第99期五月祭常任委員会は6月23日、東京大学新聞社に「今後貴社から五月祭に関していかなる取材のご依頼をいただいた場合であっても、当委員会としてこれに一切協力・応諾しない」旨を通達した。これに先立ち委員会は、6月14日に本郷キャンパスで第5回委員会総会を開催。無断の取材をしない旨を誓約していた東京大学新聞社が、五月祭中止後にキャンパス内で取材をしていたことに関し、「東京⼤学新聞社からの五⽉祭に関する取材を⼀切受け付けず、五⽉祭に関する記事の作成及び公開も認めない」措置を取ると、賛成多数(反対3票・棄権5票)で決議していた。(記事末尾に関連資料を2件掲載します)
6月14日の総会で委員会が問題視したのは、5月16日に、開催中の五月祭で委員会などに爆破予告が届き1日目が途中で中止されたことについて、東京大学新聞社が行った取材などの行為。委員会が東京大学新聞社が誓約書に違反した行為と認定したのは、①委員会が許可していない内容に関する無断取材およびその記事公開、②五月祭1日目の中止判断後の緊急対応下において取材行為を行い、委員会による退構誘導に従わなかった点、③プライバシーへの配慮の欠如、④五月祭2日目の17日の、本社による構内での号外配布──の4点。このうち①に対しては、他の報道機関と同様に、報道機関の緊急時の速報機能を果たすものとして不問に付すべきだとした。②については、誓約書違反であると同時に緊急時における安全確保を明確に妨害する行為だと説明。③については東京大学新聞社が公開した複数の記事の中に、モザイクがかけられているものの個人を特定可能な委員の写真を掲載したと評価し、問題視した。④については、企画に関係のない団体が勝手に配布したものと認定。東京大学新聞社が16日に「翌日(17日)に配布したいので認めてほしい」旨をメールで送付したことから本部に本紙記者を呼び出し、取材担当の委員から配布を認めることはできないと通告したとする。それにもかかわらず配布を行ったことから「極めて悪質」と評価した。
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読者の皆様へ、東京大学新聞社として以下のように説明します。
まず東京大学新聞社が、五月祭中止を受け、事前に申請のない取材活動を行ったことは事実です。結果的にこれらは誓約書の内容に反するものですが、事態の重要性を鑑み、報道を行わなかった場合と比較して正確な情報を収集して報じることは公益性が高いと判断したため、取材活動を継続しました。
その上で問題とされた②〜④の3点について説明します。
まず②に関して、許可を得ていない取材活動をしたことは誓約書に反しています。しかし、当時は中止の要因が何であるか、翌17日の開催は可能なのかなどについて情報が錯綜していました。加えて、キャンパス内での来場者以外への対応が取られているか不明確であるなど、報道機関として緊急時に的確な情報を伝える役目があると考え、取材を継続しました。記者から五月祭委員に話しかけることはせず、常に距離をとっていたので、委員による退構誘導などを妨害する行為は一切していません。また、委員会が取材したことを問題視する「退構誘導完了後」のキャンパスには、東京大学新聞社が取材活動をしていた時間帯において、構内の店舗も引き続き営業を続けていたほか、五月祭委員も構内に滞在し続けていて、構内での取材活動にあたって危険があるとの認識はありませんでした。当時、キャンパスは実際には封鎖されておらず、学生はもちろん犬の散歩をする一般の方なども含め多くの人がキャンパス内へ出入りしていました。
③については、記事中の五月祭委員の写真には、紙面・オンラインともに顔にモザイクをかけて掲載しています。一般の方が写真中の委員を個人として特定することは容易ではなく、プライバシー侵害の問題という指摘は当たらないと考えます。不測の事態に正確な情報を収集し、それを伝えることは公益に資する報道機関として当然の務めであり、五月祭委員は数万人の来場者を迎える公共空間としての五月祭を管理する立場にあることを踏まえれば報道の対象であると考え、プライバシーに配慮した加工を施した上で写真を掲載する判断をとりました。
④については、そもそも東京大学新聞社では号外の発行に関して、「明日、本日の五月祭中止に関する新聞を発行し、東大構内にて配布する予定です」(メール本文より抜粋)と5月16日の夜に説明しましたが、許可を求めた事実はありません。つまり東京大学新聞社から「翌日(17日)に配布したいので認めてほしい」と号外配布の許可を求められた、とする委員会総会の資料の記述自体が誤りです。また、17日午前9時ごろに委員会本部へ呼び出しを受けた記者に確認したところ、号外を配布しないようにという連絡は受けておらず、17日に一切許可のない五月祭に関する取材を禁止するという連絡にとどまっていました。そのため、東京大学新聞社としては16日から17日朝までの取材を踏まえた速報性の高い情報を来場者に伝えるべく、号外を配布しました。この行為自体が報道機関として重要な行動であったと認識しています。また、そもそも各出展団体には自由にビラを配布する権利があり、ビラの配布に許可が必要なものとは認識していません。故に、17日の号外配布を取り立てて悪質とする評価は失当だと考えます。
このように東京大学新聞社と委員会との間では事実認識に食い違う部分がありますが、東京大学新聞社としては、誓約書に反していることを認識しつつも、事態の重要性を考え、必要と考えられた取材活動を行い、また記事として順次公開しました。
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今回の決議は「特定の団体に実質的な不利益処分を含む。加えて、それに対する意⾒を委員が安全に発⾔できるようにするため」、傍聴人が参加できない秘密会で審議された。秘密会で審議することに反対した委員は1人だけだった。なお、自治会や学友会など、ほかの学内団体から選出され、委員長を互選によって選ぶなど中心的な役割を果たす選出委員は、議場から退出した選出委員もいたが、採決に参加した選出委員は、全員が賛成した。今回の決議にともなう次年度以降の対応は未定だとしている。
五月祭の中止に関しては、東京大学新聞社のほかにも複数の報道機関が事前の取材申請なく、取材・報道に踏み切った。委員会は、五月祭の中止を公共的関心事として論じた記事は、批判的論調の記事を含め「次年度以降の取材管理の秩序を損なうおそれ」が乏しいとして、今年度限りの特例として基本的に許容する方針を示した。
五月祭では例年、委員会が独自の取材管理方針を運用。「五月祭の安全と円滑な運営を保つ観点から」五月祭に関するあらゆる取材と記事の公開に関して、五月祭から1週間前にあたる5月8日までの取材申請と、取材後には記事内容の事前確認を全ての報道機関に対して求めている。
なお東大は、「東京大学と五月祭常任委員会の要求書の取り決めにより、当日及び準備日に五月祭に関する取材を希望する取材関係者への対応についての取材の権限は、五月祭常任委員会に委譲されている」としている。
資料① 第99期五月祭委員会総会 決議第51号(全文)
1.無断取材を⾏った各報道機関に対し、本来遵守されるべき取材申請等のルールの遵守を来年度以降改めて求めるとともに、事実と異なる内容が報じられている場合には、当委員会が公開した報告書に基づき、訂正をはじめとする是正措置を求める申し⽴てを送付する。
2.東京⼤学新聞社に対しては、取材誓約書に対する重⼤な違反⾏為が複数確認されたことを踏まえ、⼀切の五⽉祭に関する取材を禁じる措置を講じる。すなわち、東京⼤学新聞社からの五⽉祭に関する取材を⼀切受け付けず、五⽉祭に関する記事の作成及び公開も認めないものとし、当該取材⾏為を確認した場合には即刻その中⽌を指⽰し、これに従わない場合には法的措置等を含めた対応を検討する。
3.前項の措置について、東京⼤学新聞社と当委員会との信頼関係が⼗分に回復したと認められるまでの間これを継続するよう、第100期五⽉祭常任委員会に勧告する。
資料② 東京大学新聞社の記者と第99期五月祭常任委員会との間で結ばれた誓約書(全文)
第99期五月祭常任委員会 御中
私は、東京大学 第99回五月祭で取材するにあたり、下記の事項を遵守することを誓約いたします。下記の事項に違反した場合、第99期五月祭常任委員会(以下、「委員会」)からの取材許可の取消し、または今後の五月祭における取材活動の制限を受ける可能性があることを理解し、これを受け入れます。
記
1.取材内容について
取材内容およびその方法について、事前に委員会に提出し、承認を得ます。事前に提出した内容と異なる取材は行いません。
また、委員会の許可していない活動を五月祭企画公開時間中にキャンパス内で行っている人や集団に関連して、撮影やインタビュー等の取材を行いません。
2.取材許可証の着用
撮影・インタビュー等の取材を行う際は取材許可証を必ず着用します。取材が終了しましたら、取材許可証を本部受付Bまで返却します。
3.取材後の公開前確認
取材後に作成された記事や映像などの公開物について、公開前に委員会の確認を受けます。
4.プライバシーへの配慮
撮影に際して、映像への写り込みを承諾していない方々への配慮を徹底し、プライバシーを侵害しないよう努めます。
企画に関して撮影やインタビューをする際は、企画を運営する学生(企画構成員)に必ず許可を得てから実施します。
※映像に写り込みを許可していない委員・スタッフや来場者、企画構成員の写り込みに配慮して撮影を行ってください。
※公式パンフレットや公式ウェブサイトの各企画に関するページの「周知事項」に「撮影不可」「録音不可」等のご案内がありますので、必ずご確認ください。
5.取材車両の入構禁止
許可された場合を除き、取材車両の東京大学 本郷・弥生キャンパス内への入構および駐車は行いません。
6.安全で円滑な運営の尊重
取材活動が第99回五月祭の安全および円滑な運営を妨げないよう細心の注意を払います。来場者動線や安全の確保等のため、撮影場所等に関して委員から指示された場合、それに従います。
7.事実に基づく報道
取材内容の編集過程において、事実に基づかない改変や歪曲を行いません。
8.東京大学・五月祭の名誉保持
取材活動およびその成果物が、東京大学のイメージを著しく損なうことのないよう配慮します。
以上
令和8年5月16日
東京大学新聞社
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【記事修正】2026年6月25日午後2時30分 「なお、自治会や学友会など、ほかの学内団体から選出され、委員長を互選によって選ぶなど中心的な役割を果たす選出委員は、全員が秘密会での審議に賛成した」とあったのを正しい「なお、自治会や学友会など、ほかの学内団体から選出され、委員長を互選によって選ぶなど中心的な役割を果たす選出委員は、議場から退出した選出委員もいたが、採決に参加した選出委員は、全員が賛成した。」に修正しました。