水産庁、養殖魚の輸出強化に向け「高栄養プランクトン」量産化へ…7月から餌改良の実証試験
水産庁は養殖魚の輸出強化に向け、栄養価の高い餌の量産化を加速させる。研究機関や民間企業が、餌となるプランクトンを量産してブリなどの稚魚に与える実証試験を7月から開始する。餌の改良で養殖魚の高品質化や養殖期間の短縮を図り、同庁が掲げる「養殖技術立国」の実現を目指す。
水産業の世界市場は、人口増や経済成長に伴い拡大が見込まれている。日本は高い養殖技術を持ち、世界的な日本食ブームもあるため、養殖業が新たな成長産業になると期待されている。
政府が2022年に策定した「水産基本計画」では、輸出量の増加を狙う「戦略的養殖品目」として、ブリやマダイなどが指定された。同品目の生産量は18年度は約41万トンだったが、30年度に約62万トンまで増やす目標が示された。
ただ、現状の養殖技術で、生後2~3週間の稚魚の生存率は高くなく、ブリなど一部の魚種では、稚魚の多くを中国や韓国からの輸入に頼っている。稚魚が輸入できない状況も想定され、食料安全保障上のリスクも抱える。
そこで同庁は、「カイアシ」と呼ばれるプランクトンの量産技術の開発に取り組むことを決めた。これまで稚魚の養殖に使われてきたプランクトン「ワムシ」に比べ栄養価が数倍高い特長がある。国立研究開発法人水産研究・教育機構や公益財団法人海洋生物環境研究所(海生研)、水産大手ウミオスに計約2億円を助成。今後3年間かけ、カイアシの量産技術を確立するほか、ブリなどの稚魚に与えて生存率の向上や成長促進につながるか実証試験を進める。
カイアシはこれまで培養して増やすことが難しかったが、海生研が23年、一定程度の培養に成功。初期試験で、生後2~3週間のマダイにカイアシを与えると成長速度が速くなることが確認できた。養殖期間の短縮も期待できるという。海生研は29年頃に量産技術を確立し、養殖業者による活用開始を目指している。
同庁栽培養殖課の担当者は「カイアシの量産技術が確立できれば、養殖業にとってブレイクスルーになる。食料安全保障の強化にもつながるため、早期の実用化を後押ししたい」と話す。