刑期を終えてからも平然と診察
今回の事件は、まさにそのタイムラグ中に起きた新たな犯罪であり、行政処分の運用が犯罪や被害の抑止につながっていないことを端的に示している。前代未聞と言いたいところだが、伊沢医師本人が既に前例を作っている。2006年に引き起こした患者への傷害罪で有罪が確定した後も、行政処分執行直前まで医業を続け、その間の不正行為(医師法違反)で再び有罪となっている。
この前例を知っていた私は、刑務所に出向いてでも行政処分のための意見の聴取を早めにすべきだと厚生労働省に要望していた。予想通り伊沢医師は刑期を終えるや診療を再開したようだった。
私は2025年4月、東京クリニックのホームページ上で特定患者の人格を貶める目的で攻撃的な文言と共に個人情報を晒していたのを発見し、再び患者へ危害が及ぶ危険性を察知して新宿区保健所に通報した。
その後、私は厚生労働省や関東信越厚生局、東京都に働きかけ、東京都議会議員と新宿区議会議員全員にも周知し、警戒と対応を求めた。新宿区議会に「患者への加害行為を繰り返す精神科医に対し、医師法に基づく行政処分の早期執行を求める意見書の採択に関する陳情」を提出した。
陳情は審議未了(不成立)となったが、東京都は指定医療機関の指定を取り消すという行政処分を発表した。
しかし、ここまでやっても被害を防ぐことはできなかった。行政が怠慢だったとは言わない。法の想定を超えたモンスターに対し、打つ手がない現場の人々も苦しんだことだろう。実害を出してしまった法の不備は解決しなければならない。