丁寧な夢
きみ。わたしが、不細工なわたしの全てを切り離して、きみになろうと思うほど、君は綺麗だった。わたしはあなたにはなれなかった。あなたはきっと唯一無二だった。この先もそうだと思う。薬の副作用が酷くて起きられないと言うと電話をかけてきてくれた。次の日は早起きなのに電話を繋げていたら私が置いていかれた話を聞いてくれた。あなたが好きだからあのミュージシャンの曲を聴くようになった。共に口ずさめるようになりたくて沢山聴いた曲があった。ヨルシカを聴かない理由が同じだった。ひとつ下だったけれど、そうとは思えないほど自立していた。女性のように物腰がやわらかいのに、確かな芯があって、あまりに脆弱にみえるくせに、どこまでも強かだと思った。昔の写真を見せてくれたことがある。あなたは、きっとわたしと同じ理由で悩んだことがあったんだろうと思った。わたしはあなたがパステルを握った時間をしらない。素敵な絵を描く人だった。嫌いな自分の声を乗せてでも歌いたいものがあった。死に物狂いで勉強していた時期があった。わたしの苗字をいつも呼んではベストフレンドだと何故か言い続けたりする日があった。たまに下の名前で呼んでくれた。おやすみって言うためだけに、電話をかけてくれたりしたことがあった。そんな日の夜は、あなたが好きだと酷く感じた。勉強していた時期、頼ってくれたことが嬉しかった。あなたのその時間が報われますようにと有名な神社に50円玉を投げたことがあった。あなたが正しく少し遅れた後に学校に通えていると知った日は嬉しかった。きみにされたこと、あんまり覚えていない。毎晩通話をして。きみの思想に触れたりした。いつからか、わたしが本当にあなたがプライベート・スーパースターだと勘違いしていると気付いたからか、連絡がかえってこなくなった。会う話もぼんやりとなくなったりしたから、最後、夜空がきれいだったよと送ったときに既読無視だったから、それだけが返事だと思った。きみから連絡が帰ってこないことが当たり前になって、これ以上好きでも互いに嫌悪感を示し合うだけだと思った。だから、わたしは、きみを愛しきったのだと言い切ることにした。全ての愛はラッキーだから。大丈夫だ。もう、大丈夫。あなたの名前で呼ばれても、わたしは大丈夫。誰もが私を認識できることがあまりにも怖い。きみちゃんと声をかけられること、丁寧さんと呼ばれること、全てがあなたから奪ったものであること。全て悲しくてどうしたらいいのか分からない。
あなたのことを好きだと思っていた時期を勘違いだと言われた日には強い憤りを感じた。
もう愛しきったのだから、いいのだけど。
愛した罰をこれ以上受けたくない。
きみちゃんのことがたいせつだったよ。
ほんとうは、強く抱き締めて、もうこれ以上喋れないようにしてほしい


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