「包括的性教育から子供達を守る地方議員連盟」の要望と「包括的性教育」の根本的問題点
●「性の多様性」を強調する新高校教科書が急増
検定結果が公表された高校教科書には、LGBTQなど性の多様性についての新たな記述が、13点の教科書に加わった。
公民教科書全てに掲載され、教科の枠を超えて広がった。
第一学習社の政治・経済では、生殖能力をなくす手術を性別変更の要件とした性同一性障害特例法の規定を憲法違反とした最高裁判断を紹介している。
昨日のnote※で取り上げたように、同性婚や性自認をテーマとして取り上げる高校教科書が多く、東京書籍の政治経済は《性の多様性の尊重》とコラムを掲載。《同性婚を認める意見が多数となりつつあるが、法制化には至っていない》と説明した。
※昨日のnote投稿↓↓
国語教科書にもジェンダー記述が目立ち、過去に「お母さん食堂」という大手コンビニの商品名称がSNSで炎上したことを引き合いに、性別による男女の役割分担意識と日本語との関係性について考えさせるといった内容が数多く掲載された。
「源氏物語」などの古典文学を現代のジェンダーの視点で捉え直す教材も目立った。
「論理国語」では三省堂と第一学習社が哲学者の古田徹也著『いつもの言葉を哲学する』を引用。
ファミリーマートの総菜シリーズの名称「お母さん食堂」が「食事は母親が担う」という役割の押し付けを助長するとして20年末に批判を受けた事例に触れつつ、「母校」「母語」などの日本語で比喩的に用いられる「母」という言葉について思索する内容となっている。
筑摩書房も「ニュースなどからジェンダーに関する話題を探して内容をまとめる」という学習課題を例示している。
「古典探究」での性の多様性や男女差別についての記述が登場した。
大修館書店は「源氏物語」についての単元の「探究」の教材として、当時の性別役割意識は現代と大きく異なることに触れ、東京書籍は、逆の性別で育てられた兄妹が登場する平安時代の「とりかへばや物語」について「最近はトランスジェンダーの観点から現代に通じる物語として注目されている」とコラムで解説した。
「文学国語」でも、性の多様性やジェンダーを取り扱う文章が採用された。
数研出版はカラーで2ページにわたり《多様性に寛容な社会へ》と特集した。
さまざまな性のあり方を理解するには、生物学的性▽性的指向▽性自認▽性表現-4つの観点が必要だと示した。
「生物学的性」「性的指向」「性自認」「性表現」という「性の4要素」「性の多様性」を強調する教科書が増えているが、「性の4要素」という言い方は、「ジェンダー」と男女の「性別」を故意に混同させる巧妙な言い回しであり、「自己表現・自己意識・性的指向」は、性別に何の影響も及ぼさない。
「性自認/性同一性」は「ジェンダー・アイデンティティ」の訳語であるが、生物学的「性別」と後から作られた社会的・心理的「ジェンダー」を区別することなく「性」と訳してしまうと、新たな知識を迎え入れる側が情報操作されやすくなってしまう点に留意する必要がある。
ジョン・マネーは後天的・環境的な要因が「ジェンダー・アイデンティティ」を決定するという理論を提唱したが、後にその根拠となった事例が捏造や失敗であったことが判明し、その研究方法や倫理的妥当性は後に厳しく批判された。
●「包括的性教育」の学習目標
急進的性教育を推進してきた性教育団体が推し進める「包括的性教育」では、児童生徒の発達段階に応じて、以下のような学習目標を掲げている。
3.1 ジェンダーとジェンダー規範の社会構築性(「国際セクシュアリティ教育ガイダンス」p.94以降より抜粋)
学習目標(5~8歳)
・ジェンダーとセックス(編注:性別)の意味を明らかにし、それらがどのように異なるのか を説明する(知識)
学習目標(9~12歳)
・ジェンダー役割の意味を明らかにする(知識)
・社会的規範や文化的規範、宗教的信条がジェンダー役割にどう影響するかを明らかにする (知識)
・ジェンダーアイデンティティの意味を明らかにする(知識)
・誰かのジェンダーアイデンティティがセックス(編注:性別)と合致しない場合があることを説明する(知識)
・誰もがジェンダーアイデンティティをもっていると認識する(態度)
学習目標(12~15歳)
・ジェンダー規範がどのように有害になりうるか、どのように人の選択や行動にネガティブな影響を及ぼしうるか について調べる(知識)
・ジェンダー規範についての信条は社会によってつくられたものであると認識する(態度)
学習目標(15~18歳以上)
・男性、女性、多様な性的指向およびジェンダーアイデンティティをもつ人々、それぞれに対するジェンダーバイア スの例を再認識する(知識)
・同性愛嫌悪、トランス嫌悪の意味を明らかにする(知識)
7.1 セックス(編注:性交)、セクシュアリティ、生涯にわたる性(p.139以降より抜粋)
原文:Sex, Sexuality and the Sexual Life Cycle
学習目標(5~8歳)
・身体的なよろこびや興奮は自然な人間の感情であり、そこには他者との身体的親密さが含まれうることを理解す る(知識)
・自分の感情を他者に示したり他者との親密さを表現する方法に関して、適切な言葉や行動と、不適切な言葉や行 動があることを認識する(態度)
学習目標(9~12歳)
・セクシュアリティには、他者への感情的、身体的な関心を伴うことを理解する(知識)
・人間が一生を通じて身体的接触(キス、ふれあい、愛撫、性的接触など)からよろこびを感じるさまざまな方法を説明する(知識)
7.2 性的行動、性的反応(p.141以降より抜粋)
学習目標(5~8歳)
・キス、ハグ、ふれあいを含むさまざまな方法や、また時には性的行為を通して、他者に愛情や思いやりを 示すことができることを提示する(知識)
学習目標(9~12歳)
・性的刺激に対する男性および女性の反応を説明する(知識)
・多くの男子と女子は前期思春期に、もしくはそれより早い段階でマスターベーションをしはじめることを説明する(知識)
学習目標(15~18歳以上)
・性のよろこびや責任について重要な点をまとめる(知識)
●「包括的性教育から子供達を守る地方議員連盟」の要望8項目
「包括的性教育から子供達を守る地方議員連盟」は、文部科学省、こども家庭庁に対する要望として以下の8点を列挙した。
前述した「包括的性教育」の学習目標についても、 翻訳が直訳に近く、単語や文章の意味が掴み難く、「いじめ防止」といった心惹かれる課題と「性の快楽」の話題が混在しており、「ジェンダー思想」という科学的根拠の無いイデオロギーを中心に据えている点を問題視している。
⑴ {LGBT理解増進法」に定められたLGBTの具体的な定義や運用方法を明確にした学校教育においては、同法に定められた「家庭及び地域住民その他の関係者の協力を得つつ、教育又は啓発、教育環境に関する相談体制の整備」を進めること。
⑵ 「性の多様性」の理解に留め、教科書で子供達の性に混乱を招いたり誘導したりする可能性のある記述を排除すること。また外部団体等へ誘導する記述があるものは、事前に学校などにおいて慎重に精査すること。
⑶ 「性別」や「性差」などの「区別」をなくすような記述や指導は行わないこと。
⑷ トイレ、更衣室、運動部、身体検査などは生物学的な特徴に基づいて区分すること。
⑸ 学校教育において、特別授業を含む全ての授業は、現行の学習指導要領に定められた内容に留意すること。
⑹ 児童生徒の発達段階を踏まえ、学校全体で共通理解を図り、保護者の理解を得ることなどに配慮すること。
⑺ 事前に集団で一律に指導(集団指導)する内容と個々の児童生徒の状況等に応じて個別に指導(個別指導)する内容を区別しておくなど、計画性を持って実施すること。
⑻ 「性の多様性」については、現代生物学や脳科学等の科学的知見を踏まえること。
これらの要望は、安部元首相を中心に進められた急進的性教育に関する全国実態調査を踏まえて開催された文科省の中央教育審議会の3年間に及ぶ審議の結論としてまとめられた「性教育の歯止め規定」を踏まえたものといえる。
国連・ユネスコのお墨付きを振りかざして、この「性教育の歯止め規定」の撤廃、「包括的性教育」の立法化を目指す性教協グループは、「道徳教育と性教育とは全く相いれない」と教科化されている道徳教育を全面的に否定している。
●「グローバル性革命」戦略としての「包括的性教育」の問題点
彼らが推進する「包括的性教育」は特定のイデオロギーに基づく「グローバル性革命」に他ならないことをクビーの著書が解明したことはnote拙稿で詳述してきたが、「日本社会に根差したウェルビーイングの向上」につながる真に「包括的な性教育」は推進する必要があるが、クビーによれば、「グローバル性革命」戦略としての「包括的性教育」の柱は次の7つである。
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