従来の消せるボールペンとは消し方が全く違う。“剥がし取って”消すセーラー万年筆「ケセラ」の面白さ
セーラー万年筆の「ケセラ ボールペン(以下、ケセラ)」は、これまでの「消せる筆記具」とはその「消す」方法が全く違う、「消せるボールペン」です。従来の消せるボールペンは、ほとんどの製品が摩擦熱などによってインクを透明にすることで、書かれた線を見えなくする仕組みでした。ところがケセラは、書いた線そのものを紙から“剥がし取って”しまうことで、物理的に消すのです。 【画像】「ケセラ」のカラー展開を見る
◆「書いた線を物理的に消すには?」から生まれたアイデア
「消せるボールペンをどのように実現すればよいか検討する過程で、紙に書いた線を定着させることと、それを物理的に消すことを両立させるには何がいいかと考えていて、最終的に“剥がして消す”というアイデアが残りました」と、セーラー万年筆の広報スタッフが教えてくれました。 書かれたインクを剥がし取るというのは、シンプルなアイデアのようで、実現するとなるとかなり難しいものです。文字はしっかりと紙に定着させて、簡単には消えないようにしなければなりませんが、消したくなったら、きれいに書いた部分だけが紙から剥がれるようにするという相反する性質を実現しなければならないからです。
◆剥がして消せるインクを開発する困難
前提として、紙にインクが染み込んでしまったら、もう剥がすことはできません。しかし、裏写りしにくい顔料系のインクにしても、全く紙に染み込んでいないわけではありません。水性顔料インクを使いながらこの課題をクリアした「ケセラ」は、単なる「消せるボールペン」ではありません。 「筆跡の定着と剥がしやすさのバランス調整が難しかったと聞いています」という広報スタッフの言葉通り、これまでにないインクのため、正解がない中で、実用的なボールペンとして仕上げるのはかなり難しかったと思うのです。 実際に書いてみると水性ボールペンらしい、さらさらとした軽い書き味で、しかもしっかりと黒い線が書けます。これが消えるというのは、とても面白いところです。
◆消しゴムで鉛筆の筆跡を消すのに近い感覚
消す時はキャップに付いたラバーを使うので、なんとなく従来の「消せるボールペン」との違いが分かりにくいのですが、実際に消してみると、インクが剥がれるので、鉛筆で書いた文字を消しゴムで消した時のように消しカスが出るのがなんとも新鮮。しかも、そのおかげで、「剥がし取っている」実感も得られます。 「開発段階では『液体鉛筆』と呼んでいたそうです」と、広報スタッフが教えてくれたのですが、実際、使っていると、その呼び方がとてもしっくりきます。 筆跡は明らかにボールペンのものなのですが、消し方、消え方が、とても鉛筆のよう。紙の上に擦り付けられた黒鉛を消しゴムで擦り取る鉛筆と、紙の上に貼り付いているインクをラバーで剥がし取る「ケセラ」は、その紙と筆跡の関係としては、普通のボールペンと比べても鉛筆に近いのです。 ラバーも、紙を擦るためではなくインクを剥がすためのものなので、エッジが立った、スクレーパーのように剥ぎ取りやすい形状になっています。そして、剥がし取るので、インク残りが目に見えて分かるし、どこを狙って擦ればよいかが分かりやすいので、ちょっとした書き間違いならとても消しやすく、しかもきれいに消すことができます。