「農政復古」に邁進
「食糧法の改正、農業予算の拡充、食品にかかる消費税減税に伴う農家の減収補填……。我々は働いて働いて働いて結果を出さなければならない」
与党が衆院議席の4分の3を占める高市早苗政権の「一強体制」の下、自民党農林族議員はその威を借りて農政を意のままに操ろうと虎視眈々の様子だ。
高市政権が昨秋発足して以降、「バリバリの農林族大臣」(霞が関の経済官庁幹部)と称される鈴木憲和農林水産相はコメ政策を大転換した。
コメ不足と価格高騰を招いた2024年の「令和のコメ騒動」の反省から石破茂前政権が掲げた減反政策の見直しやコメ増産などの農政改革方針を白紙撤回し、農林族の支持母体であるJAや中小零細農家の既得権益の維持・拡大を目指す「農政復古」に邁進している。
2月の総選挙での自民党圧勝は、そうした農政の先祖返りの動きに拍車をかけた。新潟県など、コメどころの選挙区議員が続々と国政返り咲きを果たし、農林族の発言力がパワーアップしたためだ。
自民党農林部会幹部は「石破前首相や小泉進次郎前農相のような農家の現実を理解しない不届きな輩が二度と『改革』などと言い出せないよう、徹底的に策を講じる千載一遇のチャンスだ」と意気込む。
その嚆矢と言えるのが、今国会で成立する見通しの食糧法改正案である。農水省幹部は「令和のコメ騒動の教訓も踏まえ、需要減少を前提にした生産調整に関連する規定を削除した」と説明するが、フェイクというしかない。