変わる大学、大学はいま
「私立大を3分の1に」財務省主張の危うさ 地方小規模大学の価値を知ろう
2026.06.23
小中高で伸び悩んだ若者の「最後のとりで」
定員割れとなっている私立大は、知名度の低さやブランド力の弱さゆえに学生集めに苦労しているケースが大半だ。「教育力が低い」「進学しても成長できない」といったマイナスの評価をされているわけではなく、受験生や保護者に存在を知られていないのが現状だ。大学を揺るがすような不祥事を起こした有名大が、数年経つと何もなかったかのように多くの志願者を集めるようになるのとは対照的だ。
私は2005年に大学をテーマに取材を始めてから合計で10年以上かけて、全国各地の計200校以上を取材してきた。有名な大規模大で数百人の学生が大教室で学ぶ様子も見てきたし、地方の小規模大で学生一人ひとりに目を配った授業が進められている様子も見てきた。同じ大学教育でもスタイルは多様で、どちらが確実に正しいとは言えない。それぞれの学生が自分に合ったスタイルで学ぶことができ、成長していってほしいと見つめてきた。
とはいえ私立大の収入は、平均で全体の75%を授業料や入学金などの学生納付金に頼っている。このため定員割れは経営悪化に直結する。人気がない地方・小規模私大の中には、学生を確保して生き残るために、ほぼ学力不問で入学させるケースがある。学力が低かったり学習意欲が弱かったりする学生を一定数受け入れ、小中学校の復習から始めて大学での学びに対応できる力を身につけさせようとしている大学は少なくない。
しかし、見方を変えれば、こうした大学は、高校までに学力を十分に身につけることができなかった学生にとって、社会に出る前の「最後のとりで」になっているとも言える。教職員がじっくりと向き合って信頼関係を築くことで、初めて学ぶ喜びを知り、意欲的に行動するようになる学生は多い。成長した結果、希望する企業や職種へと進み、地域に欠かせない人材として活躍するようになっていく。