およそ10億円相当の金塊を等身大の人形に隠して中国から成田空港に密輸しようとし、消費税などを免れようとしたなどとして、中国籍の会社社長ら6人が逮捕された事件で、東京税関はこのグループが同じような手口で密輸した疑いのあるおよそ242キロ、53億円相当の金を押収したということで、事件の全容の解明を進めることにしています。
警視庁によりますと、中国籍で都内の貴金属販売会社の社長、周建軍容疑者(46)と従業員らあわせて6人は、ことし1月、中国の空港から、金塊49キロ、10億7500万円相当を等身大の人形の中に隠して日本に密輸しようとし、成田空港の税関で消費税など1億円余りを免れようとしたとして、今月、関税法違反や消費税法違反などの疑いで逮捕されました。
6人の認否は明らかにしていません。
このグループは、同様の方法で金塊の密輸を繰り返していたとみられ、日本人の共犯者が都内のマンションで受け取ったあと、中国籍の従業員が社長の指示を受けながら、会社の事務所に持ち込んで、1キロの板に加工し売りさばいていたとみられています。
東京税関は、ことし、このグループが同じように人形に隠して密輸した疑いがあるおよそ242キロ、53億円相当の金塊を押収したということです。
このほか、関係先からは、金を溶かして加工する際に使ったとみられる鋳型や、板状の1キロの金塊などが押収されたということで、税関などは、事件の全容の解明を進めることにしています。
金密輸の現状と手口の詳細
税関などは金の価格が上昇すると、金にかかる消費税額も上がるため海外から密輸して国内で売りさばいた際の利ざやが大きくなり、金の密輸が増えるとみています。
大手貴金属会社、「田中貴金属工業」によりますと金の小売り価格は、ことし3月には1グラム当たり3万305円(税込み)と最高値を更新しました。
その後、値下がりしたものの、現在も2万5000円前後で推移し、高い水準が続いているということです。
一方で財務省などによりますと、日本では、金の輸出量が、去年、およそ228トン、額にして3兆7800億円余りでしたが、輸入量は、近年は10トンほどで推移し、国内での金の産出量も、おととし年間4トンほどでした。
税関などは、輸出される金の量が、国内に輸入される量や金の産出量と大きな差があることなどから、海外から国内へ金が密輸されていることを強く示唆しているとしています。
警視庁や税関によりますと、今回、等身大の人形に隠して金を密輸していた疑いがあるグループの関係先からは、金を加工する際に使っていたとみられる鋳型や、板状になった金塊などが押収されたということです。
板状の金塊は1つ1キロほどで、純度が高かったということです。
このグループが1キロほどの金塊に加工したうえで、複数の買い取り業者に売却し、金の出どころをわからなくさせていた疑いがあるということです。
税関は、輸入時の検査の強化だけでなく、輸出時にも金の出どころなどの調査を強化しているとしています。
巧妙な手口が後を絶たず 税関が水際での対策強化
手口が巧妙な金の密輸が後を絶たない成田空港では、新たな検査機器を導入するなど、税関が水際での対策を強化しています。
その検査の現場に密着しました。
東京税関成田税関支署によりますと、成田空港では、ことし、1月から3月までの3か月間で金の密輸を33件摘発し、およそ46キロの金を押収しました。
このうち、粉状にされた金が30件、およそ45キロとほとんどを占め、去年の同じ時期と比べて、摘発件数が3倍以上に急増しているということです。(※粉状:2025年同時期:9件約12キロ押収)。
粉状の金は、いずれも香港から密輸されたもので、数百グラムをラップのようなもので包み、避妊具に入れて体内に隠す手口で去年の秋頃から増え始めているということです。
成田空港の税関エリアでは、巧妙化する密輸を防ぐため、新たな検査機器を導入したほか対象を絞り込んでより徹底した検査が行われるようになっていて、23日午後も、旅行客が次々と検査を受けていました。
税関の職員が詳しく調べる必要があると判断すると、スーツケースを開けて中身を丁寧にチェックしたり、X線検査をしたりしたあと、金属探知機のゲートを通るよう指示していました。
探知機が反応すると、職員が協力を求めて、パーティションの中で身体検査を行ったり、別室でさらに詳しい検査や聞き取りを行ったりしていました。
密着したおよそ4時間に、金の密輸が認められたケースはなかったということです。
東京税関成田税関支署の齋藤克幸 次長は、金の密輸の最近の傾向として、以前は金の延べ棒などの形で持ち込まれることが多かったのに対し、最近は、アクセサリーやコインなど、加工された状態が多く、特に目立つのが粉状に加工され体内に隠して持ち込むケースだとしています。
税関では、金の密輸が相次いだことから罰金を科すだけでなく税関の処分として金そのものを没収できるようにしたほか、金の価格が変動する中罰金の額の算定基準を時価相当に変更するなど、対策を強化しています。
齋藤次長は「没収という規定が去年末から設けられているので、密輸グループも没収されないようどのように隠すかということをいろいろ考えてやっているのだと思います。過去の摘発の傾向や最近のトレンドを見ながら絞り込んで、しっかりとした検査をしています」と話していました。
そのうえで「密輸された金は仲間が回収してそれを加工し、国内で売却を繰り返し、最終的には輸出している疑いがある。そういった手口で、消費税の還付を受けて国外に持ち出されているということなので、税関としても非常に危機感を持っています」と話しています。
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