- 1◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:43:21
男という生き物は女の胸が好きだ。
呆れるぐらいに好きな生き物だ。
女子校であるトレセン学園から一歩外に出れば、わずらわしい視線を嫌でも胸元に感じる。
つい視線を引き寄せられた後に、慌てて前に向き直るのは紳士的な方だ。
すれ違った後に聞こえないと思ってか「今の見たか?」「顔もオッパイも最高だったな」などと評点を下す奴らは何様なのだろうか。
ともあれ、男がどうしようもないぐらい胸が好きなのはわかっている。
そのコトに不快感を覚えた時期もあったけれど、いちいち気にしていたらキリがない。
今では視界の端に映る羽虫のように思えてきた。
──そう、だから。
「アルヴ、今のペースでもう一本いけるか?」
「……当然です」
この人が──トレーナーさんが私の胸をチラリと見ても気にしない。
何なら凝視してきても無視してあげる。
男はそういう生き物なのだと、ため息交じりで流してあげるのに……っ - 2◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:44:45
「アルヴ、端に寄せすぎてるぞ気をつけて!」
どうしてこの人は、私の胸を見ないのだろうか?
もちろん見てはいるけれど、それは単に視界に収めているというだけ。
走るフォームに問題ないか、位置取りは想定通りなのかを確認するためであって、上下に躍動する私の胸に瞳を囚われたりはしない。
彼が暑いからと袖をまくった時に、意外とたくましくって節くれだった二の腕を目にしてしまった私のような反応を、彼は決してしないのだ。
どうしてなのだろう?
男はしょせん、女の胸が──オッパイが好きで仕方ないクセにっ!! - 3◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:47:04
※ ※ ※
「……アルヴ、どこかケガとかしてないか?」
トレーニングが終わり軽く身だしなみを整え、帰ろうかという時だった。
意を決した様子でトレーナーさんが尋ねてくる。
「ケガ……ですか?」
自覚が無いだけで動きに妙な箇所でもあったのだろうかと、今日のトレーニングを振り返ってみて──
「……っ」
振り返ってみた結果、私の胸を見ようとしないトレーナーさんへの怒りがぶり返してきた。
「やっぱり……何かあったのか?」
「ありません」
何も、ありませんでした。
あれから体が熱いと言いながらジャージのファスナーを下げても、貴方は体温調整を気にするだけで汗が張り付いた私の胸を見ませんでしたから。
「じゃあ……他に何か気になるコトはないか。些細なコトでもいいから」
「……些細なコトでも、いいんですか?」 - 4◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:49:27
ふつふつと怒りがわき出したタイミングで、絶好のパスを投げられた。
いっそのコトこのまま、問い質してしまおうか?
「貴方は……」
貴方は、私の胸を……
「俺は……?」
私の普段とは違った様子の原因が自分にあるのだろうかと、不安そうに聞き返すトレーナーさん。
あまりにも私に尽くしすぎて、エアグルーヴさんにまるで“仕えているかのよう”とまで言われたトレーナーさん。
「貴方は……胸を……」
貴方は私を……教え子としてしか見ていな──
「……エアグルーヴさんの胸をどう思いますか?」
「………………………は?」
急に恥ずかしくなり、ついさっき思い出したエアグルーヴさんの名前を代わりに出してしまった。
真剣に話を聞いていたトレーナーさんはというと、あまりにも想定外な質問に固まってしまっている。 - 5◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:51:09
「あの……え? エアグルーヴの……胸筋? それとも上半身のフォームについて? どう思うかっていう質問?」
あまりにも酷い失敗に愕然としていると、硬直から動き出したトレーナーさんが無難な着地点を見つけてくれた。
ここは「他に何があるんですか」と呆れ顔をしながら話に乗れば、私の質問は有耶無耶《うやむや》にできるし……有耶無耶になってしまって……トレーナーさんの興味のあるなしが……わからないまま?
「……いえ、そのままの意味です。
エアグルーヴさんの大きな胸をどう思いますか?」
あの同性の私ですら「あ、揺れてる。凄いな」と思う胸を、貴方はどう思いますか?
貴方は胸の大きい方が好きなんですか?
貴方は──────────私の胸が好みですか?
そんな、尊敬する先輩を隠れ蓑にまでした質問に対して──
「どう思うと言われても……大人びてはいるけど彼女は学生だよ。
そういう目で見たコトがないから、どう思うも何も無いかな」
学生は子どもだからそういう対象ではないと、私も含めてバッサリと切り捨てた。
つまり彼がそういう目で見るのは大人の女性であって……私以外の、女性を、そういう目で見ている。
「そう…………です、か」 - 6◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:53:11
指導者として、彼は正しい。
街中ですれ違う男たちと違って、わずらわしい視線を私に向けたりしない。
私がトレーニングに集中できるように、最善の環境を整えてくれている。
そして、私がいないどこかで、私ではない大人の女性をそういった目で見るのだ。
だって男は──どうしようもないぐらい女の胸が好きな生き物なのだから。
「なあ、アルヴ。何か……体に関するコトで、嫌なコトでもあったのか?
男の俺に話しづらいコトなら、たづなさんに相談できるように調整するよ」
よろめこうとする体に何とか力を込めて立っていると、心配したトレーナーさんが慌てて手を伸ばそうとして──肩に手がかかろうとしたところで止める。
私が男女に関するコトで嫌な悩みをかかえているんじゃないかと、気遣ってのコトだろう。
指導者として正しい在り方に、細やかな気遣い。
何もかも正しくて──正しすぎて、間違っている!!
「え?」
気がつけば、引き戻そうとしていた彼の手を掴んでいた。
トレーナーさんから戸惑いの声が漏れる。
でもダメ。もう止まれない。
貴方がどれだけ正しくても、私の突然の行動に戸惑っても、私はもう止まれない。 - 7◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:55:31
こんなにも私に尽くして、私に仕えておきながら、この私を差し置いて、他の女に本能的な目を向けるだなんて──そんな侮辱を、アドマイヤグルーヴという存在が容認できやしない。
先ほどまでのためらいも恥じらいも、怒りの前で消え去っている。
掴んでいた彼の手をぐっと引き寄せる。
不意を突かれた彼は抵抗すらできず、私の目の前へと引きずり出された。
困惑するままの彼の首筋に掌をあて──私の胸元へと引き寄せる!!
「~~~~~っっっ!?」
驚いて離れようとするけど、そんなコト許しはしない。
胸の形が崩れるほど強く抱え込む。
左右から挟み込み、私以外は見えないように、考えられないように、私だけを、私だけを!!
トレーナーさんはもちろん抵抗した。
だってトレーナーさんは正しすぎる人だから。
最初は首に力を入れて抜け出そうとして、次は私の肩をタップして放してくれと伝えてくる。
もちろん放したりなんかしない。手放したりするものか。私の、私だけのトレーナーさんを。
……数十秒ほどたっただろうか。
抜け出すのは無理だとわかったのか、トレーナーさんが抵抗を止めた。 - 8二次元好きの匿名さん26/06/28(日) 11:56:26
とりあえず規約違反とイメ損で通報ですね
- 9◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:57:07
──いや、止めただけじゃない。
さっきまで後ろに逃げようとしていたクセに、抗うのを諦めたように、体を私に預けてくる。
そのうえ私の腰に手を回すと、最初はためらうように、しかし段々と強く抱き寄せてきた。
胸にかかる吐息を感じる。熱く、荒い吐息を。興奮した雄から漏れ出る欲望か。
ああ、もっと乱れなさい。そのまま私の腕の中で溺れてしまえばいい。
正しすぎる貴方は、私にだけ溺れればいい。
……いったいどれだけ抱き合っていただろうか。
ドアが軋む物音にようやく我に返って止まった。
ゆっくりと離れ、目の前にいるトレーナーさんと見つめ合う。
「アルヴ……すまない。
俺は……教え子になんてコトを」
今にも死んでしまいそうな表情で、彼は心底申し訳なさげに謝罪する。
私から始めたコトなのに、私を責めるそぶりは一切ない。
やっぱり正しすぎる貴方。
そんな貴方でも、私は別だった。
私は正しくないコトをさせるコトができたのだ。 - 10◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 11:59:05
「そうですね。学生はそんな目で見れないと言っておきながら、私に夢中でしたね」
「……っ」
自分のコトを棚に上げて糾弾する私に、彼は目を伏せた。
ああ、ダメよ。
「目を、逸らさないで」
「あ、アルヴ……?」
両頬に手を添え、私に向き直らせる。
貴方の瞳に映る私は、きっと酷く歪んだ、恐ろしい顔をしているのでしょう。
けれど、それでも構わない。
「私だけを見て。他の女は見ないで。
それができるのなら、いくらでも好きにしていいから」
だって男の人は──
「本当は私のここが、好きで仕方ないのでしょう?」
彼の視線を私の胸元へと縛り付けるように、私は妖しく微笑んだ。
~おしまい~ - 11◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 12:00:53
最後まで読んでいただきありがとうございました。
予定にはなかったけれどチャンミでアルヴさんが強すぎて、勝つたびに至高のオッパイを見せつけてくるので我慢できずに書きました。
このようなBAD ENDを迎えないように、トレーナー諸兄は定期的に担当ウマ娘を叡知な目で見てください。
そうすればHAPPY ENDになれます。
次に書くかもしれないSS
①ローレル「これは友達の話なんですけど」
あらすじ:ローレルがトレーナーを捕食する。
②スズカ「寝取られです!!」沖トレ(寝たコトあるのかオマエ!!?)
あらすじ:スズカさんが沖トレを捕食する。
③ネイチャへの恋心を自覚したトレーナーのお話
あらすじ:ネイチャがトレーナーを捕食する。
④トレーナー「アルヴが俺を叡知な目で見ている?」
あらすじ:アルヴさんがトレーナーを捕食する。
⑤俺は師範代専用のアナ●ライザー
あらすじ:蒼い地球が滅びゆく中で、最後まで愛し合う俺と師範代の近未来SF純愛トゥルーピュアラヴストーリー。
7月チャンミで花嫁カフェが大活躍予定なので、久しぶりにカフェを書く可能性もあります。 - 12◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 12:02:04
あにまんでのおきてがみ(黒歴史)
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おきてがみ(黒歴史)これまで◆SbXzuGhlwpakのトリップで某SS投稿掲示板に投稿していました。投稿した内容はモバマス中心に、たまにシンフォギアとオリジナル。
今後はpixivでも活動します。
よろしくお願いいたします。www.pixiv.net - 13二次元好きの匿名さん26/06/28(日) 12:11:49
- 14◆SbXzuGhlwpak26/06/28(日) 12:51:04
- 15二次元好きの匿名さん26/06/28(日) 13:02:06