犬猫シリーズの設定みたいな小話集
設定説明にもなっている短い小話集。1P、一年生ズ、2P、悟と傑、3P、寛にゃん、4P、すっくんと羂索、5P、篤寛にゃん
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この世界には猫人間と犬人間しかいない。想像してみてほしい。かわいい恋人にコスプレして欲しいとお願いしてオタクだとバレたらどうしようと悩む必要もなく、最初から普通の人間にモフモフの毛が生えた本物の耳としっぽが付いているのだ。天国だ。ただし——
Scene1.
「だからさぁ、キモくない? 生え際がダメなのよ。そりゃあハゲは遺伝とか高齢(とし)とか、どうしようもないのは分かるわよ? でもね、できるでしょ。キモくないように、かつらとかさ、植毛とか、せめて帽子被るとか」
そう、禿げた油っこいおっさんの頭にもあるのだ。猫耳が。勿論、ワンちゃんもいる。尻尾もある。スーツのお尻にはボタンホールならぬ尻尾ホールもある。
「あのな、釘崎。失礼だぞ」
と、伏黒。彼の側には立派な犬の式神が二匹、主にくっ付くように控えている。彼の頭にも式神『クロ』とお揃いの立派な黒い犬耳があるのだが、ウニの様に逆立たった彼の黒髪に同化してしまって目立たない。
「オッサンたち本人の前で言う訳ないじゃない」
釘崎野薔薇の斑模様の白い耳がピコピコと動く。濃い色の制服にしなやかな白い尻尾がよく映えた。彼女は濃厚な紅茶にたっぷりとミルクを入れた。猫舌らしくちゃんと温度を確かめて紅茶を味わう。
「でもさ、カッコイイのいたよな。あの、バスケの選手」
と、虎杖。明るい色の髪の間になんか丸っこい感じのオレンジ虎縞の獣耳がぴょこんと出ている。
「あれはハゲじゃないでしょ。スキンヘッドじゃない。もともと肌の色が黒い上に同じ色の短毛種の犬耳がついてるからスマートなのよ。もこもこじゃなくて艶々すべすべした感じの犬毛だからキモくないの!」
「あれ、ドーベルマン・タイプだからな」と、伏黒。
「やっぱ中年太りのオッサンにはかつら着用義務化すべきだわ。ツルっ禿げの頭にふさふさの猫耳が生えてるのって見るに堪えなーい」
なんてこともある。
Scene 2
この世は猫人間と犬人間の二種類に分かれている。かつては犬族と猫族との間に熾烈な戦争が………なかった。意外と仲はいい。まあ、別の理由では争うところが所詮人間だが。
では、愛し合うにゃんコとワンコが結婚したら子どもはどうなるのか? 大丈夫、確率は50%ずつだ。たまに、性格によってワン・カップルから猫っ子が生まれることも、その反対もあるにはあるが。
「虎杖って不思議よね。結局、あんた何なの?」
野薔薇が無遠慮に同級生のオレンジ色の獣耳をモミモミしている。分厚くて柔らかくて気持ちいい。
「う~ん、五条先生が色んな知り合いに掛け合って調べてくれたんだけど、結局よく分からないらしいんだよな。でも、まあいいよ。俺は俺だし」
虎杖の猫耳は普通のオレンジ虎猫模様と見せかけて、なんか丸っこいし本当にトラみたいな不思議な形をしていた。それに尻尾。猫にしてはちょっと短くてがっしりしている。
「…両親は?」
伏黒の問いに「分からない」と答える虎杖。
「じいちゃんはパパが犬でママが猫だって言ってたけど、俺は記憶にないしなぁ」
何を隠そう、虎杖は世にも珍しい猫タイプと犬タイプを併発した特別な存在、異種間雑種だった。誰も知らないが、実は、勿論、made in羂索である。しかも呪いの宿儺の指のミイラを拾い食いしてしまって宿儺(猛獣)を体の中に飼っているというイレギュラー状態だ。
「よし! 捕獲して実験、解剖だぁ」
というマッドな研究者から守ってくれたのは高専の教師の五条悟(シャム猫)で、
「被検体にされないように僕の知り合いに頼んであげるから、専門じゃないけど」
と言ってくれたのだ。礼を言った虎杖と伏黒に五条『シャとる』は嬉々として
「こんな面白い子、逃す手ないじゃん!」
とメッチャうきうきしていたのだった。
その後、虎杖悠仁は高専で飼われている。