過去に6回もの逮捕歴(強制わいせつ、傷害罪、医師法違反、名誉毀損など)がありながら、何事もなく精神科クリニックを経営していた新宿・歌舞伎町「東京クリニック」院長、伊沢純容疑者(55)が、女性患者に対する不同意性交の疑いで7回目の逮捕となった。
事件が報じられた際、SNSでは「これだけ前科があるのに、なぜ医師免許が剥奪されないのか」という怒りの声が多数上がった。
前編記事『新宿・歌舞伎町“有名精神科医”が不同意性交の疑いで7回目の逮捕…20年にわたり犯罪を繰り返してきた激ヤバ医師の「数々の悪行」』に続き、20年以上にわたって精神医療機関の不正の摘発に関わり、著書に『精神医療ビジネスの闇』(北新宿出版)がある、『市民の人権擁護の会』日本支部代表世話役の米田倫康氏が解説する。
処分までのタイムラグがありすぎる
伊沢医師逮捕のニュースが流れるやSNSは騒然となった。検索すれば、計6回逮捕された2022年当時の報道がすぐに見つかり、有罪が確定した事実も容易に確認できる。なぜ医師免許が剥奪されていないのかという怒りの声が渦巻くのは当然だろう。
確かに、有罪が確定したら医業停止や免許取り消しの行政処分の対象となる。では、伊沢医師は軽微な処分で済んだということなのだろうか。
結論から言うと、まだ執行されていないだけなのだ。刑が確定したのは3年前だがそんなに時間がかかるものだろうか。行政処分の対象やその手続きが示されている医師法第7条及びその各号にそのヒントがある。
行政処分を下すのは厚生労働大臣であるが、その前に医道審議会に諮問しなければならない。さらには、通常は都道府県に任せる形で事前に処分対象者から意見あるいは弁明の聴取をする必要がある。要するに、定められた各ステップを踏まないと執行ができないということだ。
ここで生じてくるのは、犯罪者と証明された悪徳医師がそう簡単に行政側の手続きに応じるのかという疑問である。処分自体は免れないとしても、その執行を限界まで遅らせることは本人のメリットになる。
実際、厚生労働省の担当部署(医政局医事課試験免許室)に確認したところ、個別案件には答えられないとしながらも、一般論として非協力的な医師に困っていることを教えてくれた。公示送達という最後の手段を使わないと手続きも進められない事例もあるようだ。
こうして行政処分執行までのタイムラグ(時間差)が生じる。年単位はざらであり、その間に医業を続けても法的には問題ない。しかし、近い将来確実に医師免許を取り消される医師が、その事実を知らない患者に診療することの意味を考えて欲しい。現代ビジネスの過去の記事≪【独自】「14歳少女にわいせつ行為で懲役3年」...トンデモ児童精神科医が執行猶予中に堂々と診察していた「驚愕の新事実」≫でもこの問題が取り上げられているのでご一読いただきたい。