「自分よりもモテるキャラ」をリアリティをもって描くためにはどうすればいいか。
「創作で自分よりも頭のいいキャラは描けない」という話は聞くが、前から「自分よりもモテる(設定の)キャラをリアリティをもって描けるのか」という疑問があった。
恋愛モノ(含ラブコメ)なら「そのキャラがモテる」のは、ジャンルの前提だからいい。ミステリーで行く先々で殺人が起こることに突っ込みを入れるのが野暮なのと同じだ。
問題は他ジャンル、群像劇などで「キャラに属性として『モテ』」を付与したい場合である。
「創作におけるモテのリアリティ」とは何か。
「こういうキャラならモテる(異性読者に好かれる)」ということではなく「この人、モテるんだろう(今までモテてきたんだろう)」という設定に説得力がある(その振る舞いが身についている)ということだ。
先日「ガールオアレディシーズン2」というリアリティーショーを見た(恋愛リアリティショーはモテを学ぶにはいいコンテンツである)
レディの一人にアズサという女性がいるのだが「男性にどんなことを求めているか」という質問にこう答えた。
ちゃんと(私のことを)細かく見ていて欲しい。
アズサってこれ好きやったなとか、これされたら嫌やったなとか。
これは女性としてトップクラスにモテてきた人の台詞だ。
「私がわざわざ言わなくとも、私がいいように計らえ。それくらい私のことを理解しろ」と言っているのだ。「私が嫌だってわからなかったの?」と言わせた時点でアウトである。
「葬送のフリーレン」のフェルンがこの基準でシュタルクにしょっちゅう怒っているように、女性規範の中で(あくまで女性規範の中で。個人は知らぬ)女性が男性に求めることはこういうことである。
自分にアプローチする男性に対して「『私のことをどれだけ細かく見ていて理解しているかテスト』をしている。私は試験官であり、あなたはそのテストに合格しなければ(し続けなければ)ならない」と(思うだけではなく)言える。これがモテてきた女性の振る舞いである。
ちなみにモテてきた男性の振る舞いとして、「会社経営者リュウスケ」が自分が選んだ香水の成分を必ず入れて女性三人に香水を作らせるというデートを行った。
モテてきた男性は、自分に近づく女性に対して「俺にふさわしい女になれ(女でいろ)」とナチュラルに言える。
(異性恋愛規範において)女性のモテの頂点は「私が不快に思わない状況を察して作れ(整えろ)」であり、男性のモテの頂点は「俺に選ばれ続けろ」なんだな、と番組を見て思った。
↑でも書いたが、これは「こうすればモテる」ということではなく(※)現実にモテてきた結果として、どういうマインドになるかだ。
創作で「モテるキャラ」を描く時に、無意識下でもこういうマインドをベースに入れていたほうが「モテる設定」にリアリティが生じやすくなるのではないか。
実際に「自分以上にモテるキャラをリアリティを以て描くことはできるのか」に話を戻すと、可能だと思う。
というより、実際に「このキャラ、死ぬほどモテそうだ」と思うキャラはいる。
自分が「このキャラが実在したら、とんでもなくモテるだろうな」と思うのは、男性キャラでは「銀河英雄伝説」のロイエンタール、「グインサーガ」のイシュトヴァーンがツートップだ。作中でもめちゃめちゃモテる設定だが「でしょうね」という感想しかない。
(たぶん)「モテのリアリティ」を出すのは男性キャラのほうが難しい。さらに言うと女性読者→男性キャラが一番難しいと思う。
男性キャラのモテのリアリティは、顔やスペック(も重要だが)が決定打とはならない。
例えばラインハルトはモテるかと言えば、自分はまったくモテないと思う(作中設定では『本人が恋愛に興味がない』となっていたが、そもそもモテないと思う)
田中芳樹の作品で言えば、「タイタニア」のドクター・リーはモテないが、ファン・ヒューリックはモテる。アリアバートはモテない。ジュスランは普通だと思う。
イドリスは美形だしタイタニアの当主という ハイスペックだが、モテない。
イドリスは強者男の皮をかぶった(頑張ってかぶっているため余裕がない)弱者男子なので、モテるのは難しい。作中でもテオドーラにコケにされていたが(直球)あの「モテなさのリアリティ」は凄いと思う。自分はイドリスのそういうところが親近感がわいて好きだけれど。
「鬼滅の刃」は、圧倒的にモテると思うのが宇髄。兄上もモテそう。他はさほど差はないと思う。
最近プレイした「オクトパストラベラー」の主役の一人サイラスは「超絶モテる設定」だったが、まったくリアリティを感じなかった。
外見モテはするだろうが、すぐに飽きられると思う(サイラスは女性が飽きて離れたことにすら気付かなそうだが)まあテレーズくんがいるからいいんだろうが。
「オクトパストラベラー」でモテるだろうなと思うのは、テリオンか男体化したプリムロゼ。ロゼさんは女性のままでもモテるだろうが、男だったらロイエンタール並みにモテると思う。
「作内ではさほどモテる設定」ではないけれど、モテるんじゃないかと思うのは「チェンソーマン」のデンジ(ストーリーの中では主人公だからモテているけれど、設定としては「モテる設定」ではない)
逆に「モテない設定」で確かにモテないだろうなと思うのは、「鎌倉殿の13人」の北条義時。恋愛するにはつまらない、と思われそう(いわゆる『いい人だけどときめかない』現象)
どこで「男性キャラの異性モテ」を判断しているのか。
あえて言葉にすると
「こちらを向いていない(別のことを考えていそう)」
「だからガツガツしていない」
「だが異性自体に興味がないわけでもない」
「つけこむ隙がある(本人があえて作っている場合もある)」
「(発揮するかどうかはともかく)情の深さにおいて潜在的キャパが大きい」
あくまで自分の推測だが、この要素にプラス外見も良しだと超絶モテる(たぶん外見がそんなに良くなくてもモテると思う)
そう考えるといくら外見が良くても、ラインハルトやサイラスがなぜモテないのか(そう思うのか)がわかると思う。
良くも悪くも「女性」という属性に1ミリも興味がなさそうだからだ。
当たらないとわかっている宝くじを買わないのに似ている(微妙な比喩)
と理屈としてはこうかな?と思うものの、じゃあ理屈通りに描いたら「モテにリアリティが付与されるのか」というとそれはよくわからない。
他の人の描いたキャラなら「いや、どう考えてもそのキャラはモテないだろ」と思えても、自分がいざ描くとなると難しい。
日々研究、日々精進である。
※ むしろこんな振る舞いをしたら、女性は面倒な女、男性は傲慢な男の烙印を押されてモテなくなりそうだ。番組内では、相手の女性たちもモテてきたメンバーなので評判を落としていた。モテに限らず、人間関係はちょっとしたこと、風向きで180度反応が変わったりする。ほんとムズカシイデスネ(棒)
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