頭部が結合して生まれた双子、分離手術に成功 “現在の姉妹の姿”に「奇跡」の声
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頭頂部が結合するという極めて珍しい状態で生まれたナイジェリアの双子の姉妹、マーシーちゃんとグッドネスちゃん。生まれてから19カ月にわたりお互いの顔を見ることすらできなかった姉妹は、先進的なAIやVR技術を投入した画期的な手術により無事に分離され、現在は母国で元気に暮らしているという。 【動画】“現在の姉妹の姿”
250万分の1の確率、生存率の壁を越えて
2023年6月、姉妹はナイジェリア南西部エキティ州で生まれた。二人は頭蓋骨、脳組織、血管などを共有する頭部結合双生児であった。このような症例は非常に珍しく、250万人の出生に1回発生するという。結合双生児全体でもわずか5%にすぎず、約40%が死産、さらに30%は出生後24時間以内に命を落とすといわれる。 少なからぬ危機を乗り越えて生後6カ月を迎えた頃、マーシーちゃんとグッドネスちゃんは、頭部結合双生児を専門とする英国の慈善団体ジェミニ・アンツインドの支援を受けることとなった。そして2025年、姉妹はアラブ首長国連邦へと渡り、首都アブダビのシェイク・ハリーファ・メディカル・シティに入院した。
総時間40時間以上、最新技術を活用した分離手術
姉妹の頭部を分離する手術は、綿密な計画の下、4カ月にわたって複数回行われた。アメリカ、イギリス、ブラジルなどから集結した60人以上の医療専門家がチームを組み、総手術時間は40時間以上。最終段階の分離手術は12時間に及ぶ大手術となった。 今回の手術では、最新技術を活用した先進的な手法が導入された。まず、手術前には姉妹の頭部をMRIでスキャンし、AIを活用して詳細な3Dモデルを作成。執刀医たちは事前にVR空間で手術のシミュレーションを繰り返し、想定されるリスクの低減に努めた。 さらに、早い段階から頭部にシリコン製の皮膚拡張器を挿入、分離後の新しい頭蓋骨を覆うのに十分な皮膚をあらかじめ成長させた。加えて、拡張現実ツールを使用し、分離されたそれぞれの頭の形にフィットする、オーダーメイドの人工頭蓋骨パーツを設計した。 手術では重力を利用して脳を支える新しい術式も採用された。これにより、脳への圧力や損傷のリスクを低減することができたという。 姉妹の主治医で、ジェミニ・アンツインドの共同創設者でもある小児脳神経外科医のヌール・ウル・オウェイス・ジーラニ氏は、今回の手術を「これまでにない精度で計画・実行された画期的な事例」と表現、次のように語った。 「過去8件の経験をもとに新しい技術や戦略を用いたことで、少女たちとその家族に新しい未来を提供することができた。彼女たちには、自立した一人の人間として、幸せな子供時代を楽しんでほしい」 多くの人々と先進技術によって救われたマーシーちゃんとグッドネスちゃん。姉妹はすでに、母国ナイジェリアで新しい人生の第一歩を歩み始めている。
文:吉井いつき
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