■高校と大学、改革の相乗効果期待 アドミッション・ポリシー明確に
文部科学省高等教育局の塩見みづ枝・大学振興課長は10月末、産経新聞主催の座談会=文末参照=で、高校と大学入試で新テストを導入する、とした「高大接続システム改革会議」の中間まとめについて「混乱は避け、示された理念重視で進めることが大切」と強調した。馳浩文科相は10月の就任以来、現場での負担増に配慮して「状況を見て判断したい」と実施時期に含みを持たせる発言をしており、最終報告が注目される。(編集委員 平山一城)
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--高等学校基礎学力テスト、大学入学希望者学力評価テスト(いずれも仮称)の2つの実施時期も提示されました
「高大接続システム改革会議は、教育再生実行会議の提言や中央教育審議会(中教審)の答申を受け、高大接続改革の具体化の検討を進めています。高校を含む初等中等教育と大学教育、さらに社会への出口までの教育を一貫した理念で再構築していく必要性が高まっているのです。変化するグローバル社会の中で、自分の人生を生き、社会の持続的な発展に貢献すること。具体的には、自分の頭で考えて判断し、主体的に行動できるような人を育てるために教育はどうあるべきか、という認識が根本にあります」
「高校の先生からは、知識の量ばかり重視される大学入試が支配的な現状のままでは、高校教育を変えていくことは難しいという意見が聞かれます。一方、大学側には、高校でしっかり学んでいない学生が入ってくるので、大学教育が円滑に進まないという声もあります。どちらが悪いのかといった不毛な論議はやめて、高校と大学、その間にある大学入試を一体として改革することで日本の教育の姿そのものを変えていくのが狙いと思います」
◆入試問題の「質」改善
--負担増を心配する声が根強くあります。大学入学希望者学力評価テストでは、複数回実施について高校側から、1月実施のセンター試験でも厳しいのに、前倒しで実施されると、3年生の学習が追いつかない、学校行事やクラブ活動にも支障が出ると…
「現場の状況をきちんと踏まえて、混乱を招かないようにする必要があります。システム改革会議もまだ議論の途上です。関連団体からのヒアリングなどで意見を聞きながら、どういう形であれば実現できるのかを含めて考えていく必要があると思います。試験方式や複数回の問題、コンピューター導入など多くの検討課題はあるにしても、大事なことは、入試問題の質や内容をどういいものに変えていくか、という点だと思います。自分でしっかり考え、表現する力、いろいろな人たちとコミュニケーションをとりながら協働して物事に当たれる力をどのように育てるか。その観点から入試改革が高校教育にいい影響を与え、大学教育にもつながるようにしたいのです。新テストは、センター試験を否定して全く違うものをつくるのではなく、これまでの積み重ねも踏まえながらさらによいものに改革していくことになるのだろうと思います」
◆選抜スタッフの充実
--知識を重要視する関係者も少なくありませんが
「知識は学力の基盤としてこれからも重要です。その上で、各大学では自らのアドミッション・ポリシーを踏まえて個別選抜を実施いただくことが必要だと思います。大学がそれぞれの理念に照らしてどのような教育をし、どういう人材として社会に送り出すか。それぞれが求める人物像を描き、入試段階でも、どういう力を持っている受験生を評価して入学させるかということを考え、それに応じた選抜方法を実施する。そのために選抜スタッフを充実させる財政支援も必要と、システム改革会議の提言にもあり、来年度の予算でも要求しています。今回の入試改革は、大学の教育改革にもつながる大きな起点になります。大学改革全体という視点で捉え、各大学の人的、さらに物的両面からの強化を期待しています」
◆「COC」で地域貢献
--アクティブ・ラーニング(能動的学習)の重要性も強調されています
「ボランティアやインターンシップが活発化し、大学の大講堂で話を聞いて終わりといった授業は減ってきています。大学では、先生方の研究結果を学生たちに教えるということがそもそもの特徴ですが、あわせて学生の教育という視点から、体系的なカリキュラムに基づき人材育成に責任を果たすことが求められます。学ぶことが将来の職業選択や社会生活につながれば、学生たちの能力を引き出し、人間としての力を高めることになります。また、大学には教育・研究とともに、社会貢献という使命もあり、『知』の資産を生かして地方を活性化すれば、日本の社会全体を元気にすることにもつながるでしょう。大学を地域の知の中心に、という『センター・オブ・コミュニティ(COC)』の活動には、各大学が非常に関心を持っており、自治体や地元企業の協力を得て、成果は着実に上がってきていると手応えを感じます」
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座談会は別刷り特集「全入時代に変わる大学」として、12月12日付本紙に折り込まれる予定です(一部地域を除く)。塩見課長のほか大学、高校の責任者が出席しました。
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【用語解説】高大接続システム改革会議の中間まとめにおける2つの新テスト
高校生の基礎学力の定着度を測る目的で2019(平成31)年度に導入予定の「高等学校基礎学力テスト(仮称)」は、2、3年生対象で学校単位での参加を基本に、まず国語、数学、英語で実施し、年2回受験できるようにする。次期学習指導要領の実施に合わせ、地理歴史、公民、理科などを追加し、実施方法や回数を変更していく。その活用については19~22年度を試行期間とし、その間は、大学の推薦入試や、書類や面接で選考するAO(アドミッション・オフィス)入試といった大学入試や、就職には活用しない。
大学入試センター試験にかわり、20(平成32)年度に開始予定の「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」は知識、技能を十分有しているかの評価に加え、思考力・判断力・表現力を重視する。当初は選択式と短文の記述式で出題、センター試験より実施科目数を絞る。24年度以降はより文字数の多い記述式を出題し、対象科目は、次期指導要領で創設される新科目に対応。24年度からコンピューターによる試験の導入を目指すこととし、その間は試行に取り組む。
同会議は両テストの対象科目や実施方法、さらに出題形式などを検討し、最終報告をまとめるとしている。