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司の笑顔が大好きな類の話/Novel by まつり

司の笑顔が大好きな類の話

5,160 character(s)10 mins

司くんの笑顔が好きな類くんと、校舎裏で泣いてる司くんのお話です。
※付き合ってる🎈🌟
昼休みめっちゃ校内鬼ごっこした

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司くんは基本的にいつも笑っている。僕達の行動に頭を悩ませ怒ったりすることはあるけれど、結局最後には一緒に笑ってくれる。僕はそんな司くんの笑顔が好きだった。司くんの笑った顔が見たくてわざわざ彼が興味を示しそうな話題を前もってリサーチしてから話題を振ってみたりした。そうすると司くんは僕の期待通りの可愛らしい笑顔を浮かべ僕の元へ来てくれるのだ。
彼にはいつだって笑っていて欲しい。彼を悲しませるようなことはしたくない。僕が彼の笑顔を守り続けよう、そう思っていたのに。

「司くん…?」
僕の呼び掛けに、彼は大きく身体を震わせた。予想外の客人に驚いたのが、反射的にこちらへ顔を向ける。その大きな瞳からは大粒の涙が溢れていた。
「あ…る、類…?」
普段の彼からは想像もできないか細く震えた声に、自分の身体がカッと熱くなるのを感じた。彼は授業中に何をしているのか、何故校舎裏で1人で座り込んでいるのか、色んな疑問が頭を駆け巡ったが、それよりも何よりも、彼は何故泣いているのか、それが重要事項だった。
「司くん、どうしたの?なんで泣いてるの?」
怖がらせないよう、限界まで声に優しさを含ませて彼に問いた。それでも彼は嗚咽を漏らすだけで何も語ろうとはしない。寧ろ、僕に泣き顔を見せまいと背を向けた。
「…司くん、お願い。教えて欲しいな。」
「…い、今は授業中だろ…早く教室へ帰れ…!」
彼は頑なに答えようとはしない。それでも僕は聞かなければいけない。誰にも弱みを見せない君がなぜそんなことになっているのか。優しく、彼を怖がらせないように。
「ねぇ教えて。誰がやったの。誰が君をそんな風にしたの。」
「……お前には、関係ない…」
そんな彼の言葉を聞き、頭の中でなにかがプツッと切れる音がした。
「関係あるよ!」
「…っ!?る、類…?」
怖がらせないよう、優しく優しくと思っていたが、流石に我慢の限界だ。突然大声を上げられた彼は驚いた様子でこちらへ振り返る。
「何が関係ないだよ!関係ないわけないだろ!」
「ど、どうした類、落ち着け…!」
「落ち着いてられないよ!」
「る…」
「なんで関係ないなんて言えるんだよ!」
全身が熱く腹が煮えくり返って次々と言葉が出てくるが、頭のどこか冷静な部分で意外と自分は短気なのだなと思った。気が付くと司くんは僕の両手を握りながら「落ち着け!」と声を掛けてきていた。あまりの衝撃で先程までの大粒の涙も引っ込んでしまっているようだ。
「る、類…」
「………好きな子が泣いてるのにほっとけるわけないだろ…」
「…っ」
その言葉を聞き司くんは掴んでいた両手をパッと離そうとするが、僕はすかさずその手を捕らえた。そのまま腕をこちら側へ引き寄せ、反対の手で細い腰を抱く。
「ちょっ、る、類!?」
「暴れないで」
「これは暴れるだろう!?」
手足をバタバタとさせ、どうにかこの状況を打破しようとするが、残念ながら僕より身体の小さい彼に勝ち目はない。
「は、離せって…!」
「司くん」
「…っ」
未だ暴れる彼の耳元に口を寄せ、囁くように名前を呼ぶと先程までの動きが嘘のように身体をガチガチにさせてピタリと動かなくなった。これは好都合。
僕はそのまま彼の耳元で語りかけた。
「ねぇ司くん。どうしてこんな所で一人で泣いてたの?」
「ひぅっ…!そ、その耳元で言うのやめろ…」
「教えてよ司くん。お願い。」
「ふ、うぅ……」
吐息が擽ったいのか、彼は耳は真っ赤に染め身体を震わせていた。もう一度「司くん」と呼びかけると、観念したのか今度はキッとこちらを睨みつけてくる。
「お前が!他の奴とキスしてるからだろ!」
「……ん?」
聞き間違えだろうか?身に覚えのない言葉が耳に入ってきた。
「だから!お前が他の女性とキスしてたからだ!オレは見てたぞ!誤魔化しても無駄だ!」
「ごめん司くん、なんの話をしてるんだい?」
「こ、この期に及んでお前…!」
「いやいや、ほんとに分からないんだ…」
改めて聞いてみても彼の言っていることは変わらない。つまりはそういうことなのだろう。しかし分からない。司くんの事が好きな僕が何故ほかの女性とキスをしなければいけないのか。
合点のいっていない様子の僕を見兼ねたのか、彼は更に言葉を続けた。
「さ、さっきの休み時間…お前体育倉庫にいただろ!」
「あぁ、3時間目は体育だったんだ。今日はどうやら日直だったようで片付けを頼まれてね。サボればよかったなぁ」
問い詰めるような口調の彼に僕はありのままを伝える。隠すことなんて何もない。だってそれが事実なのだから。
「サボるな!…って、そんなことはどうでもいい!お前、その時女子生徒と一緒にいただろ!」
「うん、日直は2人ずつだからね。彼女も今日日直だったみたいだ。」
正直名前すら覚えてないけど、という言葉は飲み込んだ。
「た、たまたまお前が倉庫に入っていくのが見えたから後ろから声をかけようとしたら…お前…お前ぇ…!」
「そこでキス?全く身に覚えが無いんだけど…」
全くもって事実無根である。なぜ名前すら覚えていない女子生徒とキスをしなければいけないのか。
「はぁ!?キスしてただろ!ほら!なんかプリント持ちながら!」
「プリント………あぁ」
彼の言葉に記憶を巡らせると、一つのある可能性が頭に浮かんだ。といっても、あれでそんなふうに勘違いできるなんて流石に想像力豊か過ぎやしないだろうか。
「お、思い出したかこの浮気者!オレは絶対に許さんからな!」
「あの時は彼女のプリントを覗き込んだだけだよ。1枚しか無かったからね。その時距離が近くなっちゃったから後ろから見るとキスしてるように見えたのかな?」
「……え?」
「あれに道具片付ける場所が書いてあったから確認させてもらってたんだ」
「で、でも…顔の位置まで屈んでたし…」
「あれだけ身長差あったらねぇ」
なるほど、確かに後ろから見たらあれは角度的にキスしてると思われても仕方ないかもしれない。
ひとつずつ読み解いていくうちに先程まで僕を浮気者扱いしていた彼はそれが己の勘違いだったと気づいたようで、いつの間にか耳だけじゃなく全身を真っ赤にさせてていた。
「す、すまない…オレの勘違いだったようだな…」
「ふふ、誤解が解けたみたいで良かったよ。」
素直に謝れるのは彼の良いところだ。そんな彼に僕も笑顔で素直な気持ちを伝える。
「じゃ、オレはこの辺で…」
「まぁまぁ司くん」
「うぐっ!は、離せ!オレは教室に戻る!」
そのままこの場を立ち去ろうとする司くんの肩をガッシリと捕えると、彼はギャーギャーと声を上げながら抵抗する。しかし残念ながら力は僕の方が強いのでそれは無駄な抵抗に終わった。
「今更戻ったってもう欠席扱いだよ。このまま一緒にサボろうか。」
「やめろー!離せー!」
「まぁまぁまぁ」
諦めの悪い彼は身体を大袈裟に捻らせ僕の腕から逃れようとする。ブンブンと振り回していた腕を掴みその勢いのまま彼の身体をこちらへ向かせる。
突然正面から向かい合わせになったことに驚いたようで、司くんは相変わらず赤い顔をしながら視線をウロウロとさせた。
「…司くん。僕、ほんとに心配したんだ。泣かせた奴が分かったら殺す気満々だった…」
「なっ…ぶ、物騒なこと言うな…!ま、まぁオレも少し早とちりだったかもしれない…すまない…」
「ふふ、いいよ。…でも、またそんな勘違いされたら今度はほんとに傷ついちゃうな。」
「うぐ…」
彼は本当に申し訳ないというような表情を浮かべ、再び「すまない」と謝ってきた。そんな彼の姿を見て、僕はひとつのイタズラを思いついた。彼の誤解であんなに振り回されたのだから僕の多少のお茶目くらい許して欲しい。
「というわけで、僕が絶対浮気なんてしないってこと、身をもって知ってもらおうと思う。」
「……は?」
彼は僕の提案を聞き、頭に疑問符を浮かべる。
「そんな風に思われちゃうくらい、僕の愛情は君に伝わっていなかったようだし。とりあえずまずはキスをしようか。」
「し、しない!!離せ!!」
話終わる前に彼を抱き寄せる。抵抗されるが先程も言ったように残念ながら力は僕の方が強い。
「まぁまぁまぁ」
「笑顔が怖い!」
腰を抱き寄せ顔を近づける。しかし彼は相変わらず大きな声で拒否の意を述べ、僕の胸をグイグイと押し返してきた。
「お、お前はいつも余裕ぶって!いつもオレばかり恥ずかしい目に合う!!」
そんな彼の言葉に僕は少し驚いた。あぁそうか。彼には僕がそんな風に見えているのか。まぁそう思われてるなら僕も必死に隠した甲斐があったのかもしれない。君に情けない姿は見られたくないからね。
「ねぇ司くん」
腰に回していた腕を解き、逃げられないよう素早く彼の手を握る。そのままその手を誘導し、己の胸に当てた。最初はその行動に疑問を持っていた彼もすぐにその意味を理解してくれたようで、「あっ…」と声を上げ赤い顔を更に真っ赤に染めた。
「君が好きだよ。もう君以外見えないんだ。君と話してるだけで…いいや、君が僕の視界に入るだけで、この通りいつもドキドキしっぱなしだよ。他の人にうつつを抜かしてる暇なんてないし、君が僕の知らない他の誰かと話してるだけでそちらに行ってしまうんじゃないかと毎回心配してしまう。僕は全く余裕なんてないよ。」
僕の素直な気持ちを伝えると、司くんは自分の顔を隠すように、何も言わず僕の胸にグリグリと頭を擦りつけてきた。頭を撫でるといつも通りふわふわとした手触りでなんだか落ち着く。
「他のやつの所なんて、行くわけないだろ…!」
「うん。分かってる。分かってるんだけど、やはり心配になってしまうんだよ。」
「類…」
「だからお願い司くん。もっと君に触れさせて欲しい。」
そのままキメ細かな彼の頬に触れると、司くんは一瞬躊躇ったあと直ぐにギュッと瞼を閉じた。そんな彼が可愛らしくて、愛おしくて、僕はつい甘えてしまいたくなってしまう。
「……なんてね、冗談だよ。」
「え…?」
彼の頬からパッと手を離す。彼の体温を感じていた手のひらにはもうその温もりは残っておらず、どこか寂しさを覚えた。
「人通りが少ないとはいえここは学校だ。どこから誰に見られてるかも分からないからね。家まで我慢するよ。」
なんて、こんなものただの建前だ。本当にこのまま彼にキスをしてしまったら僕はもう止まれる自信がない。流石にこんな誰が来るかも分からない校舎裏で彼の純潔を奪うわけにはいかない。
「さて、じゃあ戻ろうか。司く…」
このまま二人で何事もなく校舎へ戻ろう。今は授業中だから授業が終わるまで屋上で次のショーの話でもしようか、そんな事を考える。しかし現実はそう上手くはいかなかった。「司くん」と言いきる前に突然襟首を掴まれたかと思うと、グイッと前へ引っ張られる。少し前屈みの姿勢になったその瞬間、唇になにか柔らかいものが触れた。同時にチュッというひとつのリップ音が鳴り響く。
「……………つ、かさ…くん…?」
普段はよく回る頭も、この状況を理解するのには時間を要した。正面には司くんの可愛らしい顔が随分と近距離で見える。これは、つまり…
「……お、」
「……お…?」
「お前だけが我慢してると思うなよ!」
そう叫ぶと司くんは掴んでいた襟首ごと僕の身体を押しのけそのまま全速力で走り出してしまう。
「ちょっ、司くん…!?」
僕には到底似合わない、焦ったような大きな声を上げ呼び止めるが、足の速い彼は既に校舎裏の角を曲がったのか、その後ろ姿はもう見えなくなっていた。
今すぐにでも彼を追いかけたいところだが、今の僕にそれは無理がある。あまりにも予想外だった衝撃に耐えられなかったのか膝が笑っているし、それよりも何よりも熱を持ってしまったこの身体を冷ますのが先だろう。
壁に寄りかかりズルズルと座り込む。ダメだ。今彼を追いかけたら絶対に欲望のままに襲ってしまう。そんなことをしたら泣かれるどころか、もはや嫌われてしまってもおかしくない。それはなんとしても阻止しなければ。
既に先程から強く鼓動を打っていた心臓が余計に激しく高鳴る。あまりにも早いスピードと力強い鼓動で痛みすら感じるその胸元を強く握り締め、僕は大きなため息をついた。
「あぁ、もう……可愛すぎるよ、司くん…」
あと十数分程で4時間目が終わり昼休みが始まる。それまでにこの気持ちを落ち着かせなければ。
きっと彼は校内のどこかで僕が迎えにくるのを待っているはずだから。

Comments

  • 美雨

    一番好きな話かもしれない、、、、

    July 10, 2024
  • ねいと

    とても健全なのにたいへんえっちな気分になりました ありがとう

    May 27, 2021
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