【 「ダイレクト・ステー」(Direct Stay) 】
「ダイレクト・ステー」は「サイド・ステー」のごとく「ファイア・ボックス」と「シェル」とを直接に連接したるものにして、「サイド・ステー」に比すれば長きをもって「ファイア・ボックス」の伸縮に伴ふ屈曲作用を受くること少なく、従ってその切断することも比較的少なきものなれば通常柔軟なる錬鉄をもって製す。その取付方法に数種あり。
その1はその上下両端を板に螺ぢ込み頭部を鋲形に締めたるもの。この方法は主に米国において採用せられ、特に小形なる汽缶に最も多く応用せるるものなり。
その2は上端を鋲形に締め下端に「ナット」を有するもの。
その3は下端に造り付けの「ナット」形または鋲形の頭を有し、上端を鋲形に締めまたは「ナット」にて締め付けたるもの。
その4は「クラウン・プレート」に螺旋を有せずして、2個の「ナット」を用ひてこれを内外より挟みたるもの。
これら各種の方法中その一種を専用せるものあり。また2、3を併用するものあり。なかんずくその3、その4の方法は最も広く採用せらるる形式にして、本邦において普通使用せらるるものまたしかりとす。けだしこの方法は蒸気の漏洩または「ステー」の頭部焼損等のため修理を要すること比較的少なきをもってなり。
缶水欠乏を来したるときは「ファイア・ボックス」の頂部ははなはだしく熱せられて、その強度を著しく殺減せられ蒸気の圧力によりて膨出せんとするものなれば、「ステー」の下端を鋲形に締めたる方法は缶水欠乏に際し「プレート」の螺旋が摺剥がれて、「プレート」は「ステー」より脱出しついに恐るべき破裂を醸すに至ることあり。
故に近来は全然この方法によれるものははなはだ稀にして、第 1382図に示すがごとく「クラウン・プレート」の中央縦の数列に比較的丈夫なる「ナット」、または第 1381図のごとき造り付けの頭を有する「ステー」を応用し、両端の比較的弱き前記の「ステー」を併用せり。
けだし缶水欠乏の場合において、「クラウン・プレート」の両端に近き「ステー」をして比較的早く脱出せしむるは、汽缶の大破裂を予防するものと信ぜらるるが故なり。
「クランプトン」式「ファイア・ボックス」における「クラウン・ステー」の配列に2種あり。
その1は第 1380図に示すがごとく「ステー」を垂直に置きたるもの。これを「バーティカル・ステー」(Vertical Stay)と言ひ、その2は第 1382図に示すがごとく「ステー」の方向を傾斜したるもの。これを「ラジアル・ステー」(Radial Stay)と称す。前者は「クラウン・プレート」の水平なる場合、後者は孤形なる場合に応用せらる。「クラウン・プレート」の孤形をなしたるものは泥垢の流下するに便にして、「スケール」の付着すること比較的少なきものとす。
「ベルペヤ」形汽缶には第 1383図のごとく「ステー」を垂直に配列し、その上下両端共「ナット」をもって締め付けたるもの多し。
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