(ヘ)曲げモーメントとねじりモーメントの合成
連結動軸に働く力の作用は、前述のとおり合成曲げモーメントと、ねじりモーメントとの2つであると考えることができるから、計算に便利な様にねじりモーメントを1つの曲げモーメントとして換算し、これと合成曲げモーメントの2つの和をもってさらに1つの合成換算曲げモーメントとして取り扱うのが通例である。
曲げモーメントとねじりモーメントとの、合成換算曲げモーメントの一般公式は次の通りである。
M₁ =換算曲げモーメント(キロセンチメートル)
M =合成曲げモーメント(キロセンチメートル)
Md =ねじりモーメント(キロセンチメートル)
m分の1はポアソンの比(Porson's ratio)と称し、材質の縦の歪みに対する横の歪みの比の逆数で、材質によって多少違うが、まずm=3~4であって、ふつう3分の10をとっているから、結局m分の1は10分の3である。
今、m=3分の10とすれば、前式は次の通りになる。
この合成換算曲げモーメントに対抗するものは車軸自身の強さである。故に次式が成り立つわけである。
かようにして摩擦限度における場合の連結動軸のジャーナルの直径が決定されるのであって、新製の場合はこれに許容摩耗量を加えたものをその直径と定めるのである。設計の場合における見込摩耗量は15ミリと採っているから、計算によって求めたものに15ミリを加算したものが、新製の場合の車軸ジャーナルの直径となるわけである。
しかして材料は普通鍛鋼(SF54)を用い、その安全率は摩耗限度の場合によって約6位になっている。
【例】参考のためC53形式機関車の第1連結動軸の太さを算出してみる。
w =6140キロ……片側ジャーナル上に乗る静荷重
b =15.5センチメートル……レール頭の中心からジャーナル中心までの水平距離
W =15400キロ……1軸のレール面圧力
R×2 =175センチメートル……車輪直径
r×2 =66センチメートル……ピストン行程
a =32.5センチメートル……クランクピンの中心からジャーナル中心までの水平距離
μ =0.3……粘着係数
許容摩耗量=15ミリ
(1)許容ベアリング圧力によりまずジャーナルの直径を見出す。
今、d=ℓとすれば
すなわちジャーナルの直径は18.5センチメートルとなったのであるが、前述の様にこの数値は摩耗限度の場合におけるものであるから、これに許容摩耗量(1.5センチメートル)を加算したものを直径とするのが正しいわけである。ゆえに新製の場合のジャーナルの直径は
d =18.5+1.5=20センチメートル
次に強さの点から幾ばくの直径を要するかを計算してみよう。
(2)重量による曲げモーメント
ジャーナル上の重量による曲げモーメントを(33)式によって計算すると次のとおりである。
M₁ =wb=6140×15.5=95170キロセンチメートル
(3)クランクピンに作用する最大圧力による曲げモーメントは(36)式によって
(4)合成曲げモーメント
前二者の合成曲げモーメントは(37)式により
(5)ねじりモーメント
車軸に作用する最大のねじりモーメントは(38)式により
(6)合成換算曲げモーメント
結局車軸の受けるモーメントは前述の合成曲げモーメントと、ねじりモーメントの和であるからこれを(39)式で求めると次のごとくなる。
この合成換算曲げモーメントを受ける車軸の直径は(41)式によって求めると
故に前述の様にこの値に摩耗量15ミリを加算したものがジャーナルの直径となる。
d =18.5cm+1.5cm=20cm
すなわち先にベアリング圧力より求めた直径と同じであるから、これを直径と決めて差し支えないわけである。ちなみにC53形第1動軸のジャーナル直径は20センチメートルが新製寸法である。
最近のコメント