(1)車両の振動
一質点 Pが一定の角速度 Wをもって円周上に円運動を成す際、円の任意の直径上における P点の正射影 P'点の運動を単一弦運動(Simple Harmonic Motion)と称するが、これは最も単純なる振動を表すもので、その振動例図は第335図のごとくである。
この単一弦運動に対する「動き」の状態を数式で書くと
となり、変位が時間に対し正弦曲線(Sin Curve)にて表される運動である。この極大値、すなわち Aを振幅と称し、動きが+Aより-Aまで変化する。Tを振動の周期と称し、時間(t)が次々に Tだけ経過するごとに同じ状態を繰り返すものである。すなわち周期は波形の山の頂上から、次の山の頂上までの時間(谷から次の谷までの経過時間でもよい)を測ればよい。
また、山の高さと、谷の深さの和は振幅の2倍を表しているもので、動きの極端から極端までの距離であるから、これを全振幅を称し、物理学上に定義する振幅(A)と区別している。
ふつう車両に起こる振動は極めて複雑であるから、次のごとくして振動や周期が求められる。第336図において Aなる波は一周期の4分の1を描いているから、A'B'の時間の4倍が周期となり、AA”なる距離は全振幅である。次に前記(93)式にて示される動きの加速度は次式で示される。
故に振動加速度は振動の振幅に比例し、振動周期の自乗に逆比例し、その極大値は
にて表される。しかして振動加速度の周期は振動の周期と一致するものである。
従って振動加速度計の記録から振動振幅 Aを求めるには、振動加速度波の振幅を aとして、周期を Tとして次式により求めることができる。
故に振動計も振動加速度計も、共に同じ役目をするものであるから、振動の大小のみを比較する場合には振動振幅どうし、または振動加速度どうしにて、そのまま比較して良いが、振動の振幅と加速度とは直接比較し得ないから、(95)式のごとくして換算して同一単位と成し比較しなければならぬ。
現在、車両用振動計として一般に使用されている大森式、ハラド式等は振動計に属し、石本式、ケンブリッジ式、研六式、梅北式等は振動加速度計に属するものである。
これらの測定器はいかに精密に作製されても、その機械自体の固有振動を有するものであるから、車両の真の振動を表さずに、自己振動と、車両振動との合成されたものを表すことになる。
故に極めて精密を要する場合には、機械自体の自己振動を考慮しなければならぬが、一般には機械自体の自己振動は小さいものであり、且つ極度に減衰されるごとき構造とされているので、自己振動を考慮の中に入れないのが普通である。
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