Title: Japan’s Army Used a Malware-Infected China-Made Counterfeit USB for Nearly a Year
Summary: Japan’s Ground Self-Defense Force used a China-made counterfeit USB drive infected with malware for nearly a year, even connecting it to terminals handling top-secret data, the Nikkei reported. USB-borne attacks by China-linked actors have also surfaced across the West and Asia, and the counterfeit-device supply chain is raising risks for society at large.
日本経済新聞は6月25日、陸上自衛隊が中国製の偽装USBメモリーを通じてウイルスに感染し、約1年間気づかずに使い続けていたと報じた。感染したUSBは、部隊の指揮命令など秘密情報を扱う秘匿性の高い「クローズ系」端末にも接続されていた。尾崎正直官房副長官は同日の記者会見で、「情報の窃取や接続したシステムへのマルウエアの拡散は確認されず、陸自のシステムへの影響はなかったと報告を受けている」と述べた。
偽装USBは容量も詐称、複数の検査をすり抜けた
日経によると、陸自・中部方面総監部(兵庫県伊丹市)で昨年2月、隊員がパソコンの動作の異常に気づき、差し込まれていたUSBからウイルスが見つかった。内部調査の結果、感染したUSBは計6本、総監部のパソコン約480台のうち50台以上に接続され、その半数近くがクローズ系に接続されていた。
回収品を陸自サイバー防護隊が分析すると、中国製の偽装品と判明した。本来のメモリーチップの代わりに安価で低速なマイクロSDカードが入り、そこにウイルスが仕込まれていた。容量も1テラバイトと認識されながら実際は4分の1の240ギガバイトしかなく、内部文書には2024年1月の能登半島地震の災害派遣をめぐり石川県から同年3月に受け取ったと記されている。
陸自は通常、調達時や使用時に何重ものウイルスチェックを行うが、ソフトの検査対象からUSBを外していたため感染を見逃した。陸自幹部は日経に「複数のチェック体制が機能しなかった」と認めた。問題のUSBが広く流通していると認識しながら、自衛隊は事実を公表していなかった。
USBを侵入経路とする中国系攻撃は世界で確認されている
日経は具体的なウイルス名や攻撃主体を特定していないが、検出されたウイルスは米セキュリティー企業の報告書で中国系ハッカー集団が過去に使ったと指摘されているものと同種で、この集団はベトナムやオーストラリアの政府・教育・通信機関を標的にしてきたとしている。
USBを足がかりとする中国系の攻撃は、近年国際的に確認されてきた。イスラエルのチェック・ポイント・リサーチは2023年、中国の国家支援型サイバー脅威アクター「マスタング・パンダ(Mustang Panda、別名Camaro Dragon/TEMP.Hex)」がUSB経由で自己増殖するマルウェアを使い、欧州の医療機関にまで感染を広げた事例を公表した。感染はミャンマーや韓国、英国などでも確認され、ネットから物理的に隔離した「エアギャップ」環境すら越えて拡散する点が脅威とされた。
米グーグル傘下のマンディアントも同年、USBを侵入経路とする攻撃が2023年上半期に3倍に増えたと報告した。なかでも、マスタング・パンダが用いるバックドア型マルウェア「SOGU」を使った攻撃が最も活発とされ、政府や医療、運輸など幅広い業種が標的となり、被害国には日本も含まれていた。今回の陸自の事案も、この潮流の延長線上に位置づけられる可能性がある。
偽装品の供給網に潜むリスク
日経の調査では、陸自が入手したものと同種の中国製偽装USBが、米アマゾン・ドット・コムや楽天グループなどを通じ相場の半値近くで広く流通し、口コミ欄にはウイルス混入を疑う報告が日米で少なくとも25件あった。工場や研究所、病院など、システムを隔離してUSBでデータを移す施設にも、同様のリスクが及ぶ。
混入の経路について、組み込みハードウエアを製造する企業の役員は日経に「生産委託先の中国企業が感染源であることが多い」と語り、「人為的に混入させている可能性も否定できない」と指摘した。製造・組み立て工程での仕込みが疑われるが、意図的な国家関与の有無は本稿執筆時点で確認されていない。
日本は昨年成立した能動的サイバー防御の関連法に基づき、国家サイバー統括室(NCO)を司令塔とする官民連携を進める。小泉進次郎防衛相は25日の参院外交防衛委員会で「報道についてはしっかり確認したうえで必要な対応をとっていきたい」と述べた。安価で隔離環境すら越えるUSBは依然として有効な侵入経路であり、偽装品の供給網がそのリスクを増幅させている。

