機関車の構造及理論:中巻(その134)タイヤ(3)
(2)タイヤ焼き嵌(やきば)め法
タイヤを輪心に嵌入(かんにゅう:はめ込む)するには、タイヤの内径を輪心の外径の1000分の1だけ小さくし、タイヤを炉で300度くらいに過熱して膨張せしめ輪心に嵌入し、その冷却による収縮力によって輪心に圧着せしめるものである。
この場合、輪心の外径とタイヤの内径との差をシュリンケージ(shrinkage:焼き嵌め代)と称し、鉄道省では車輪直径の大小を問わず直径の1000分の1と定められているが、直径の大きな輪心は割合に弱いから、焼き嵌めの際縮みやすいのも一因となり、タイヤ弛緩の多いのは直径の大きなものに多いという実績になって表れている。
米国式の様に車輪の直径によって焼き嵌め代を変えたのが良いとも言われた時代もあったが、最近では輪心も余程丈夫なものとなったから、上記の傾向は少なくなった様である。従って焼き嵌め代は現在もなお在来の通りである。
参考のために、各権威者の提唱する輪心の直径と焼き嵌め代との関係を図示すると次の通りであって、鉄道省ではドイツ国有鉄道と同じ方法を採っているが、米国鉄道協会および英国Moore氏の提唱する方式は、輪心の直径が大きくなるに従って焼き嵌め代を増大することが図から窺われるのである。
タイヤを過熱する炉には木炭、重油および電気炉等の種類があるが、平等に赤熱(せきねつ)する点では電気炉が優れており、多数焼き嵌めするところでは経済上の点で重油炉が一等である。焼き嵌めの過熱温度は鋼の性質上伸びの最も多い温度で、しかも止輪槌打ち作業に対し伸びが少ない温度、すなわち300度以下で焼き嵌め得る程度の温度が最も好ましい。ふつう焼き嵌め代1000分の1位では150度内外で焼き嵌める事ができる。
現行の焼き嵌め代1000分の1ではタイヤの緊締力は約2.2トン/平方センチメートル位のものである。またタイヤ弛緩のため焼き嵌め直しするとか、他の機関車から取り外したタイヤを流用する場合等焼き嵌め代の足りない時は、輪心とタイヤとの間に厚さ1~3ミリの薄い鉄板を挿入してタイヤの緊張力を増加する方法が採られている。
このライナーの使用は運転上からは好ましくないが、経済を主眼とする修繕上やむを得ず実施されているが、締め直しタイヤは弛緩し易いのみでなく裂損も多いので、全厚さを2ミリ以下として全周にわたって挿入し、2枚重ねてライナーを使用する締め直し修繕は禁止されている。
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