機関車工学:上巻(その15)機関車の起源:歯状軌条
【 歯状軌条 】
1811年の初めに当たり「リーズ」付近の「ミッドルトン」炭山の所有者なる「ジョン・ブレンキンソップ」氏は、石炭運搬のため従来の馬車を廃し、機関車をもってこれに代えんと欲したるも、平滑なる車輪と軌条との摩擦力は、はなはだ薄弱にして車輪の空転する事あるべく、ことに勾配線において多量の荷物を牽引するは到底不可能の事と思考し、歯車と歯状軌条との抵抗をもって摩擦力に代えるの方法を案出し、これが専売権を得たり。
第3図はこの方法によりて製造せられたる機関車にして「ブレンキンソップ」と命名せり。汽缶は直径4フィート、長さ 10フィート。「シリンダー」は2個ありて汽缶の頂上に置かれ、その大よそ 3分の2 は汽缶内に嵌入せらる。
「クランク」は相互に直角をなし、4個の車輪は平滑なる軌条上にありて車体を支持す。2個の小歯車は「クランク」によりて廻転せられ、その運動を中央の歯車に伝達し、中央の歯車はその運動をこれと同一の車軸にある大歯車、すなわち働歯車に伝え、もって平滑軌条の片側にある歯状軌条に噛み合うものとす。
この機関車は試運転の結果良好にして、平坦線において90トン、20分の1 勾配線において 15トンの荷物を牽引する事を得たるのみならず、営業上大いに経費の節減せらるるを証したるをもって、その後同一の形式に従い数両の機関車を製造したりしが、いずれも多年使用に供せられたりと言ふ。これを商業上成功したる鉄道の始めとす。
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