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一等星は夜空に輝く/Novel by グミの実

一等星は夜空に輝く

14,700 character(s)29 mins

セカイに現れた謎の小屋に入ると、そこは天馬司の思い出を映すシアターだった。


咲希ちゃん成分モリモリの類司です。
天馬司という人間について考えながら書きました。
天馬家の過去を捏造しています。
ストーリーは一通り読みましたが、もしかしたら矛盾があるかもしれません。広い心でお許しください。
衝動のままに書いてろくに校正していません。ミスがあったらそのうち直します。

4月のテンツカイベが始まる前に書いたので早速矛盾があります、ご了承ください。
ラストシーンはfgo2部1章のオマージュです

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 その箱はセカイの端にあった。回り続けるメリーゴーランドからも、星空を駆けるジェットコースターからも、カラフルなバルーンに彩られたサーカステントからも、ずっとずっと離れたところに、静かに佇んでいた。
 興味本位でセカイの端まで探索してみようと、あてもなく歩いていたところに、それは現れた。その箱はプレハブの小屋くらいの大きさで、白い色をしていた。色とりどりのセカイに似合わず、その箱はどこか浮いていた。
 類ははて、と首をかしげた。この箱はこのセカイに、ずっと存在していたのだろうか。
 その箱には、木でできた小さな扉がついていた。少しかがまないと頭を打ってしまいそうなくらい小さな入り口、類の腰のあたりにドアノブがついているから、なるほどこの箱は小屋なのだな、と思った。
 自分の中で好奇心がぐぐ、と顔を出すのを感じる。類は未知のものが好きだ。自分の知らない何かが目の前にぶらさがっていれば、触れずにはいられない性質だ。だからその扉に手をかけることに、類は何の抵抗も感じていなかった。

 小さな見た目に反してその扉は、存外重かった。きゅう、と蝶番が鳴る音がして、小屋の中が光に照らされる。人ひとり通るのがやっとのその入り口から体を滑り込ませて、類は後ろ手で扉を閉めた。
中には蛍光灯の照明もあったけれど、よく晴れた日のように明るいセカイからそこに入ると、視界が暗くてよく見えない。それでも、そこに小さなこどもが居ることは、類の目にもはっきりと映った。その子どもは歩きを覚えたばかりのような足取りで、よちよちと進んでいる。
 その子どもはきらめく金色の髪をしていた。桜桃のようなみずみずしい瞳がきらきら輝いて、一心に歩く。
 司くんだ、そう思った。

 このセカイは僕たちの想いでできている。司くんの妹が大切にしていたぬいぐるみも、彼が焦がれた光り輝くショーも、このセカイに存在して、息をしている。だから、類は直感で理解した。あれは幼い司なのだと、確信すらあった。

【第一幕】

 その部屋は穏やかなピアノの音がしていた。春の日差しが青い葉の隙間から零れ落ちるような、温かな音色だった。
曲名はわからない。聴いたことがあるのかもしれないし、ないのかもしれなかった。

 類の目が明るさに慣れてくると、周囲の景色が徐々に見えてきた。幼い司は、男性に手を引かれていた。なぜか男性の顔はどんなに目を凝らしても見えなかったが、司が満面の信頼を寄せてその手をとっているから、きっとあれは司の父なのだろうと思った。
 そして、小さな小屋のどこにそんなスペースがあるのか、そこは長い廊下だった。扉があけ放された部屋が向こう側までいくつも並んでいて、それぞれの部屋には番号が振られている。無機質に並んだそれらと、どこからか薬品のにおいがして、ここが病院なのだと理解した。
 司は父に手を引かれながら、一番手前の部屋に入っていった。類は部屋の入り口からそっと中をうかがう。特に深い意味はなかったが、好奇心の前では不思議と抵抗感もなかった。

 4つ並んだベッドの、右手前側。幼い司よりもっともっと小さな子どもを——あれは、赤子といったほうが正確か——愛おしそうに抱く女性がいた。父と同じくその人の顔も見えなかったが、司を見て優しく微笑んだのが不思議とわかった。そして、それを見た司くんが本当に嬉しそうにきらきらと笑うから、その女性は司の母だと思った。
「咲希っていうの」
 司の母は、その腕の中のやわらかな命を、司に見せた。さわってごらん、優しくね、そう促されて、幼い司が赤子に手を伸ばす。
 赤子のほっぺたが司の指でやわやわと沈んで、そしてまた、司の瞳がきらきらと輝いた。
「司、お兄ちゃんになったんだよ」
 父の声に、司は黙ってうなずいた。まるい頬をピンク色に染めて、司は赤子をもう一度撫でる。
「…かわいいね、」
 司の瞼がふわりと伏せられる。幼い司には、妹が生まれた喜びを表す語彙はそう多くないようだった。司は何度も、妹を撫でながら、かわいいね、かわいいねと繰り返した。

 その光景に、類はじわりと温まるような心地がした。生まれて初めてみた、自分よりも小さな命。新しい命、愛しい命。類に兄弟はいないため経験はないが、それでも目の前の景色は、あまりにも暖かかった。

 ふと視線を落とすと、入り口と同じ大きさの、小さな扉があった。幸せな光景と類の間に、無言でたたずんでいた。扉はあるけれど、壁はない。この空間で随分と異質なそれは、突然現れたようにも見えたけれど、最初からそこにあったのかもしれない、とも思った。類が温かな光景に目を奪われて、気が付かなかっただけなのかもしれない。そんな気がした。
 類は入り口の扉を開けたのと同じくらい、ためらいなく、その扉を開けた。


【第二幕】
 扉をくぐると、そこは先ほどと同じくらいの大きさの部屋だった。無機質な部屋に、ベッドが4つ。先ほどの部屋とひどく似ていて、ここも病室なのだとすぐに分かった。
ベッドの上にはかわいらしいぬいぐるみがいくつも並んでいた。テーブルの上には折り紙でできた星と、クレヨンで描かれた画用紙いっぱいの4人家族の絵が飾ってある。
 所狭しと並べられたぬいぐるみの中で、うずくまって眠る子どもがひとり。ピンク色のパジャマの襟に少しかかるくらいの髪もまた、司と同じ金色をしていた。細くて小さな腕から延びる管は、無機質な点滴の棒に繋がっている。よく見るとガーゼで保護された針の周りにも、刺さっていないほうの腕にも、いくつも痛々しい針の跡があった。
 その痛々しさとは裏腹に、子どもの寝息は穏やかだった。

「咲希!」
 その寝息は、少年の声で止んだ。ぱちりと目を覚ました子どもは勢いよく起き上がり、病室の入り口に目を向ける。
 そこには、黒いランドセルを背負った少年がいた。きらきら輝く瞳を細めて、よく通る声で名前を呼ぶ。その姿を見て、類はすぐに司だと分かった。先ほどの部屋で観たのよりもずっと身長が伸びていたけれど、それでもぴかぴかのランドセルが随分と大きく見えた。
「お兄ちゃん!」
 その姿をみて、ベッドの上の子ども——咲希は、とてもうれしそうに笑った。

「今日は咲希のために、とっておきを用意したんだ!」
 司はベッドサイドの椅子にランドセルを降ろすと、得意な顔でそれを取り出した。折り紙と星のシールでできた、司の手のひらほどの小さな包だった。咲希は期待に満ちた目でそれを受け取ると、ちいさな手でそれを開ける。
「わぁ…!」
 包の中身は、色とりどりのビーズで彩られた髪飾りだった。星、ハート、花、リボン、いろいろな形をしたビーズが無秩序に並んでいるそれは、幼い司の手作りだとわかった。「きれい、」と感嘆の声を漏らした咲希に、司は得意な顔で微笑みかける。
「退院が決まったお祝いだ!」
「うれしい!ありがとう、お兄ちゃん!」
 咲希はその髪飾りを胸の前で抱きしめる。すると点滴の跡がついた咲希の細い腕が、司の眼前に晒された。
「…」
 一瞬、司の瞳がこぼれおちそうなほど見開かれて、——それでも、それは本当に一瞬だった。
「ああ、お兄ちゃんだから当然だ!」
 瞬きの間に、司は再び兄の顔を取り戻した。そして今よりも随分と高い声で、それでも今と遜色のない大きな声で高らかに言ったのだ。

 ——これは司の過去だ、と類は確信を持って思った。司の思い出を、類は覗き見ている。類は確かにその部屋にいるはずなのに、司も咲希も、類の存在を気にするそぶりはなかった。ステージの演者と客席の観客のように、司と咲希、それと類の間には、別世界があった。
 このセカイに現れた小さな箱は、司の思い出を上映するシアターなのだ。

 それに思い当って類が初めに思ったのは、これは自分が観てよいものなのかということだった。類が知っている司は、自分自身の話をあまりしない。病弱で入院がちだった妹がいること、その妹のことが大切でたまらないと公言してやまないこと、妹も司もショーが大好きなこと。類が知っているのはそれくらいだ。司が類に語ることのなかった思い出を、こんな形で覗き見してよいのか。
 と、そんな類の思考は、女性の声で遮られる。

「もう司、お見舞いの前に一回家に帰りなさいって、何度も言ってるじゃない」
 司を心配する声色は、やはり病室の入り口から聞こえてきた。司の母だった。相変わらず顔を見ることはできないが、それでも司の母だと類は思った。
お兄ちゃん、また学校からまっすぐ来たの?驚いたような声に、司は母に体を向けたまま、妹のほうをぐるりと見た。
「い、いや違うぞ咲希。オレはちゃんと一度家に帰って…」
「じゃあ司、このランドセルは何?」
「うっ」
 幼い子供の小さな嘘はあっさりと母に見破られて、司は言葉に詰まる。しどろもどろに彷徨わせた視線は、やがて覚悟を決めたように母に向けられる。
「もうしない。ごめんなさい」
 素直に謝った子供の頭を、母の手が優しく撫でた。「謝れてえらいね。でも心配だから、もうしないでね」と、病弱な妹と遜色なく守られて愛されている光景に、じわりとこみ上げるような心地がして、数回瞬きをした。
「…でも、咲希に早く渡したかったんだ」
 小さく呟かれた、妹を喜ばせたい兄の声に、母はもう一度司の頭を撫でた。
 優しいピアノの音色は、この部屋でもずっと聞こえていた。


 気が付くと、小さな扉がまた、目の前にあった。
 さっきまではなかった扉が、急に現れた。先の部屋とは違い、類はそう思った。その扉には相変わらずドアノブがついていて、類に開かれるのを今か今かと待っている。
 司が語らない、次の思い出に繋がっているのだ。
 類は扉に手をかけた。類の知らない司を、もっと見たいと思った。これは好奇心だろうか——心に浮かんだその問いに、ゆっくりと首を横に振る。
 違うと、そう言い切れた。司の過去を探る動機を、類は明確に持っている。この気持ちは気が付いたら、類の心にあったものだった。長いことくすぶって、ついに抱えきれなくなってしまったそれ。
類は司のすべてを知りたかった。過去のことも、これからのことも。
 ゆっくりドアノブを回す。次の部屋は拒むことなく、類のことを受け入れた。


【第三幕】

 部屋の中央には白いテーブルが置かれている。それとセットのように見えるシンプルな椅子が3脚、壁側に寄せられている。テーブルの手前側に、星の形のシールやピンク色のリボンで飾り付けされていて、ほかの3つよりもきらきら輝く椅子が置いてある。そこに咲希は座っていた。類からは背中しか見えないが、テーブルの向こうを見つめる咲希はどこかそわそわしているように見えた。
 壁際に視線を巡らせると、テレビ、時計、飾り棚が並んでいる。飾り棚にはランドセルを背負った司を中心に、4人で並んでいる家族写真が飾ってあった。それを見て類は、ここは天馬家のリビングだろうと思った。

 テーブルの向こう側に、司はいた。先の部屋で観たよりも体が大きくなっていたが、それでもあどけなさが残っていた。

「あるところに、運動が苦手な1匹のうさぎがいました」
 今よりも高い声で司が言うと、テーブルの上に1匹のうさぎが現れた。うさぎはピンク色のミトンに耳が生えている形をしていて、司の左手がすっぽりとはまっている。司の指の動きに合わせて、口がぱくぱくと動いていた。
「『明日は運動会。でもわたしは走るのが苦手だし、綱引きも玉入れも、嫌な思いをしちゃうだろうなあ』」
 うさぎはテーブルの上に、しょんぼりとうなだれた。そこへ、茶色のミトンを着た司の右手が現れる。
「『大丈夫だようさぎさん。ぼくと一緒に練習しよう。』」
 その声で顔をあげたうさぎは、クマの耳がついたミトンと会話を続ける。
「『わたし、昔からずっと運動が苦手なの。練習したって上手くいかなくて、みんなに迷惑をかけちゃうよ』」
「『そんなことないよ。今から練習すればきっとうまくいく。きみを笑うひとなんて誰もいないさ』」
「『そうかな。…わたし本当は、みんなみたいに運動会を楽しみたいの。練習すれば、うまくなれるかなあ』」
「『もちろん!ぼくは運動会が大好きなんだ。いろいろ教えてあげるから、一緒にがんばろう!』」
「『ありがとう、くまさん。わたし、練習がんばるよ!』」

 2匹は頷きあって、一緒に歩き始める。
「『まずは走る練習だよ。さあうさぎさん、走ってみて』」
「『う、うん。いくよ』」
 よーいドン!の掛け声で、うさぎはよたよたと動き出す。その動きはぎこちなくゆっくりで、なるほどうさぎは確かに、走るのが苦手なようだ。
「『うさぎさん、もっと腕を大きく振るんだ!』」
「『わ、わかった!えいっ』」
「『体を起こして!』」
「『こうかな?えいっ』」
「『足元じゃなくて、ゴールのほうを見るんだよ!』」
「『ゴールを、見る!』」
 クマのアドバイスに従って、下を向いていたうさぎは顔を上げた。するとどうだろう、よたよたと走っていたうさぎの走るスピードが速くなる。
 走り終わって息を切らしているうさぎのもとへ、クマが駆け寄った。
「『すごいじゃないかうさぎさん!やっぱりうさぎさんは、練習すれば速く走れるんだ!』」
「『くまさん、ありがとう!わたし、こんなに速く走れたのは初めてだよ!』」
 2匹は手を取り合って喜んでいる。その様子をみて、咲希がくふくふと嬉しそうに笑った。司は咲希ににっこりと笑顔で返して、そして次の場面へ。

「『次は玉入れの練習だ!うさぎさん、この玉をぼくに投げてみて』」
「『わかった。えいっ』」
 うさぎが投げた毛糸の玉はクマのところには届かずに、2匹の間にぽとりと落ちる。
「『もっと力を抜いて。もう少し上に投げるんだ。曲線を意識して投げるんだよ』」
「『力を抜いて、上に投げる…やってみるね!えいっ』」
 毛糸の玉は再び2匹の間に。それでも先ほどよりも、クマに近い場所に落ちた。
「『その調子!それと少し落ち着いて、慌てずに投げるといいよ』」
「『落ち着いて…ふう、…いくよ!えいっ』」
 うさぎが投げた玉は、先ほどよりも遠くへ。それをクマが両手を広げてキャッチした。
「『すごいじゃないかうさぎさん!やっぱりうさぎさんは、練習すれば上手に玉を投げられるんだ』」
「『ありがとうくまさん!わたし、こんなに上手に玉を投げられたのは初めてだよ!』」
 2匹はまた、手を取り合って喜んだ。

「『じゃあ最後は、綱引きの練習だ!うさぎさん、この綱を引っ張ってみて』」
「『うん。やってみるよ!』」
 テーブルに置かれた黄色のひもの端と端を、うさぎとクマが持った。
「『よいしょ、よいしょ…』」
 うさぎは一生懸命綱を引っ張るけれど、クマはびくともしない。それどころかクマが少し綱を引いただけで、うさぎは体ごと前に引っ張られてしまう。
「『やっぱりくまさんは力が強いのね。わたしじゃあ敵わないよ』」
「『そんなことないようさぎさん。引っ張るのにはね、コツがいるんだ』」
 再び縄の両端をもって、2匹は向かい合った。
「『引っ張るときは腕だけ使うんじゃなくて、思い切り体重をかけるんだ』」
「『体重をかける…?わかった、やってみるよ』」
 うさぎはもう一度、綱を引く。よいしょ、よいしょ…と力む声は先ほどよりも小さくて、自信がなさそうだ。
「『どうしたのうさぎさん?体重をかけて引っ張ってみて』」
「『…』」
 うさぎは押し黙ると、綱を引くのをやめてしまった。しょんぼりとうつむいて、ぽつりとつぶやく。
「『後ろに倒れちゃいそうで、怖いよ…』」
「『大丈夫だようさぎさん。倒れたりなんてしないよ』」
「『でも…やっぱり怖い』」
 うさぎは綱から手を放してしまう。紐がぽとりとテーブルへ落ちる。そうして、しょんぼりと落ち込んだうさぎは、ついに泣き出してしまった。
「『せっかくくまさんが練習してくれてるのに、やっぱりわたしは運動会なんてできないよ~!』」
 うえーん、声を上げて泣いてしまったうさぎに、くまは慌てて駆け寄った。
「『ごめんねうさぎさん。ぼくが悪かったよ』」
「『くまさん…、うえーん!』」
「『走るのと玉を投げるのは上手になったから、運動会はその二つを頑張ればいいよ。全部できなくても、自分ができる範囲でやればいいんだ。…さあうさぎさん、今日は帰ろう』」
「『ぐす、ぐす、…ごめんねくまさん…』」
 そうして2匹はとぼとぼと歩き出した。

「そして次の日。動物たちの運動会が始まりました。最初の競技は徒競走です」
 司の声で、場面が転換する。テーブルの上に緑色の布が広げられる。布にはトラックの白線が描かれていて、それは司が手作りしたものらしかった。
「『第一レーンは猫さん、第二レーンはうさぎさんです!』」
 右手には、今度は猫の形のミトン。ぱくぱくと口を動かしながら、左手のうさぎに言う。
「『わたしは走るのが大の得意なのよ。走るのが苦手なうさぎさんには負けないわ』」
「『…』」
 スタートラインに立った二匹は、「よーい、ドン!」という司の合図で一斉に走り出す。
 猫が先を走り、うさぎが後を追いかける。うさぎも懸命に走っているが、2匹の距離は少しずつ離れていった。そのとき。
「うさぎさん、頑張って!」
 咲希の声だった。テーブルの上の小さな運動会に夢中になった咲希の応援に、司は少し驚いたような顔をするが、その顔はすぐに笑顔に変わった。
 一生懸命に走るうさぎが加速する。咲希の応援に合わせて、猫との距離がどんどん縮まっていく。そしてゴールの直前で、ついに猫を追い越した。
「『一着はうさぎさんです!』」
 司が高らかに言うと、咲希は「やったー!」と一緒になって喜んだ。

「次の競技は、玉入れです」
 布でできた運動場に、空のワイングラスがふたつ。周りには赤と白の毛糸玉がいくつも散らばっている。司の右手は、今度は犬のミトンを着ていた。
「『ぼくは玉入れが大の得意なんだ。玉入れが苦手なうさぎさんには負けないよ』」
 2匹はワイングラスを挟んで向かい合う。「よーい、ドン!」の合図で玉入れが始まった。司の右手と左手が、交互に玉を投げる。
 そしてワイングラスが毛糸玉で満たされたころ、「終了です!」と司が宣言した。うさぎの足元には毛糸玉が1つ。そして犬のところには2つ残っていた。
「『勝ったのは、うさぎさんです!』」
 その声に、咲希がきゃあきゃあと声を上げて喜んだ。

「『すごいじゃないかうさぎさん!一体どうやって、こんなに上手になったんだい?』」
「『うさぎさんが上手になってて、わたしたちびっくりしちゃったよ!』」
「『ありがとう!くまさんとたくさん練習したんだよ』」
 色とりどりの動物たちに囲まれて、うさぎは活躍を称えられている。
「『うさぎさんは頑張り屋さんだものね。次の綱引きもきっと上手くいくよ!』」
「『綱引き…』」
 再びしょんぼりとうつむいてしまったうさぎのもとに、クマが現れた。
「『ほら見てうさぎさん。みんなきみの活躍を見ているんだ』」
 クマはうさぎの手を取って言う。
「『みんなが応援しているよ!うさぎさん、自分を信じるんだ!』」
 その言葉に、うさぎはしっかりと顔を上げた。
「『…わかった。わたし、やってみるよ!』」

「『最後の競技は綱引きです!』」
 司の右手には、今度は馬の形のミトン。明るい黄色のひもの端を、それぞれうさぎと馬が持った。「よーい、ドン!」の掛け声で、お互いにそれを引っ張りあう。うさぎも懸命に綱を引くが、じわじわと前に引っ張られていった。
 それを見ていたほかの動物たち。犬も猫も、そしてクマもいた。
「『うさぎさん、がんばれー!』」
 仲間たちの応援が響く。
テーブルの上の小さな運動会に釘付けの咲希も、思わずといった様子で叫んでいた。
「うさぎさん、頑張って!」
 その声援を聞いて、うさぎは体を後ろに倒して、綱を思い切り引っ張った。

 そうして、——うさぎは臆病な気持ちに勝利した。

「こうして、仲間の応援で勇気を出したうさぎさんは、運動会で大活躍したのでした。」
——めでたし、めでたし。司の言葉で、小さなショーは幕を閉じた。


「すごい、すごい…!お兄ちゃんすごいよ!」
 瞳をきらきらと輝かせて、咲希は司に駆け寄った。司はすっかり得意になって、「兄だから当然だ!」と笑っている。
 咲希のいないところで準備していたんだ。左手でやる玉入れのシーンなんか、たくさん練習したんだぞ。司の言葉に、咲希は満面の笑みで返す。

 リビングのテーブルで、観客は咲希ひとり。そのひとりのために兄はひとりで準備して、そして披露した。
 妹のために、そこまでできるだろうか。類はそう思った。類にはきょうだいがいない。司にとっての咲希のような、愛おしい存在もいない。だから不思議だったのだ。
 それでも、と思う。妹の笑顔のために何でもするのが、司という人間なのだ。
 妹を笑顔にするショーを。その想いだけで、広いセカイをひとつ作ってしまうような。天馬司はそういう人間なのだ。

 咲希からの賞賛をたくさん受け取って、そして司は優しく笑った。それは類が知らない表情だった。得意げになって高く笑うスターの天馬司ではなく、類と楽しそうに話す高校生の天馬司でもない。そこにはただ、一人の兄がいた。
 そして兄は少し目を伏せ、妹と向かい合う。
「咲希、運動会は来年もある。来年は、…絶対出られるよ」
「…」
 その言葉で、咲希の桃色の瞳が、みるみる大粒の涙で満たされる。それは薄紅色の頬をつたって、ぽたぽたと床に落ちた。
「元気になったら、一緒に走ろう。練習ならいくらでも付き合うぞ」
「お兄ちゃん…」
 あふれて止まらない涙を、咲希はパジャマの袖でごしごしぬぐった。「こら咲希、こするんじゃない」と、司が優しく咎める。

「今日、運動会、行きたかった…」
 そう言って肩を震わせる咲希を、司は両手にミトンをつけたままで抱きしめた。
リビングの窓には、小さなてるてる坊主が2つ。運動会の日が晴れますように。ふたりぶんの願いは悲しいほどに天に届いて、雲一つない空から降り注ぐ西日が、小さな兄妹を照らしていた。


 そして、類の目の前に再び扉が現れる。それを開く手に、もう抵抗感はなかった。類の知らない司の思い出を、類は知りたかった。司の近くにいるのに、まだ知らないことがたくさんあった。
ゆっくりとドアノブを回すと、ぎぎぎ、と金属が擦れる音がした。見た目は先の扉と変わらないはずなのに、それは随分と重かった。類の顔に疑問が浮かぶ。
「意外と重いな」
 思わずつぶやきながら、それでも類は扉を開けた。


【第四幕】
 
 そこは再び、病院の廊下だった。この箱に入ってからすっかり嗅ぎ慣れてしまった、薬品のにおいが鼻を突く。窓の外は真っ暗で、今度は夜なんだな、そう思った。——そのとき、ガラガラと車輪が転がる音と、悲痛な司の叫びが聞こえてきた。

 類は驚いて声のするほうを見やると、大勢の白衣の大人が、駆け足で担架を押していた。その大人たちに混ざって、司が叫んでいる。そうして、その光景に息をのんだ。
「…!」
 担架の上には、金色のロングヘアをした少女が横たわっている。苦痛にゆがむ瞼は固く閉ざされていて、桃色の瞳は見えない。たくさんの点滴が腕に繋がれ、口元には酸素マスクがあてられ、胸からは電極が伸びていた。
ぽん、ぽん、無機質な電子音が、随分に遅いリズムを刻んでいる。——それが人間の脈にしてはあまりにもゆっくりだったから、その音が咲希の鼓動だということが、類には信じられなかった。

「咲希!咲希!!!」
 司は担架にすがりついて、妹の名前を呼んでいた。その声は、類が聞き慣れた低さをしている。司は高校のブレザーを着ていて、幼さが抜けた顔には汗がだらだらと滲んでいた。
 その光景に、類ははっとする。
 ——これは、子どもの頃の思い出なんかじゃない。

「咲希、っ…!」
 司の呼びかけにも、咲希が目を開けることはなかった。苦痛に歪んだ表情は変わらず、兄のショーにきらきらと瞳を輝かせた咲希からは想像できないほどだった。

 そこには、消えかけの命があった。

「は、…」
 目の前の光景に目を奪われる。ど、ど、類の心臓が痛いほどに鳴り出した。あの日祝福されて生まれてきた命が、たくさん愛されて育ってきた命が、今は残酷なほどの冷たさをもって、横たわっている。
 は、は、乱れた呼吸に、類は思わず口元を抑えた。

「咲希!」
 司のよく通る声が、もう一度妹を呼ぶ。点滴が刺された真っ白な手を、司は力強く握った。
「大丈夫だ咲希!お兄ちゃんがついているから!」
 必死の叫びに、類は目を見開く。消えそうな命を前に、類は取り乱すことしかできなかった。泣き叫びたくなるような絶望と恐怖が、心臓をがんがんと打ち付けている。それでも司は、天馬司という人間は——

「諦めちゃダメだ!!!!」

 類の目の前を担架が通り過ぎた瞬間、恐怖よりも絶望よりも、妹を必死に励ます兄の姿があった。

 集中治療室の扉の向こうに、白衣の大人によって咲希は運ばれていった。
 鉄でできた厚い扉が閉まる音。息を切らした司は、その場にずるずるとへたり込んで、は、は、荒い呼吸で扉を見ている。
「…咲希」
 妹の姿が見えなくなって、それで初めて司の瞳から、涙がとめどなく溢れた。何度も咲希の名前を呼びながら、ぼろぼろとしずくが落ちて、ブレザーに染みをつくっていく。

 咲希のことを、司はなんと言っていただろうか。
 ひとつ年下の、体の弱い妹。病気で入退院を繰り返していた妹。卒業まで、中学にはほとんど行けなかったという妹。
 病との戦いは、咲希が中学を卒業するまでずっと続いていたのだ。
——司は、類と出会うほんの数か月前まで、妹が死んでしまう恐怖とずっと戦っていた。

類は思わず、司に手を伸ばす。しかしそれは司に触れることなく、すっと背中を通り抜けてしまった。触れられない。類には、何も、できない。

「お願いします、咲希を助けてください…」
 普段の司からは想像もつかないようなか細い声が、病院の廊下に響く。床に膝をついてうつむくさまは、まるで祈りのようだった。実在するかも分からない神にも仏にも、縋れるものすべてに縋りながら、司は涙を流し続けた。

「大事な、たったひとりの、妹なんです」

 小さくなって泣き続ける司の声が、ずっとずっと響いていた。


【第五幕】

 次の扉を開けると現れた部屋で、司は腕組みしてベッドに腰かけていた。その横のラックに、何度か見たことがある司の私服と、スクールバッグがかけられている。几帳面に整えられた棚には、ミュージカルやショーのDVDが何本も収められている。だから類は、ここは司の部屋なのだと思った。
 その部屋は、時計の秒針が進む音以外は、静寂だった。司は時折、手持ち無沙汰にスマートフォンを取り出したり、おもむろに立ち上がって部屋の中をうろうろと歩いたりして、どうにも落ち着かない様子だ。
 その静寂を打ち破ったのは、がちゃん、玄関のカギが開く音。それに司ははっと顔を上げて、手にあったスマホすら放り投げて、部屋の外へ一目散に駆けだした。
 司の身のこなしに一瞬たじろぎながら、類も司を追う。開けっ放しになっている部屋のドアから、バタバタと大きな音を立てて階段を駆け下りる司の足音と、玄関のドアが開く音がしたのは、ほとんど同時だった。

 階段を降りたところで玄関のほうをみながら、司は立ちどまった。視線をたどると、長い髪をふたつにくくって、パジャマでも病院着でもない洋服を着て、咲希が立っていた。咲希は両親とともに、よく晴れた太陽に照らされながら、病室に置いてあったたくさんのぬいぐるみを抱えて、満面の笑みを浮かべていた。

「ただいま、お兄ちゃん!」

——それを見て、類はじわり、目頭が熱くなった。祝福されて生まれてきた姿、兄から惜しみない愛情を受けている姿、運動会に出たかったと肩を震わせる姿、担架に乗せられ、苦痛に歪んだ姿、——そして、妹を助けてほしいと涙を流す司の姿が、思い出された。

「咲希」
 司は一歩一歩、ゆっくり、咲希のもとへ歩む。金色の瞳が、みるみる涙に覆われていった。髪と同じ色の睫毛が濡れて、透明な雫が司の白い頬を伝っていた。
「おかえり、咲希」
 涙で震える声のまま、兄は妹を、強く強く抱きしめた。

 司は、あまり自分のことを語らない。病弱で入院がちだった妹がいること、その妹のことが大切でたまらないと公言してやまないこと、妹も司もショーが大好きなこと。類が知っているのはそれくらいだ。
 それでも。きっと司は、このときはじめて妹の前で泣いたのだと、類は思った。


【第六幕】

 扉の向こうには、今までのどれとも違う景色が広がっていた。

 室内のはずなのに、その空間はどこまでも広がっている。どんなに遠くに目をこらしても端なんて見えない。頭上には満天の星空があった。
 中央に置かれたグランドピアノが、星たちの光を反射して、きらきらと光っている。奏者が座る椅子は色とりどりのシールで彩られていて、そこに司は座っていた。
 きらきら、きらきら、司の金色の髪が輝いている。大きな瞳に星空をたたえて、今にもこぼれおちそうだった。
 その瞳がはっきりと類に向けられたから、類は思わず息をのんだ。その瞳があまりにも綺麗だったのだ。

「類」
 よく知った声で、類の名前を呼ぶ。不思議と驚きはなかった。目の前にいる司が、類の知っている司だと、なぜだか確信があった。
「司くん、」
 かつ、かつ、類が一歩ずつ司に歩むたびに、靴音が響いた。司の思い出の中では、類の足音は立たなかったし、司に触れることもできなかった。それでも、ここでは靴音が響いた。演者と観客の間に隔たる壁はもうない。演者と観客ではなく、ここには天馬司と神代類がいる。
「きみが箱を作ったのかい?」
「…オレの想いからできているセカイならば、まあ、オレが作ったことになるかもしれないな」
「そうかい」

 きらきら、きらきら。類のことをまっすぐ見る瞳が、星空のようにまたたいている。最近はこうして、一緒に話すこともなかった。こうして顔を合わせるのは、随分久しぶりのように思えた。

「きみは、ずっとここにいたの?」
「いや、セカイに来るたびに、たまに弾きにきていただけだ。グランドピアノを弾く機会なんて、なかなかないからな」
「ああ、だから最近、ショーテントにいないことがあったんだね」
「そうだ」
 司の返事に、類は安心したように息を吐く。まっすぐに向けられる瞳が、類と話す声が、うれしくて仕方ない。

「君に告白したのが、僕を避けるほど嫌だったのかと思ったよ」

 ぱちりと瞬いた司の瞳が、満天の星空に負けないくらい、強い光を放っていた。
「あー…それは、悪かった」
「自覚があったのかい」
「いや、避けていたわけじゃないんだ。ただ類の告白の返事を、どんなふうにしようかと悩んでいて…」

 ああ、と思った。司に想いを伝えたのは、類の中では勝算があった。司と類は、きっとお互い誰よりも仲が良いと、そう思う。一緒にいる時間が長かったから、司からの視線に熱が混ざっていることも、類は気づいていた。わざと身体に触れれば司の頬が赤く染まったし、ただの友人には見せないような顔を、たくさん見せてくれていると思っていた。
 それでも、司は迷っていると言うのだ。今まで思ってきた司の気持ちが、類の勘違いかもしれない可能性に思い当って、類は頭を抱えた。
「僕は勘違いをしていたのかな…」
「いや、勘違いではないぞ」
 その言葉に、類は顔を上げる。司のしろい指が、類の手をそっと取った。きらきらと輝く一等星のような瞳、それがきゅうと細められて、形のよい唇が、言葉を紡ぐ。

「オレも類が好きだ」

 今度は類が、ぱちりとまばたきする番だった。

「類がオレのことをもっと知りたいと、全部知りたいと言ってくれて、嬉しかったんだ」

——ああ、そうだったのか。そう思った。
 司に好きだと告げた。司が自分自身のことを語らないのが、どこかさみしかった。だから類は、司のことを全部知りたいと、正直に伝えたのだ。

「それで、僕に見せてくれたんだね」

 類が知らない司を、司の大切な思い出たちを、全部類に見せたのだ。類になら、見せてもよいのだと。それが、司からの返事だった。

「そういうことだ!」

 司は満面の笑みを浮かべて、類を見つめていた。その瞳は、類が好きだと、そう言ってきらきら輝いた。
 誰よりも輝く一等星。

「そうだ類、お前ピアノいけるか?」
「え、ピアノ?…ピアノは経験がないな。音楽の授業で、鍵盤ハーモニカを吹いたのが最後だ。ピアノはからっきしだよ」
「よし、じゃあ今から一緒に弾こう」
「えっ!?」
 ぐい、と手を引かれて、類は司の隣、鍵盤の前に躍り出る。何が「よし」なのか、困惑する類をよそに、司はきらきら笑っている。

「これなら弾けるだろう?」

 満天の星空を反射して、鍵盤もきらきらと輝いている。ここにあるすべてが、きらきら、きらきら、輝いていた。これが司のセカイならば、何もかもが星のように輝いていることにも、すべて納得だった。司の指が、輝く鍵盤の上を踊る。
 司の奏でる音色は、とても、優しい音がした。
 そしてその曲を、類は知っている。

「『きらきら星』」

 正解だ、そう言って司は笑った。
「咲希と一緒にピアノを習っていたんだが、咲はよく腕に点滴を刺していたから。ピアノを弾くために指を動かしたら、腕が痛くなってしまうと思ってな。昔、練習したんだ」
 司の指が鍵盤から離れて、類の右手、人差し指をとった。本気かい、そう尋ねる言葉は、声になることはなかった。星の色をした髪、夜空に光る瞳、天馬司という存在のすべてが、本物の一等星のように輝いていて——とても、きれいだったから。

「指一本でいいんだ。一緒に演奏しよう」

 類は鍵盤に、指を一本だけ置いた。司は微笑んで、そして再び指が躍る。優しくて、暖かい旋律。そういえば『きらきら星』は、本当は恋の歌として作られたらしいと、どこかで聞いたことがあった。

 類は一本ずつ、鍵盤を押した。
 司の指は自在に音楽を奏でているのに、類のそれは、音が強すぎたり弱すぎたり、リズムに走ったり遅れたり、ちぐはぐなものだった。それでも、類はピアノを弾いた。満天の星空の下、誰よりも輝く一等星の隣で、不器用に音を紡ぐ。

 きらきら光る、お空の星よ———

 その曲はやさしくて、きれいで。じわり、たまらない気持ちがこみあげてきた。

 司くん。類は心の中で語り掛ける。
 司くん。君は妹を愛して、家族みんなに愛されて、そうして育ってきたんだね。
 ショーを愛して、妹の笑顔を愛して。すべての優しさを妹へ向けて。
 妹を失う恐怖と戦い、そして勝利したんだね。
 だから司くんは、こんなに輝いているんだね——


 演奏が終わり、鍵盤に向けられていた視線が、類に移る。司は満足したように、きらきらと笑っていた。
「はは、初めてにしてはなかなかやるじゃないか。もっと音を間違えるかと思ったぞ」
「無茶ぶりの自覚はあるんだね…」
 司の満面の笑みを、類は見ることができなかった。視線は鍵盤に落ちたまま。生まれて初めてピアノに触れたその指を、じっと見つめている。
「…類、」
 そんな類を見て、司は優しく微笑んだ。

「類、泣くな」

類の目から涙が溢れて——それはとめどなく、星空の海へ落ちていった。


『一等星は夜空に輝く』


Comments

  • 葉っぱの芽
    November 9, 2025
  • aa
    August 4, 2023
  • 五月雨方向音痴
    January 20, 2023
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