施行時期が機関車と若干の食い違いを生じ、実際問題としては、空気ブレーキ検査心得の条文を厳守し得ない様な実情にあるから、遠からず改正され、この不合理も解消されるものと思われる)

(1)仕業検査(担当箇所 機関区)

 仕業検査は、機関車仕業の前後および折返し時間の長き場合、その他必要ある場合に行うもので、出区検査とも言われ、次の各項を検査するものである。

 (イ)空気圧力計の正否
 (ロ)制動作用の良否
 (ハ)元空気溜およびこれに付属する各管漏洩の有無
 (ニ)制動管漏洩の有無
 (ホ)制動筒漏洩の有無

(2)一月検査(担当箇所 機関区)

 一月検査は1カ月以内ごと(給気弁は15日ごと)に行うもので次を確認する。

 (イ)空気圧縮機ならびにその運転状態の良否
 (ロ)圧力加減器ならびにその作用の良否
 (ハ)制動弁ならびにその作用の良否
 (ニ)給気弁の掃除ならびにその作用の良否
 (ホ)分配弁ならびにその作用の良否
 (ヘ)取付部の良否
 (ト)ホース、連結器および肘コックの良否

(3)三月検査(担当箇所 機関区)

 三月検査は3カ月以内ごとに行うもので次の各号を確認する。

 (イ)圧縮機機能の良否(オリフィス・テスト)
 (ロ)圧力計の正否
 (ハ)圧力加減器の掃除

(4)六月検査(担当箇所 機関区または工場)

 六月検査は6カ月以内ごとに行うもので一部解体のうえ次を確認する。

 (イ)空気圧縮機、制動弁、給気弁、減圧弁、分配弁および制動筒の検査掃除および給油(各弁類は分解検査掃除を行えば、必ず試験台による試験を要することになっており、機関区には現在試験台の設備が無いから、全部工場で施行し、機関区では送付を受け、取替のみを施行している)。

 (ロ)無火装置および渦巻チリトリの検査および掃除。

 (ハ)一月検査および三月検査を併施する。

(5)一般検査(担当箇所 工場)

 一般検査は、機関車一般検査の際行われるもので、ブレーキ装置全般にわたり各部を解体し、細密なる検査を成し、検査後は試運転を成し、その作用の完全なることを確認する。

 しかして本検査においては一月、三月および六月検査も併施するものである。
 

 

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2021年5月 8日 (土)

機関車の構造及理論:中巻(その352)機関車の検査標準

4.機関車の検査標準

 機関車の検査標準は、各検査種別に応じ検査の方法を各部分に付いて指示したものである。これは運輸局運輸第一課の提案になるもので、一般検査(工場施行)を除いた機関区担当に属する仕業、交番、一月、六月検査等に付いて定めたものである。すなわちこれは全国的に統制ある検査を実施すると共に、合理的で確実な検査方法を提唱せるものである。

 工場における一般検査に対しては後述する修繕基準がある。一般検査はふつう一般修繕と呼ばれ、検査よりも修繕を主体としたもので、修繕基準中に検査の方法も指示してある。

 

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2021年5月 7日 (金)

機関車の構造及理論:中巻(その351)機関車検査規程(3)

(6)六月検査

 六月検査は次の各部に付き、一部解体のうえ施行する検査でその状態、作用等細部にわたり6カ月以内ごとに施行する。ただし6カ月以内であっても、運転キロメートルが6万キロメートルに達した場合は施行する事を要する。

 (イ)火 室
 (ロ)灰箱装置
 (ハ)煙 室
 (二)缶付属品
 (ホ)給水温め装置
 (へ)蒸気室、シリンダーおよび付属品
 (ト)弁装置
 (チ)逆転装置
 (リ)走り装置
 (ヌ)台枠、台車
 (ル)バネ装置
 (ヲ)連結装置
 (ワ)ブレーキ装置
 (カ)砂まき装置
 (ヨ)水まき装置
 (タ)点灯装置
 (レ)暖房装置
 (ソ)給油装置
 (ツ)笛装置
 (ネ)計器装置
 (ナ)炭庫、水槽
 (ラ)その他特に必要のある箇所

 なお使用軽易なる機関車にありては、運転キロメートルが3万キロメートルに達するまでは、これを9カ月まで延長してもよい。

(7)一般検査

 一般検査は機関車全体にわたり解体のうえ、最も綿密なる検査を行うもので、3年以内ごとに施行する。ただし3年以内であっても、運転キロメートルが36万キロメートルに達した時は施行せねばならぬ。

 しかしながら使用軽易なる機関車にありては、10万キロメートルに達するまではこれを3年半まで延長してもよい。一般検査を施行した時は、必ず缶の水圧試験と試運転とを行わねばならぬ。

(8)臨時検査

 以上の各検査の他、衝突、脱線等の事故を発生したとき、または使用上特に必要ある場合、臨時に行う検査である。故に検査の程度は検査を必要とする事由により相違するわけである。

 

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2021年5月 6日 (木)

機関車の構造及理論:中巻(その350)機関車検査規程(2)

(4)交番検査

 交番検査は15日以内ごとに、次の各項に付きその状態および作用を検査するものである。ただし15日に達せざる場合でも、その運転キロが5500キロに達したる時は施行せねばならぬ。 

 (イ)火室
 (ロ)灰箱装置
 (ハ)煙 室
 (二)缶付属品
 (ホ)給水温め装置
 (へ)蒸気室、シリンダーおよび同付属品
 (ト)弁装置
 (チ)逆転装置
 (リ)走り装置
 (ヌ)台枠、台車
 (ル)バネ装置
 (ヲ)連結装置
 (ワ)ブレーキ装置
 (カ)砂まき装置
 (ヨ)水まき装置
 (タ)点灯装置
 (レ)暖房装置
 (ソ)給油装置
 (ツ)笛装置
 (ネ)計 器
 (ナ)その他特に必要ある箇所

 仕業検査は、仕業中の待合せまたは折返し時等を利用して、ごく簡易に最少限度の範囲を浅く検査するのであるが、相当期間に達すれば、これだけの検査では不十分なるため、特に一定の検査時間を与え(機関車交番中に検査時間を組込む)細密なる検査を施行する必要がある。

 なお本検査は使用軽易なる機関車にあっては、運転キロが2500キロメートルに達するまでは、これを20日まで延長してもよい。

(5)一月検査

 一月検査は有火状態では検査し得ない部分に付き、無火状態で次の各項に付き1か月以内ごとに行うものである。ただし(リ)および(ヌ)は使用状況により3カ月まで延長してもよい。

 (イ)缶内部
 (ロ)火室内部および熔栓
 (ハ)煙室内部
 (ニ)煙 管
 (ホ)火格子装置
 (ヘ)注水器装置
 (ト)水面計内部
 (チ)缶安全弁
 (リ)脇路装置
 (ヌ)ピストン弁
 (ル)空気ブレーキ
 (ヲ)その他特に必要ある箇所

 なお使用軽易なる機関車においては、運転キロ5000キロメートルに達するまでは40日まで検査を延長してもよい。

 

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2021年5月 5日 (水)

機関車の構造及理論:中巻(その349)機関車検査規程(1)

3.機関車検査規程

 国有鉄道運転規程に示された検査を、遺憾なく施行するために決められたのが機関車検査規程で、これは鉄道省達で定められたものである。これに対し各鉄道局ではさらに機関車検査施行細則または手続き等を定め、機関車の使用状態に適応した検査方針を指示している。

 機関車検査規程は機関車の検査種別、担当箇所、施行時期、施行範囲等を規程したもので、その根原則は運転規程の指示に準拠し、実情を加味して決めたもので、その概要は次のごとくである。

(1)検査種別および検査担当箇所

 (イ)仕業検査・・・・・・機関区
 (ロ)交番検査・・・・・・機関区
 (ハ)一ヶ月月検査・・・・機関区
 (二)六ヶ月検査・・・・・機関区または工場
 (ホ)一般検査・・・・・・工場
 (へ)臨時検査・・・・・・機関区または工場

(2)検査施行の時期および範囲

 機関車における各部の状態は、その種類により相当期間安全を保証し得るものもあれば、また突発的とみなされる程度の箇所もある。すなわち機能、強度、摩耗、衰弱、弛緩等部分品の使命と性質に応じ、検査の時期と範囲が決められたものであるが、これは実際上の歴史的経験に鑑み決められたとみるが至当であろう。

 しかしてここに注意すべきは規程に決められたものは、その最小限度の要求に属するものと解すべきで、使用状態によりさらに高度の検査を要すると認められる場合は、当然施行すべきものである。

(3)仕業検査

 仕業検査は、使用中の機関車要部の状態および作用に付き行う検査で、仕業の前後および仕業中次の各項に付き施行する。ただし前回検査後の使用状況により、検査する必要無しと認める場合はこれを省略しても良い。

 (イ)火室内部
 (ロ)水面計
 (ハ)注水器
 (二)給水ポンプ
 (ホ)ブレーキ装置
 (へ)砂まき装置
 (ト)点灯装置
 (チ)暖房装置
 (リ)自動連結器
 (ヌ)各部給油
 (ル)その他特に必要ある箇所

 これらの各主要部はその故障により、機関車に致命的支障を与えるものであり、また1回の検査のみで相当期間その安全を保証し得ないものであるから、最少限度の安心を得るためにも、その状態や作用を仕業の都度、一応確認しておく必要があるわけである。

 

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2021年5月 4日 (火)

機関車の構造及理論:中巻(その348)運転規程に表われた車両の検査

2.運転規程に表われた車両の検査

 運転規程は建設規程および信号規程と共に、鉄道における最も重要なるものの一つであるが、この規程に表れた蒸気機関車への検査に付いて、概要を述べると次のごとくである。

(1)車両は安全に運転し得る状態にあるのでなければ使用してはならぬ。

(2)新製車両および改造、または修繕を成したる車両は検査をなし、試運転を成すにあらざれば使用してはならぬ。ただし改造または修繕にして軽易なる場合は試運転を省略しても良い。

(3)缶にして新製および重要なる改造または修繕を成したるものは、水圧試験を成すことを要する。

(4)機関車は使用の状況に応じ、相当期間内ごとに各部解体のうえ全般にわたり検査し、缶に付いては水圧試験を成すことを要する。この期間は3年半を超えてはならぬ。

(5)水圧試験は缶の最高使用圧力の35%増の圧力で、5分時以上持続することを要する。

(6)動力発生装置および同伝達装置、ブレーキ装置その他の重要部分は9カ月以内ごとに検査する事を要する。

(7)各部の状態および作用は40日以内ごとに、少なくとも1回検査することを要する。

(8)列車を組成する車両の運転要部は、車両の種類および運転の状況に応じ、相当の距離を運転するごとに検査することを要する。

(9)列車の貫通ブレーキは列車組成し、またはその組成を変更したる場合においても、列車出発前これを試験することを要する。

 

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2021年5月 3日 (月)

機関車の構造及理論:中巻(その347)検査の観念

第6編 機関車の検査と修繕

第1章 機関車の検査

1.検査の観念

 車両は貴重なる人命財産を積載し、高速度にて運転するものであるから、万一にもこれに故障を生じ、人命財産に危害を与えるがごとき事があってはならぬ。故に国有鉄道運転規定(鉄道省令第3号 大正13.12.19)においては、車両に関する規程の最初に「車両ハ安全ニ運転シ得ル状態ニ在ルニ非ザレバ之ヲ使用スルコトヲ得ズ」(第16条)と、車両保守に付いてその安全なる事を要求している。

 いかにして車両の安全を期するかといえば、検査して不良箇所の摘発をなし、修理を加え円滑なる運転と安全とを期する他に方法はない。

 検査の目的を大別すれば次のごとくなる。

(1)運転の安全を期するための検査

 運転の安全ということは、狭義に解釈すれば車両に故障を起こさざる事で、この安全確保のため不良箇所発見のために検査する事を要する。これは車両検査として最低限度の要求に属する。

(2)修繕を簡易ならしむるため不良箇所の早期発見を目的とする検査

 人間の病気も早く発見してこれに適応した手当を施せば案外軽く済み、快復早いと同様、機関車においても、なるべく不良箇所を早期において発見し、これに適した手当を加えれば修繕費も少なく、休車時間も短縮する事ができる。

(3)機関車性能の優秀化を図るための検査

 これは検査として最も積極性のもので、機関車の効率向上、燃料の節約、走行の円滑等、性能の優秀化に資するための検査である。

 以上のごとく大体論として三段に区別し得るが、実際問題としては区別のできない範囲のものもあり、各相関連するものも少なくない。

 また普通の検査とは少し趣きを異にするが、修繕後の試運転は安全を期するための手段して施行されるもので、検査の一部門に属し、検査部分によっては最も優れた実用性の検査であるという事ができる。

 

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2021年5月 2日 (日)

機関車の構造及理論:中巻(その346)自動給水装置

第5章 自動給水装置

 長距離無停車運転の機関車は、特にその容量の大きな炭水車または水槽車を連結するか、あるいはまた他の方法、すなわち運転中に給水し得る装置を備えるかの二途を選ばねばならぬ。我が国には実際採用しておらないから、外国の例に付いて寸説するものである。

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 第329図は英国における実例で、ラムスポットム(John Ramsbottom)氏の考案になるもので、水管は三部分から成り、最下部のスクープ(Water scoop )は蝶番によって、中間の鉄管と連接されるをもって、自由に上下せしむることができるから、その口先きを線路内に設けてある水槽(水槽は銅板を曲げて箱型を作り、その左右を木片で支持し、幅は約450ミリ、深さ156ミリ位とし、水槽頂部はレールから約3000ミリ高く、水面は同じく2500ミリ位高いのが通例である。)内に入れて、運転中、炭水車の水槽に給水する装置であって、運転室内において手動または他の動力によって、スクープを上下してその作用を完からしめるのである。

 その他、米国においても色々の種類はあるが、要はスクープの形状およびそれを上下する機械装置が異なる位で、大体の主意は同じであるからここには省略する。

 

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2021年5月 1日 (土)

機関車の構造及理論:中巻(その345)機械焚火装置(ストーカー)

第4章 機械焚火装置(メカニカル・ストーカー)

 我が国における機関車の火格子面積は、C52形式の 3.8平方メートルを最大とし、3.27平方メートル(D51形式)および 3.25平方メートル(C53およびD50形式)以下のものが最多数で、4平方メートルを超えるものはない。従って手焚きで十分間に合うものと考えられるが、火格子面積が4平方メートル以上または非常に強力な牽引力を要する場合には、機械的に投炭する設備によらねばならぬ。

 外国にはその実例が多々あるから、参考のために一、二の構造に付いて略述する。

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 第326図はその一例であって、B形ストーカーと称し、2個のシリンダーをもって全装置に要する動力を出し、炭庫の底部からスクリュー・コンベアで石炭を火室焚口まで運搬し、焚口に押し出された石炭を、蒸気の噴出力で火格子上に散布するものであって、噴出蒸気のためシンダーの飛散が少なく、石炭の散布良好で、細炭ほどレンガアーチの奥下に散布され、且つ石炭の散布は蒸気の噴出力で、自由に加減できる。

 また、全装置を任意に逆転する事もできると共に、いかなる種類の石炭にも使用可能なる特長を持っているのである。

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 第327図のものもその一種であって、エルビン式ストーカー(Elvin Mechanical Stoker)と称し、その装置は石炭を細くする装置、それを運搬するスクリュー・コンベア、投炭装置の3部から成り、B形と異なった点は、第328図に示す様な2個のショベルが、石炭を火格子上に散布する事であって、これがため大きな塊炭ほど遠方に飛散する欠点はあるが、その利益は大体前述のものと同様である。

 

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