日車寛見と日下部篤也の連携技に夢見た話
タイトルまんまの妄想超短文です。
Xにあげたものに少し加筆しています。
危なかっしい戦い方する日車さんも美味しいけれど、経験を詰んで戦闘に絶対の安心感がある日車さんも美味しい。良かったね日下部。
阿吽の呼吸でお互いを補い、軽口を叩きながら華麗に呪詛師や呪霊捌き切る二人に夢見てます。しょうねんまんが、さいこう。
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深夜でも人が行き交う都心。そこに建つビルの中には〝出る〟物件がある。人が多い分、怨嗟も溜まりやすいのだろう。
日下部は今まさにその曰く付きのビルに住み着いた呪霊共を祓っている最中なのだが、なんせ数が多い。狭い廊下は刀を振るうのに適していないし電気はもちろん通っていない。エレベーターなんて便利なものは動かないので呪霊の大元がいる最上階の13階までは階段で行くしかないし面倒この上ない。まぁそもそも、呪われたビルのエレベーターなんてとても使う気にはなれないのだが。
「くっそしつけぇな……!」
呪霊の波を打ち祓いながらひたすら足を動かして階段を駆け上がる。ようやく目的の階に辿り着いたその瞬間、空間がぐにゃりと歪んでバランスを崩しそうになる。
「おっとぉ?」
一瞬気を取られた日下部の隙を突いた呪霊の巨大な手が彼の胴体を掴む。そして、そのまま窓ガラスへ勢いよく投げつけた。
パリィン!
元々ヒビが入っていたらしい窓ガラスは簡単に砕け散り、日下部の体はビルの外へ投げ出された。
無駄に知恵がついた呪霊は、日下部との力量差を化け物なりに理解していたらしい。13階から落とせば、基本的にどんな人間ももれなく死ぬ。戦闘を避け、場外勝ちを目論んだのだ。
「おぉ、なるほどね」
冷静に呟く日下部。身体が一瞬ふわりと浮いた感覚の後、すぐに重力に引っ張られる。「死にたくない」が口癖の彼だが、最近はめっきり言う機会が減ったそうだ。その理由は──
「飛ばすぞ、日下部」
ナイスタイミング、寛見ちゃん
キラキラとビル群から漏れる光を反射したガラス片と、夜空に浮かぶ漆黒のスーツを纏った恋人。「綺麗だ」と伝えたいが、今は頭を切り替えなければ。
「頼むわ」
くるりと空中で姿勢を整えると、ちょうど踏み込むのに良い位置に巨大なガベルが出現する。空気の面を蹴り、13階の高さまで外から飛んできた日車が呪力で強化した筋力をもってガベルを振るう。その推進力と、日下部自身の踏み込みが合わさった抜刀は、月明かりに反射した光の筋だけを残して呪霊を一刀両断した。
「ありがとな日車、助かったぜ。さすがに焦ったわ〜」
「ふふ、全然そうには見えなかったが?」
無事建物内に着地した日下部と日車は呪霊が祓われ、幾分空気の澄んだそこで軽口を交わす。
「バレたぁ? お前さんがいるとさ、安心感が違うわけよ」
「それは光栄だ。だが今回は少し油断していただろう」
俺がいなかったらどうするつもりだったんだ、と咎める日車を胸の中にぎゅう、と抱き締める。
「ごめんごめん。以後気を付けますんで、許してくれよ。な?」
ぐりぐりと日車の少し赤くなった首筋に額を押し付ると、小さな声で「仕方ないな」と呟くのが聞こえたのでこいつも中々俺に甘いなぁと内心ほくそ笑む。
「なぁ〜早く終わったし飲んで帰ろうぜ? 階段ダッシュで喉乾いちまった」
「報告書は?」
「明日の俺が頑張るから」
なぁ、いいだろ?と抱き締めたままの日車の耳元で、意識して甘さを込めた声で囁く。寛見は俺の声が好きなんだよなぁ。すると案の定、ぴくりと震えて先程よりももっと小さな声で「仕方ないな」と返ってきた。あーちょろくて可愛い。
「ありがとな、寛見」
「…………篤也」
ちゅ、と頬にキスをひとつ送ると何故か不満げに唇を尖らせる日車。その表情をはたと見て、あぁそっか、と日下部はニヤケ面を隠す事なく再度顔を近付けた。
キスはやっぱり唇にしてやらねーとな♡