警察に指紋を採られたら、削除してもらえない? 不起訴の男性が訴えたら裁判所は「別の事件で使えるから」 過去にデータ削除命じた例も、判決が割れる理由は?
男性は2018年、インターネットオークションにDVDを出品した。ところが、落札者からこんなクレームが寄せられた。 【写真】刑務所トップ元法務大臣の河井氏、逮捕され刑務所に 刑務官に大声で許可を請わないとトイレに行くことさえできず 「河井!」と呼び捨てにされ… 24年
「これはサンプル品じゃないか」 DVDが返送されてきたが、男性は既に代金を受領してしまっている。トラブルになり、警察で事情聴取を受けた。その際、説明もないまま指紋を採取された。 結局は不起訴になり、男性は思った。 「不起訴になったのだから、指紋データは削除してもらいたい」 しかし、東京地裁は5月の判決で削除を認めなかった。一方で、過去には指紋データの削除を命じた判決もある。一体なぜ、司法判断が割れるのか。(共同通信=広川隆秀) ▽両手指と、クリームを塗った手のひらも採取 東京地裁の判決や原告側の説明によると、トラブルの経緯はこうだ。 代金を受け取り、DVDも返送されてしまった男性は、対応に困って近くの交番で相談した。アドバイスに従い、商品を再送。その際、伝票の受取人欄に落札所の氏名と住所を、依頼人欄に「同上」と記入してしまった。本来なら、依頼人欄は男性の氏名や連絡先を記入すべきだった。
落札者は、有印私文書偽造・行使容疑で被害届を提出。このため男性は2018年11月、警視庁石神井署で任意の取り調べを受けた。 言われるがままに左手の人さし指にインクを付けて供述調書に指印をし、両手指とクリームを塗った手のひらを専用のスキャナーに押しつけるよう指示され、指掌紋を採取された。 ▽警察は「説明した」でも録音を聞くと… ところで、指紋の採取やデータの取り扱いについては、国家公安委員会が「指掌紋取扱規則」で定めている。規則によると、今回のような任意捜査の時は、指紋採取を容疑者の「承諾を得て作成」としている。削除についても定めがある。容疑者らが死亡した場合のほか「保管する必要がなくなったとき」とされている。 今回の訴訟では、指紋の採取に同意があったか否かが争われた。 男性は、採取を断れることや警察庁のデータベースへの登録に関する説明がなく、違法だと主張。さらに、後に嫌疑不十分で不起訴となったため、保管し続ける必要性もないと訴えた。