こちらを面倒くさそうに見る視線に視線を合わせたまま、手のひらに懇願のキスを落とす。
ごつごつとした、剣ダコの出来た分厚く戦う者の手だ。
そして、こちらの頬に躊躇いがちに当たる手は温かい。
その無骨さと非対称的な男にどうしようもなく惹かれる。
日下部篤也は謎が多い男だ。
高専で見たプロフィールとしてはなんらおかしい点はないのだが、本来のものは隠してあると見ている。
飄々と掴みどころのない男だが、みな男のそばに立つと緊張感を無くしてこの男の懐に入ってしまう。
それがさも当然のように。
対して本人といえば、そういう人間たち一人一人を懐に抱えているわけではなく、ただ手の届く範囲で守りたいものだけを決めて守っているというなんともな人たらしだ。
タチが悪い。
しかし、悪い気はしない。
それに、最終的にはこの男は絆されやすく、一度懐に入れて仕舞えばとことん構うし、面倒だとぼやきつつもその人間を守るし、実際面倒見も良い。
教師に向いていると思ったのはその男の授業を高専所属の術師になる為受けた時だ。
初めはこののらりくらりとした男が人に物を教えられるのかと不安を感じた物だが、なんてことはない、教えるのが上手い。
飲み込めとばかりの授業かと聞いていれば、噛み砕いて教える姿勢を見せてくるし、わからないところは面倒くさそうにしつつも丁寧に分かりやすく教えてくれる。
いつからその声その言葉その姿その顔その襟足にまで目をやってしまうようになっていたか。
分からないほどには秘めやかに密やかに私の思いは芽吹き、気づけば育ち切ってはち切れ溢れんばかりになっていた。
私は完全なる異性愛者だと思っていたが、案外と好きになったらなんでも良いらしいと、思わず気づいたその場で声を上げて笑ってしまい周りに不審がられてしまったほどだ。
それに、こんなにも他人を、人間を求めたことは無かった。
人どころか物にすらそれほど執着した覚えはない。
ただ、手に入れたいと思ったものに関しては、どうしても捨てられたり人の手に渡ったりするのは嫌で嫌で仕方なかったが、それも大人になってもう消え失せたものと思っていたのにこのザマだ。
大の大人の男なのにまったくもってみっともない。
…手のひらに懇願のキスさえして私のものになってくれと縋り付くまで惚れ込むなんて。
みっともないを通り越すと笑えて来る。
恥も外聞どうでもよくなり、ただただ君にたった一言を言って欲しくて。
ただただ君が欲しくて欲しくて堪らないのだと。
じっと見つめたまま視線を外さずキスしたままでいると、君は頭をガシガシと掻きむしり、棒付きの飴をガリっと齧ってから、「しゃあねえなぁ……」とカラリと笑い、私の唇にほんの一瞬触れるだけのキスをくれたのだった。
ええ、言いました。二度目の寛篤は無いと。確かに書きましたキャプションに。分かってます。でも浮かんでしまったのと今回のアニメ二期で一人篤フィーバーに陥ってしまったので。小学校低学年女児ってwwwなにほざいてんの篤www思わず深夜だというのに声出して笑っちゃったじゃあないですかどうしてくれるwww