高齢者の医療費窓口負担「速やかに原則3割に」 財制審が意見書
財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会は26日、政府の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)を見据えた建議(意見書)をまとめた。70歳以上の医療費の窓口負担は「速やかに現役世代と同様に原則3割とすべきだ」と唱えた。
財制審の十倉雅和会長が同日、片山さつき財務相に手渡した。増田寛也分科会長代理は会議後の記者会見で「人口減少のなかで医療費の負担を世代ではなく応能に切り替え、公平性を図ることを重視した」と話した。
医療費の窓口負担は70歳未満は3割、70〜74歳は2割、75歳以上は1割が原則となっている。財制審は窓口負担の割合を収入などの支払い能力ではなく年齢で決めるのは「給付は高齢者中心、負担は現役世代中心の構造の象徴だ」と指弾した。
高齢者の就業率の向上や長寿化を踏まえ、まず70〜74歳を原則3割に引き上げ、75歳以上も経過措置を許容しつつ3割にすべきだと訴えた。70歳以上の一部が毎月定額で外来を受診できる外来特例の廃止も求めた。
自民党と日本維新の会も社会保障改革の論点の一つとして、高齢者の窓口負担引き上げを議論する。維新は70歳以上を原則3割とするよう訴え、自民は慎重姿勢を示す。政府が7月にもまとめる骨太の方針でどう記すかは見通せない。
窓口負担の引き上げは現役世代の社会保険料負担を抑える狙いがある。高齢者の自己負担を上げれば、現役世代の保険料や税収などの公費で賄う給付費を圧縮できる。
財制審は国民所得に対する保険料の比率も着実に下げるよう訴えた。「数値目標と年限を明確に掲げるとともに改革項目の工程表を作成すべきだ」と提起した。賃上げやインフレによる所得増で負担率は2026年度に17.6%と25年度から0.2ポイント下がる見通しだ。
高等教育については国内の大学を40年までに現状から250〜400校ほど減らし、人口減に対応するよう促した。学部定員も計18万人削減する必要があると説いた。大学は24年時点で813校あり、最大で半減を求めたといえる。
防衛分野については装備品の調達で民生品も活用して「迅速かつ安価に行えるようにすべきだ」と言及した。政府は年末に安全保障関連3文書を改定する予定で、新たな防衛費の基準を決める方針だ。米国からの増額圧力を念頭に、効率的な歳出を促した。
政府・与党で浮上する防衛産業の再編や国有化に関しては「国の関与がなければ安定供給の確保が困難となる恐れがある」分野に絞って支援すべきだと指摘した。
政府は24日、40年度までに総額370兆円超をにらむ官民投資計画をまとめた。複数年度での関連経費の確保を見据える。財制審は「適切なマイルストーンを設けて政策効果を高めるべきだ」として進捗管理や効果検証を徹底するようクギを刺した。
高市早苗首相は25日、国と地方の基礎的財政収支について単年度での黒字を追求せず複数年度での管理に変えると表明した。建議は長期金利の上昇を踏まえ「市場の信認を確保する観点から、利払い費を含めた財政収支などの動向」への目配りを求めた。