研究は好きだけど…離れる若手 「博士・留学5万人増」を阻む現実
・研究力で日本の順位はどう動いたか
・欧米や中国ではどう処遇しているか
・待遇改善策の内容と識者の評価は?...
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(更新)- 山崎俊彦東京大学 大学院情報理工学系研究科 教授分析・考察
博士人材が日本で増えない背景には、社会全体の意識の問題もあると感じます。海外では博士号取得者が高度な専門人材として評価され、待遇にも反映されることが多い一方で、日本では「視野が狭い」「柔軟性がない」「実務で使いにくい」といった見方が根強く、待遇面でも博士号取得のインセンティブが十分にありません。 この状況で、若い世代が博士課程に進む意欲を持ち続けるのは難しいと思います。実際、何人もの教え子から「先生のことは尊敬しています。でも、先生のようになりたいとは思いません」と言われたことがあります。博士人材を増やすには、博士号が社会的にも経済的にも報われる環境づくりが必要です。
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(更新) - 加藤雅俊関西学院大学経済学部教授分析・考察
博士号取得者や留学経験者を増やすという「供給側」の数値目標ばかりが繰り返されていますが、肝心の「受け皿」の問題は一向に解決されていません。終身雇用ポストは07年から半減し、企業でも博士人材が経営層に上がる例はまだ少数です。90年代の「ポスドク1万人計画」も、博士を雇う先を増やさずに供給だけ増やし、多くの博士が行き場を失うという結果を招きました。同じ失敗を繰り返していることが分かっているにもかかわらず、需要側の構造改革を伴わない施策が再び提案されている。思いつきでの施策はいい加減やめて、本質的な課題に向き合うべきではないでしょうか。
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(更新) - 暦本純一東京大学名誉教授・ソニーコンピュータサイエンス研究所シニアフェロー別の視点
教授が20人の博士号学生を輩出して退官したとすると、博士20人に対して空きポスト1なので、教員ポストが指数関数的に増えていかない限り、博士号取得者をアカデミアだけで吸収することは不可能です。これは教育制度の問題というよりは単に算数の問題なので、博士取得者が産業界で活躍できる国でなければ博士は原理的に増えない(博士を目指す人間は増えない)ということだと思います。ただ、この構造は歴史的には、工学系は「学部・修士卒で企業が採用し、(博士課程に進学せずとも)企業の研究開発で論文博士になれる」というパスがあったこととも関係するかもしれません。また、そのシステムが日本の高度経済成長を支えていたことも。
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(更新) - 山本真義名古屋大学未来材料・システム研究所、名古屋大学大学院工学研究科電気工学専攻 教授別の視点
今の時流からすると、博士への支援制度を配備したとしても、博士号取得者の減少は避けられないでしょう。少子化対策と同じ流れです。研究者、子供を生む人の社会的なプレゼンスを高める啓蒙が必要になります。 もう少し広い目線に立つと、国策として博士号取得者を増やすことに力を注ぐかどうかも議論が必要です。博士号を取得するまで、学部4年、修士2年、博士3年の9年の年月が必要です。少子化が進めば、国内の就業者数が減っていきますが、研究のみに対して若手人材のエネルギーをここに投入していくのか?という視点も、今一度、考えなければなりません。 欧米や中国の政策が我が国にとって正しい、とは一概に言えないと思います。
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