仲の良い男女高校生5人が突然拉致され、デフォルメされた子供のような人形に指示される。5人の誰かの借金が全員に負わされ、それを返して賞金をえるためにゲームに参加しなければならないというのだ……
ドラマ2期の直前に1クール放送された2022年のTVアニメ。2017年に実写映画化もされた騙しあいリアルゲーム漫画が原作で、『ドラえもん』と並行して小倉宏文が監督し、近年に『ドラえもん』の3DCGを担当しているオクトノボルがアニメ制作を担当。
内容はいかにも『マガジン』的な、下世話で頭の悪い騙しあいゲーム。このゲームで疑心暗鬼を生むための運営の操作をプレイヤーが疑わない理由がわからないし、さまざまな手段で情報伝達が可能なのにゲームについて誰も情報共有しない理由もわからない。
ゲームのブラックボックスが多いので、たとえば陰口を暴露するゲームで運営がこっそり陰口を書いている可能性をプレイヤーが検討して友人をかばおうと思わないのが不思議だし、逆に運営がその可能性をふせぐために陰口を書くためのカードをプレイヤーの視界から隠さずシャッフルするような工夫をしないのも奇妙だ。
何より、ルールの穴をつくように5人が協力して少しでも借金を返せるように策を練らない。最初のゲームのルールと、裏側で進行していた運営の裏切り誘導を考えると、うまく情報を共有して金銭を融通すれば、かなり借金を返せたのではないか。
それでもやっと第5話後半から第6話にかけて二転三転する策略が展開されて楽しくはあったのだが、主人公の策略に整合性がない。たとえば陰口の内容を指示して試す方法は厳密には成立しないから別の人質的な作戦もとったと語られるが、裏切り者がやったように陰口カードを何枚も入れることはできても、陰口カードは白紙であっても提出しなければならないようだから、チーム人数と同数の陰口カードしかなければ指示した陰口と同時に指示していない陰口も書いたわけではないことは明らかなはず。また、主人公がウソをついたと証明するとして、本当に人を殺したのは友人ではなく自分だと告白するが、自分が人殺しであることは他人が人殺しではない証明にはなりえない。それならば、たとえばこのなかでその友人は他と違って人殺しだとかいった文面にするべきだろう。
こうして、ただ手をこまねくか、友情にヒビをいれたり、それに対抗するばかり。先述したように、他プレイヤーに負担をかけず自分だけ借金を大幅に減らせるゲームなら、他人に隠してゲームを進行するのではなく、もちまわりで借金をひとりずつ限界まで減らすことを提案できるはずだろう。
また、運営側らしき女性スタッフふたりがゲームの進行について論評するが、運営側なのにどのプレイヤーが何をしたのかまで把握していない意味もわからない。これならばスタッフではなくゲームを観戦して楽しむ女性観客と設定するべきではないだろうか。女性スタッフの台詞が正論のような口調で女の怖さを語るミソジニーに満ち満ちているのは悪人の言動として許容するとしても。
さらに第11話、ゲーム運営キャラクターの台詞とはいえ、弱い者が声を上げることで周囲に助けてもらうことを理不尽と主張し、プラカードをかかげて声を上げるようなデモのイメージを挿入したのは閉口した。
内容の安っぽさにあわせて映像も安っぽい。作画は各話のバラツキは少ないが現代のアニメとしては低位安定。いかにも小倉作品らしくモノローグをテロップで出したり、止め絵が目立つし、作画も甘い。第6話で明かされるしかけにそってゲームが成立するよう細部にはこだわっているようではあるが。