フリーメイソンの施設か? 発見から200年経っても正体不明、“謎の地下遺跡”が不気味すぎる(イギリス)
イギリスにはストーンヘンジをはじめ、起源や目的をめぐって議論が続く歴史遺産が数多く存在する。その中でも異彩を放つ場所がケント州マーゲイトにある。「シェル・グロット(Shell Grotto)」と呼ばれる地下施設だ。 【写真・動画】発見された瞬間から「正体不明の遺跡」を見る 地上からは想像もつかないが、その内部には約460万個ともいわれる貝殻がびっしりと貼り巡らされている。通路や円形の部屋の壁面には精巧なモザイク模様が描かれ、薄暗い照明の中で幻想的な光景を生み出している。 だが、この場所が人々を惹きつける理由は美しさだけではない。これほど大規模な施設でありながら、誰が、いつ、そしてなんのためにつくられたのか、その答えは現在もわかっていないのである。
発見されてから今日に至るまで詳細不明
シェル・グロットは1835年、偶然発見された。地主ジェームズ・ニューラブの息子ジョシュアが土地を掘削していた際、地下の空洞を見つけたのだ。驚くことに、空洞の先に貝殻の回廊が連なる「地下迷宮」が広がっていた。長い間誰にも知られることのなかったこの場所について説明できる人物は誰もいなかった。 全長約21m、面積は190平方メートルほどのこの神秘の空間。通常であれば、これほどの建造物には建設記録や地元の伝承が残されているものだ。しかしシェル・グロットについては、それらがほとんど確認されていない。つまり発見された瞬間から「正体不明の遺跡」だったのである。
テンプル騎士団、はたまたフリーメイソンか?
正体がわからない以上、人々の想像力を刺激するのも無理はない。シェル・グロットをめぐっては、これまで数多くの仮説が語られてきた。なかでも有名なのが、中世ヨーロッパで大きな影響力を持ったテンプル騎士団との関連説である。一部の研究者は、施設の構造や光の差し込み方に一定の規則性が見られることから、騎士団の礼拝施設や集会所だった可能性を指摘している。 また、内部に祭壇を思わせる空間が存在することから、秘密結社フリーメイソンの儀礼に用いられた施設だったのではないかという見方もある。いずれも確かな証拠が見つかっているわけではないが、謎めいた地下空間の存在がこうした推測を呼び起こしてきた。 もちろん、より現実的な説も存在する。18世紀から19世紀にかけてのイギリスでは、庭園や邸宅の敷地内に景観施設として小さな人工洞窟を設けることが流行しており、その延長線上でつくられた装飾建築だったのではないかという見方だ。 しかし、この説にも疑問は残る。もし裕福な人物による大規模なプロジェクトだったのであれば、建設に関する文書や所有者の記録が残っていても不思議ではないからだ。ところが現在まで、その手掛かりは発見されていない。