旋回時にイン膝を開くのは、腰
をインに入れた重心移動をさせ
た場合に身体機能上無理のない
バランスを取るためだ。
結果としてバンク角が深くなる
と膝を路面にこする。
だが、「こするため」に膝を出す
のではない。
旋回中のバンク角は自分で把握
できるので、たとえニーガード
やスライダーが無いパンツであ
っても、「こすらせない」とい
うところで膝出しバンクをすれ
ば、全く不必要に膝をこすらせ
る事も無い。
イン膝は横に開くのではなく、
斜め前方向に開くのだ。
ガバチョとシコ踏むように開く
のではない。イン側の爪先は前
若しくは内側に向けるのだから。
コースでも公道でも、「膝をこす
らせるために膝を出す」のでは
ないという定理は何ら変わらな
い。
結果として擦りたくないのにこ
すってしまうのだ。特にコース
ではかなり擦る。同じRでも旋回
速度が公道とは比較にならない
程に高いから。
ハングフォームをしてイン膝を閉
じると、白バイ乗りのような極め
て不自然で窮屈な人体構造的に無
理のあるフォームになってしまう。
白バイが前ブレーキの指2本がけ
という時代と物理特性に即した
用法に変化させたのはとても画期
的だったが、腰をインに入れるハ
ングフォームを取りながらもイン
膝を無理やりタンクにつけさせて
いるのは、不合理性と前時代性を
石頭で固執して今でも指令してい
るからだ。
真の合理性と運動機能性を重視し
始めたとしたら、白バイも指2本
がけと同じく、適合した「正しい」
腰入れ時にはイン膝開きのハング
フォームに変更する時が来るだろ
う。
余談だがここで、一つ。
「オートバイは車体が起きて立
っていればいるほど後軸にパワ
ーをかけられる。つまり速く走
れる」という事。
この原理を冷徹に理解できてい
ないと、二輪はバンクさせれば
させる程速いし、よく曲がる、
とかいうトンデモな誤認に陥る。
閑話休題ー
また、イン膝開きがマシンのホー
ルドを失うなどというのは大嘘
なのだが、その作られた70年前
の前時代的な嘘を真実と今でも
信じ込んでいるのは何も警察と
教習所だけではない。一般ライ
ダーや二輪危険運転普及協会も
嘘乗りと大嘘理論を拡散させて
いる。
ロードはオフ路じゃないんだから。
ロードにはロードの理論と物理
がある。
「教習所載り」がすべて正しく
て間違いない、公道でもその載
り方をするのが安全、とか思っ
ている人間は地球上の現実世界
と乖離した「論外」に相当する
ので、そうした人たちの脳内に
ついては私は不知。どう思い込
もうが人は自由だからだ。
だが、人のそうした私念とは関
係ないところで、二輪の運動原
理や物理特性、人体の構造は成
立している。これだけは動かし
難い。
そこをきちんと弁えて把握でき
るか否かで、オートバイの運転
適正度や危険の回避、安全性の
確保は飛躍的に向上する。
速度を落としさえすれば安全、
とか思い込む人間も交通社会で
は「論外」だ。これも論理的に
一つ一つ考えて行けば簡単に答
えは解る筈だ。
何かにつけて、車両の運転はト
ロイのは駄目。不向きだ。きび
きびテキパキと滑らかに適切な
操作と操縦をしないと車両の運
転はできない。
運転中は四輪車も二輪車も状況
判断と運転操作に全力で集中す
る。だらだらとくっちゃべって
いたり、ポケ~と景色を観てほ
のぼのと楽しんでいたりという
暇は無い。そういうのは観光バ
スでやってくれ。自分だけでな
く周囲にも危険を及ぼすから。
二輪運転では直線でもしっかり
と上目で前を観て、空気抵抗を
減らすように丸くなって全面投
影面積を減らす。伏せるのは前
にではなく下に伏せる。たった
10センチ頭部の位置を下げるだ
けで全く空力は全く異なる。
直線で上半身直立硬直伸ばしで
高速道路や快速道路などは走れ
ない。身体がゲーラーカイトの
ように引っ張られて運転不能と
なる。身体が減速用パラシュー
トみたいになって。
直線では身を低く沈める。
ほんの僅かでも全く別世界にな
る。
これ、常識だ。自転車と同じ。
公道の高速道路での100km/hや
120km/hはサーキットでは「低
速域」になるが、実際には風の
抵抗はかなり大きい。実速で75
~80km/hあたりから一気に体感
風圧は増える。
これは四輪に乗って、素手で速
度計を見ながら窓から手を出し
て、平手で飛行機の翼のフラッ
プのような動きをしてみるとよ
く判る。あるいは映画「おっぱ
いバレー」方式とか。
二輪では上半身は自然に脱力さ
せて丸く低くするのは常識、基
本中の基本だが、直線路ではさ
らに身を丸く下に持って行く。
(二輪危険運転普及協会が拡散
している「二輪の運転時には威
風堂々と胸を張る」というのは
危険極まりなく、極めて無責任
で国民を危険に晒す大嘘)
これも走行物体が受ける風圧と
いう物理的な絶対事項がある限
り、それへの対処も絶対性を有
している。
直線では身を低くする。
曲線旋回中でも実は旋回区間
の場所により身を沈めたり起
こしたりして前後荷重のバラ
ンスを加重と抜重によって取
るのだが、これは走行理論と
実践を知っている乗り人しか
公道ではやっていない。