移民受け入れ多い先進国は大きな経済的恩恵を享受=論文
[フランクフルト 25日 ロイター] - 過去35年間にわたり移民を大量に受け入れてきた先進国が大きな経済的恩恵を享受したことが、米カリフォルニア大学デービス校のジョバンニ・ペリ教授らが執筆した論文で明らかになった。論文はポルトガルのシントラで来週開催される欧州中央銀行(ECB)の会合で説明される。 また論文は、多くの先進国は依然、さらに移民労働者を受け入れる余地があるとしている。 移民を巡っては近年、政治的緊張が高まっている。反移民政策を掲げる極右政党が移民問題を最重要級の政治課題として提起したことが背景だ。 論文は経済協力開発機構(OECD)加盟国を対象に調査した結果、経済成長と生産性は移民の流入によって大きく押し上げられた公算が大きいと分析。「移民受け入れ国の労働生産性は大量の移民流入期間およびその後に著しく伸びた」と指摘した。移民の大半は政治的主張に反して職業スキルが高いという。 OECD加盟国に域外から流入した移民数は1990年には約2500万人だったが、2024年には約1億人に増えた。一方、多くの先進国では移民を除く人口が減少に転じている。 論文の著者らによると、国家の人口の1%に相当する移民の増加は、生産性の指標である労働者1人当たり国内総生産(GDP)の伸びを5年間では1.2%、10年間では1.9%それぞれ押し上げる効果に関与している。 この効果は特に欧州連合(EU)に該当。EUでは15年以降、移民を除く人口の減少が続いており、新型コロナウイルスの世界的大流行後に人口減少が加速している。 論文によると、スペインとイタリア、英国では1990年から24年にかけて労働者1人当たりの経済成長の最大3分の1が移民によって生み出された可能性がある。 スペインでは1990年から24年にかけて成人人口に占める移民の比率が15ポイント上昇。この変化が労働者1人当たりのGDPを28%押し上げた可能性がある。この期間に実際の労働者1人当たりGDPは約75%増加しており、生産性の伸びの約3分の1が移民の流入に関係していることが読み取れる。 論文は、移民による経済的恩恵が移民流入の増加に伴って減退することはないと指摘。大量の移民を受け入れてきたカナダとオーストラリアにおける経験は、生産性と投資への好ましい影響を犠牲にすることなく、さらに多くの労働者を吸収する余地があることを示唆しているとの見解を示した。