「ケロロ軍曹」の魅力を令和に再発見!劇場版最新作「新劇場版☆ケロロ軍曹」を観るべき5つのポイント

アニメ「ケロロ軍曹」シリーズの劇場版最新作である「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」が、6月26日に全国公開される。

月刊少年エース(KADOKAWA)にて連載されている吉崎観音の大人気マンガ「ケロロ軍曹」を原作に、TVアニメは2004年にスタート。全358話が7年にわたり放送されたほか、2006年からは劇場版が5年連続で制作されるなど、2000年代を代表するアニメの1つだ。

本記事では改めて「ケロロ軍曹」の魅力を、ケロロ役の渡辺久美子のコメントを交えて解説。さらに脚本・総監督で参加する福田雄一と「ケロロ軍曹」の相性がいかによいか、オープニング曲を歌うanoと粗品がいかに過去作の流れを汲んだキャスティングであるかを紐解く。

文 / 粕谷太智

「ケロロ軍曹」劇場版最新作を見るべき5つのポイントを紹介

「ケロロ軍曹」ってどんな話?長年愛され続けるケロロの魅力

「ケロロ軍曹」は“侵略”という物騒な目的のため、先行部隊として地球へとやってきたケロン人のケロロ軍曹と、彼が居候することになる日向家をはじめとした地球人たちが巻き起こすドタバタコメディ。1999年に月刊少年エースで連載がスタートし、今年で連載27年目を迎える長寿作品だ。単行本1巻では当時16歳の宇多田ヒカルを聴いていたケロロだが、近年ではバーチャルライバーに挑戦するなど、時事ネタからもその連載の長さが感じられる。

「ケロロ軍曹」35巻 ©Mine Yoshizaki

「ケロロ軍曹」35巻 ©Mine Yoshizaki

“ドタバタコメディ”と作品のジャンルを紹介したが、地球人、そして小隊のメンバーとの絆も魅力の1つ。物語が進むにつれて侵略なんて忘れたかのように、怠惰な日々を送るようになっていくケロロだが、そこには、居候先の日向家をはじめとする人々の存在があった。日向冬樹、夏美の姉弟や、居候させてくれる許可をしてくれた母・秋たち地球人との交流を通じて、地球への愛が深まっていくことも侵略が進まない理由なのだ。最初こそ、冬樹の提案をのんだ“お友達”という関係だったが、次第にケロロ自身から冬樹との友情を口にするようになり、時には地球の危機を救う行動に出ることも。また、普段はへっぽこなケロロだが、隊員たちにときたま見せる隊長としての顔のギャップもファンを惹きつけている。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」より、ケロロと日向冬樹。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」より、ケロロと日向冬樹。

ケロロ役の渡辺久美子に作品の好きなポイントについて聞くと、「宇宙規模でも『こういう時はこんな感じになるよね』というところが個人的に好きです」と、宇宙規模の物語の中にある“人間のあるある”を挙げてくれた。これはケロロのキャラクター性がもたらすものでもあり、渡辺が魅力的なシーンとして「ケロロがテンション上がってぐるぐる走り回っているカットで、何故か柴犬がワンワン吠えて一緒に走っているところ。人がテンション爆上がって走り回るさまってテンション上がった柴犬みたいじゃないですか。『あるあるある』って笑いました」と例に挙げてくれたことからも、宇宙人であるはずのケロロの“人間味”が作品の魅力に大きく寄与していることが感じられた。

TVアニメの放送で人気爆発、パワーアップしたパロディ

「ケロロ軍曹」の人気を語るうえで、TVアニメについて言及しないわけにはいかない。かわいらしいキャラクターデザイン、侵略を目的にしながら地球にすっかりなじんでしまうケロロの憎めない性格といった魅力が、平日夕方・土曜朝帯での放送、そして原作のコメディ色をより強めた演出といった要因も相まって、幅広い世代に受け入れられ、支持を集める。結果、TVアニメは全358話が7年にわたり放送された。劇場版も5年連続で公開されるというその数字からも、当時の人気のすごさを感じられるだろう。さらに人気の爆発に伴ってケロロランド、ケロケロエース(ともにKADOKAWA刊)と「ケロロ」の名前を冠した雑誌も創刊。2000年代のアニメを代表する1作と言っても過言でない人気を確立していた。

当時のアニメのヒットについて渡辺は「原作を読ませていただいた時にすぐに虜になった」と前置きしたうえで、「アニメのヒットも作られた方々に愛があふれていましたので、こちらもヒットしたのは必然だと思います」と回顧。ケロロという既存の宇宙人にとらわれないデザインや、それでありながら軍人のようなしゃべり方というオリジナリティあふれるキャラクターを演じるにあたって、どんな声で演じようか悩み抜いたという渡辺をはじめ、声優陣の存在も作品をヒットさせる要因になった。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」超特報より。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」超特報より。

またTVアニメで魅力が増した要素として“パロディ”も強調したい。原作から数多く見られていたさまざまな作品のパロディやオマージュの中でも「機動戦士ガンダム」シリーズネタは、「ケロロ軍曹」のアニメ制作をガンダムシリーズを制作するアニメーションスタジオのサンライズ(現在はバンダイナムコフィルムワークスのアニメ制作ブランド)が務めたこともありパワーアップ。主人公機ではなく敵機のアッシマーそっくりの乗り物を本家さながらに変形させたり、ガンダムシリーズのファンに耳なじみのある効果音が登場したりと、ディテールにも唸るパロディの数々が展開されてきた。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」にもどこか見覚えのある頭部のシルエットの敵が登場する。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」にもどこか見覚えのある頭部のシルエットの敵が登場する。

そして最新作「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」では遂に、「機動戦士ガンダム」と初の“正式”コラボが実現。ガンダムシリーズとの密接な関係を見てきた「ケロロ軍曹」ファンは、“正式”の文言に驚いた人も多いのではないだろうか。映画に先がけて公開された映像では、堂々と共闘するガンダムとケロロの姿も確認できる。

福田雄一総監督と「ケロロ軍曹」の相性はバッチリ!

「新劇場版☆ケロロ軍曹」では、数々の実写作品を世に送り出し、さらに「ケロロ軍曹」ファンであるという福田雄一が脚本・総監督として参加。近年では激しいアクション満載の作品も手がける福田監督だが、その強みはやはりギャグやパロディではないだろうか。放送作家時代にはバラエティ番組「SMAP×SMAP」でパロディ満載のコントに携わり、某RPGを彷彿とさせる見た目で大いに話題となった「勇者ヨシヒコ」シリーズや、80年代の刑事ドラマのオマージュを全編にちりばめた「コドモ警察」シリーズといったオリジナルドラマでは、脚本・監督としてその強みをいかんなく発揮。「HK/変態仮面」「今日から俺は!!」「アオイホノオ」といった作品では、パロディの重要な要素であるビジュアルの再現度でも原作マンガのファンを唸らせている。

また前述したガンダムシリーズネタで言えば、福田監督は実写映画の「銀魂」シリーズでシャア専用ザクをすでに登場させている。そして「新劇場版☆ケロロ軍曹」でアニメーション制作を手がけるのは、アニメオリジナルのパロディでも話題になった「銀魂」で知られるバンダイナムコピクチャーズ。実写界、アニメ界のパロディの両雄がどんな化学反応を起こすのか、期待せずにはいられない。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」より。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」より。

さらにボケまくりのケロロたちにツッコミを入れるという重要な役柄のナレーションには、福田監督作品の常連であるお笑い芸人のシソンヌ・長谷川忍を抜擢。そしてオリジナルキャラクターであるアルルとデルルの兄弟を、ジェシー(SixTONES)が1人2役で演じる。さらにゲスト声優の佐藤景瑚(JO1)、八木勇征(FANTASTICS)、スザンヌ、渡辺莉奈(日向坂46)らが吹かせる新しい風にも注目したい。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」より、アルル。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」より、アルル。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」より、デルル。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」より、デルル。

オープニング曲のアーティストに“そしあの”抜擢はもはや必然

「新劇場版☆ケロロ軍曹」の情報解禁時に世間を驚かせた、anoと粗品(霜降り明星)によるオープニング曲「また帰ってきたケロッ!とマーチ」の歌唱にも触れておきたい。「また帰ってきた」という文言からもわかる通り、「ケロッ!とマーチ」は2004年のTVアニメ放送開始時のオープニング曲であり、リメイクされて歌われ続けてきた、「ケロロ軍曹」を代表する楽曲だ。初代の「ケロッ!とマーチ」では格闘家の角田信朗と当時子役だった、いはたじゅりという意外性のあるコンビが歌唱を担当。のちにケロロ小隊によるバージョンもオープニング曲として使用されている。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」のオープニング曲「また帰ってきたケロッ!とマーチ」を歌うanoと粗品。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」のオープニング曲「また帰ってきたケロッ!とマーチ」を歌うanoと粗品。

「帰ってきたケロッ!とマーチ」「ケロッ!とマーチ2008」とリメイクされるたびに、財津一郎&小倉優子、土田晃之&柳原可奈子と、意外な組み合わせの男女コンビが歌うのが定番になっていた「ケロッ!とマーチ」。さらに付け加えるならば「ケロロ軍曹」ではおぎやはぎ、ハリセンボン、なだぎ武、友近、次長課長など、ほかのアニメでは類を見ないほど芸人が主題歌を担当してきた。芸人としてだけでなく、アーティストとしても精力的に活動する粗品の起用を含めて、“そしあの”の愛称でも知られるあのと粗品のコンビが抜擢されたのは「ケロロ軍曹」の歴史をたどるともはや“最適解”だと言っていいだろう。

また、anoは「新劇場版☆ケロロ軍曹」の主題歌「貸しっぱなしデスティニー」も担当。アニメ「ケロロ軍曹」20周年記念プロジェクトの宣伝隊長も務めるなど、「ケロロ軍曹」の大ファンだというanoが作詞・作曲を手がけた新曲にも注目だ。

劇場版最新作は「『また会えた』というより『続きを始めようか』」

さて、先ほどまでは「新劇場版☆ケロロ軍曹」の“新”の部分にフォーカスしてきたが、監督の追崎史敏をはじめ、キャラクターデザイン・総作画監督の小池智史、木村大プロデューサーら、TVアニメ時代のスタッフが引き続き数多く参加していることも伝えておきたい。また今作は“地球侵略”にフォーカスした、原点に立ち返るようなストーリー。地球になじみきったケロロ小隊が、「ケロロ軍曹」史上最強の敵に、侵略者のプライドをかけて立ち向かう。

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」メインビジュアル

「新劇場版☆ケロロ軍曹 復活して速攻地球滅亡の危機であります!」メインビジュアル

本記事の最後は渡辺のコメントで締めたい。劇場版としては16年ぶりの新作と聞くと、“復活”という印象を受けるが、渡辺は「その間もいろんな企画やコラボでケロロと触れ続けていたので、『また会えた』というより『続きを始めようか』という気持ちです」と、新作への思いを語ってくれた。渡辺の言葉通り、劇場でケロロたちの“続き”の物語をぜひ目にしてほしい。