真矢ミキまやみき
旧名・別名 真矢みき
俳優
1964年生まれ、広島県出身。81年、宝塚歌劇団入団。「ベルサイユのばら」のオスカル役など大役を見事に演じ、95年の「エデンの東」で花組トップに。98年の退団まで、宝塚にさまざまな新風を吹き込む革命児的存在となる。退団後は、自らオーディションを受けるなどして道を切り開き、映画やドラマで俳優として活躍。NHKでも、連続テレビ小説『風のハルカ』、ドラマ10『全力離婚相談』などで好演。飾らぬ人柄でバラエティー番組でも活躍する。プレミアムドラマ『生きて、ふたたび 保護司・深谷善輔』では、「加害者の娘」かつ「被害者の姉」という立場で苦悩する小山香苗を演じた。
- 出身地
- 広島県
この作品は、舘ひろしさん演じる保護司・深谷善輔(ふかやぜんすけ)の生き様を描いたドラマです。彼は、息子を殺害した罪で服役していた小山結子(浅丘ルリ子)の担当になり、社会復帰を助けようと、彼女に向き合います。私は、小山結子の娘・香苗を演じました。母が弟を死なせたことに、事件からずっと苦しめられる役どころです。
私はあまり弱音は吐きませんが、この役は本当にしんどかったです。演じるにあたり、罪を犯してしまった方が更生するためにはどんなケアが必要なのかなど、たくさん資料を読みました。役に入り込みすぎて、だんだんと母親の結子を恨むようになってしまって…。
新型コロナウイルスの関係で、撮影が中断されましたが、この役から離れてしまうとなかなか戻れなくなると思い、お休みの間も香苗さんを背負いながら、過ごしていました。そんなふうに役をとことん生きることができたのは、舘さんや浅丘さんはじめ、ドラマに出演するみなさんが、揺るぎなくそれぞれの役で立っていらっしゃったから。そんな現場に関わらせていただいて、本当に光栄に思います。
タイトルにもある、「生きて、ふたたび」という言葉は、母・結子の人生の再生を表現しているだけでなく、この作品の登場人物全員に対しても言えることなのだと思います。事件に関わる人たちみんな、過去に囚われて未来への一歩が踏み出すことができていないんです。でも、探し求めているのは、人の温かさ。“人生を諦めるのも、生きたいと思うきっかけも、どちらも人が作る”ということを、このドラマを通して気づかされました。とっても厚みのあるお話なので一人でも多くの方に見ていただけたらと思います。
「居酒屋兆治」は、昭和の大人の恋と人生を描き、映画やドラマ化された山口瞳さんの名作です。私は遠藤憲一さん演じる、居酒屋店主・兆治(藤野伝吉)の妻、茂子を演じました。リバイバル作品のお話をいただいた際には必ず、これまでの映像を必ず見るようにしていますが、それにあまりとらわれないようにしました。彼女を演じる際、“人生の中心は兆治さん”という思いで、カメラで撮られていることをほとんど意識せずに、兆治さんだけを見てお芝居をさせていただきました。私なりの茂子さんを演じられたのは、撮影前にどんな作品にしたいか、“エンケン”さんとしっかりとお話ができたからだと思います。「俺なりの作品を作ろうと思うから、真矢さんもそうしない?」と、おっしゃってくださって。エンケンさんと夫婦役ができて、本当に良かったです。
兆治さんの昔の恋人、神谷さよさん(井川遥)と茂子さんが対じする場面は、撮影するまで井川さんとあえて距離を置くようにしていました。そうすることで、さよさんが自分の前に突然現れたときの自然な感情に出会えるのではないかと思ったんです。本番で対面してみると、「さよさんは、兆治さんにとっての大切な思い出の一つ」と、さよさんの存在を受け止めることができていて、自分でもびっくりしました。
また、彼女に「彼はどんな人だったんですか?」と、2人が付き合っていた頃のことを聞くセリフがありました。ちょっとした妻の威嚇なのでしょうけど、それを柔らかく聞くことができたのは、兆治さんと過ごしてきた時間が茂子さんの中にしっかりと根付いているから。妻としての確固たる自信があったのだと思います。
NHKさんからいろんなお役をいただきますが、このときほど結婚をしていてよかったと思ったことはなかったですね。私自身結婚して15年以上経っても、夫について知らないピースがあることに気づくことがあり、茂子さんの心情を想像しやすかったですね。茂子さんという役を演じさせていただいたことで、過去も含めて今が進行している、「大人」の魅力に気づかせてもらいました。
私が演じる竹内美晴は、企業法務を専門とする女性弁護士。所長の水野豊彦(舘ひろし)から、取引企業の離婚案件を強引に任され、さまざまな夫婦の問題に向き合います。私はキャリアウーマンの役がすごく多いのですが、例えば、仕事を終えて家のドアを開けた瞬間に、その場にバタッと倒れ込むような、オフの部分が描かれた女性をあまり演じたことなかったんです。そういった役を任せていただいたことが、とてもうれしかったですね。
名古屋での撮影だったので、その期間中はウィークリーマンションを借りて一人暮らしをしました。家事は洗濯と、余裕があるときに自炊をする程度にして、ほとんどの時間をこの作品に向き合うために使いました。膨大なセリフを覚えなくてはいけない中で、洗濯機は回すのは、役作りにおいてとても重要な時間でした。そうすることで、美晴が仕事に追われているような感覚になれましたね。
撮影をした約4ヶ月間、名古屋に住んだことで、すっかり愛知県のファンになりました。おいしいお店がいっぱいあって、太らないようにするのが大変でした(笑)。また、舘ひろしさんのご実家があるので、撮影が終わってみんなでお邪魔した際には、もてなしてくださって。忘れられない思い出がたくさんありますね。
バリバリ働く女性の心情を細かく描いてくださった脚本も素敵でしたし、演出の柴田岳志さんは、懇切丁寧に作品を作り上げてくださいました。また、ベテランの中尾ミエさん(竹内笙子役)、舘ひろしさんの綿密な役作りや、天才的感覚で演じる上地雄輔さん(三ツ矢鉄役)のお芝居を近くで見ることができて、最高のスタッフとキャストに恵まれた、とてもありがたい時間でした。
私は、村川絵梨さん演じるヒロイン、水野ハルカの母・木綿子を演じました。当時はまだ結婚していなかったので、この役を演じるのは本当に難しかったです。まず「あなた」と男性を呼んだことがなかったので、緊張してしまって…。結婚するとすぐにわかるんですけど、その頃はすごい重みを持った呼び方をしていましたね。
今でも忘れられないのが、私の初登場シーンが、夫の陽介さん(渡辺いっけい)に「離婚しましょう」と、別れを切り出す場面だったこと。台本を読んだときは、衝撃でした(笑)。そして、木綿子さんは自分の仕事のために、まだ小さい子供2人を置いて家を出て行きます。一見、悪役のようにも見えるのですが、大森美香さんの脚本は、優しさが随所にあふれているからそうは映らないんですよね。どの役も自分に正直に生きているから、どんな決断にも寄り添えてしまうんです。でも、小さな娘たちを置いていく役は、辛かったですね…。印象的だったのは、ハルカの幼少時を演じた村崎真彩さんの演技。稽古場で度肝を抜かれた覚えがあります。
今振り返っても、木綿子さんを演じるのは難しかったなと思うのですが、いっけいさんが家庭のあたたかい雰囲気を自然に出してくださって、とても助けていただきました。
絵梨は、しっかりしているけれども、少女のような面も秘めていて、ハルカそのもの。今でも「元気にしてるかな〜」と気になって、彼女の舞台を見に行ったりしています。それがまるで、離れて暮らしていてもハルカが悩んでいるときには力になろうとする木綿子のようで、この作品と似たような付き合いが続いています。
この作品は、戦後の大阪を舞台に、夢を追いかける岩田家の四姉妹を中心に笑いと涙の日々を描いた物語。ミュージカル仕立てで、明るく楽しい痛快なドラマでした。
私は、岩田照子(浅野ゆう子)さんの夫・春男(岸谷五朗)さんを誘惑する岩瀬かおる役。朝、放送されるドラマに、ある意味“愛人”として登場する役を、どう演じれば良いのか当時はすごく考えました。“朝ドラ”ファンのみなさんに、かおるさんを受け止めてもらえるよう、ドロドロした愛ではなくコミカルさを意識して、「かおるさんは誰もがほれちゃうから、しょうがない」と思ってもらえるような役作りを心がけました。岸谷さんが、かおるさんになびいてしまう春男さんをとてもバランスよく、チャーミングに演じてくださるので、すごく助けられましたね。
撮影の合間は岸谷さん、浅野さんはとても優しく声をかけてくださって、「てるてる家族」を思い出すと、あったかい風がふわっと心に吹くんです。今でもそう感じられる現場の雰囲気を作ってくださったお二人には、感謝しています。
かおるさんは、浄瑠璃の師匠という役どころだったので、稽古場に習いに行きました。着物というのは、着ればすぐに似合うものではなく、着こなすまでに月日が必要ですよね。浄瑠璃も同じで、何年も歌い込んでやっと出てくる風格があります。なので、本番に入るまでできる限り、浄瑠璃の練習に時間を使いました。でもあまりにも本格的なお師匠さんのところに通っていたので、その方の域に達するまでには程遠いなと思いながらも、たくさん練習したのを覚えています。








