「ザ・ノンフィクション」久保さんの婚活特集を見て思ったこと
先日オンエアした「ザ・ノンフィクション」の婚活特集について少しだけ書きたい。地上波の方は見れなかったので、遅ればせながらTVerで視聴してみた(なお、残念ながら今日時点では既に公開終了している。また、以下のあらすじなどの情報も、僕が深夜に缶ビールを片手に番組を見たその翌朝の頼りない記憶でメモしたレベルなので、事実関係などに多少誤りがあるかもしれないが、ご容赦いただきたい)。
僕は一度も婚活に挑んだことはないし、というか30手前になっても彼女すらできたことがないので、完全に「地を這いながらの低みの見物」の立場ではあるが、とはいえ他人がリアルに婚活で奮闘してる様子を見るのってなんでこんなに面白いんだろう。
ネット配信とかでやってる婚活リアリティーショーでもなかなかここまでのリアルさはないと思う。さすがはフジテレビといったところか(ちなみにザ・ノンフィクションシリーズだと「下町ガード下 酔いどれ人生」が一番の名作だと思う。YouTubeに違法アップされているのをたまに見てお酒を飲みながら涙を流しています。運営さん、頼むから消さないでね!)。
番組のあらすじ(ネタバレ注意)
この婚活特集は前編・後編に分かれていたが、放映時間のほとんどを割かれ、最も注目されていたのは、久保さん(仮名)という、31歳の介護士の男性だった。彼のほかには、50代だけど絶対に子どもが欲しいマンのおじさんとか、実家が極太で、最終的には親子ほど歳の離れたどこかの会社のお偉いさん(年収数億)と結婚して「妊活頑張りまぁす」とか言ってたセレブの女性が出ていたが、これらはどうでもいい。
さて、その久保さんであるが、どうやら神奈川県の割と田舎の方に在住しており、潰瘍性大腸炎がきっかけで大学を中退し、仕事を転々としたのち、専門学校に通って介護士の資格を取得した、という、かなりの苦労人のようだ。
「結婚がしたい!」と一念発起して彼が入会したのは、当番組でおなじみの「マリーミー」という結婚相談所。そこで彼が引き合わせられた相手は、年収2,000万円(彼の年収の6倍)、バツイチ40歳の女性であった。
お見合いでは、年収の低さに負い目を感じている久保さんは下手に出て、「自分の方が年収は低いので、家事は全力でやります、支えます」と申し出たり、相手の女性が、同居している兄弟が自閉症か何かを患っていると打ち明けたことに対しても、「僕、同居してもいいですよ」と即答したりなど、真面目さと優しさを必死でアピール。相手は感激し、そこで仮交際に進む。
しかし、生まれてから一度も恋愛経験がなかった久保さんは、初めてのデート中にいきなり「手をつなぎませんか?」と誘いかけるなど、暴走してしまい、相手を困惑させてしまう。
恋愛経験がないのも手伝って、相手に対して入れ込みすぎている久保さんに対し、結婚相談所の代表である植草氏は、冷静になるよう促すとともに、相手からのフィードバック、要は「外見がダサい」と言われたという事実を告げる。
それから久保さんは、服装を整えたり、相談所が提携している美容クリニックで脱毛したり、さらには年収を上げるためというのに加え、彼女に「土日休みの仕事がいい」と言われたので転職を決意するだけでなく、彼女の居住地(都内)に近い川崎市に転居するなど、彼女との真剣交際を意識した大胆な行動に出ていく。
あとは久保さんのこうした思いに応え、彼女が距離を近づけてくれればハッピーエンド・・・かに見えたが、突然相手から交際を終了されてしまう。他の男性と真剣交際に入ってしまったのだという。あっけない結末に、「転職までしたのにふざけんなよ!」と、久保さんが絶望の涙を流すシーンで番組は終わる。
世間の声を聞いてみる
僕の所感を書く前に、ちょっと気になったので、僕の古巣であるX(旧Twitter)における「世間の声」を覗いてみると、(予想通りというべきか)久保さんに対する厳しい意見で溢れていた。
大きく分けると彼の外見(清潔感の無さ)と、彼の人格(考え方の幼稚さや他責思考など)を非難するものの2つに分けられる。前者は分かりやすいだろう。お見合い中に冷や汗をかいて前髪がベタベタとか、ヒゲが濃いとか、小太りとか、色々指摘されていた。確かに番組を見ている限りでは事実だ。
でも久保さんは少なくとも僕のような醜男よりはよっぽど顔のパーツが整っているし(例えば二重だし)、世の中努力ではどうにもならないこともあるが、久保さんの場合は、指摘されていることを素直に改善できれば、一般的な女性の「清潔感」の足切りラインは多分越えられるのではないかと思う(僕がこんなことを言っても、何の慰めにもならないだろうけど)。
対して、彼の考え方については好き放題言われていた。「自分軸がない(転職を相手のせいにするなど)」「自分に自信がなさすぎる(ペコペコしすぎ、いい人止まり)」といったのは理解できるが、「相手の年収をアテにするテイカー気質」「友達がいない時点で終わってる」、さらには「責任感のない幼稚な人相」「何も考えずに生きてきた世間知らず」などなど。
単に罵倒したいだけのコメントや、下手すると人格否定や外見差別にもつながりかねないような棘のある言葉が並ぶ。たった1時間や2時間のドキュメンタリーを見ただけでまるで全部分かったかのような無責任な発言ばかりなのだが、実際、こういった炎上狙いともいえるポストがいいねをたくさん集めている(X自体がそういう構造にある)のは由々しき問題だ。
そして、こういうポストを見ていると、自分のメンタルにもジワジワとジャブが打たれているのが分かる。久保さんと自分の境遇は違うが、それでも共感できるところはあったから、見ていて辛いのだ。ただの便所の落書きというのは分かっているが、しかし世間にはこんな風に思っている人がこんなにも多いんだなぁ・・・。いや待て、こうやって不安に塗れたり、メンタルを無駄に消耗したりしないために僕はTwitterを止めたんじゃなかったのか。
所感
そもそもの企画について
閑話休題。僕の所感であるが、まずはこの企画のコンセプトについて、そもそも結婚相談所側が、なぜ彼が年収2,000万の女性と釣り合うと思ったのかについては疑問というか、ツッコミどころがある(男女逆はよくあるパターンだけど)。女性は基本的に上方婚で、自分よりも地位や経済力が高い男を選ぶように(本能的にも社会構造的にも)できていることは、相談所側が一番分かっているはずなのに。
そのほかにも、なぜ神奈川の田舎に住む彼がわざわざ、都内の一等地にあるハイスペ御用達の結婚相談所への入会を決めたのかも謎である。入会金や会費も相当高かったはずだ。まぁそのあたりをツッコんでいてもキリがないので、とりあえず、不器用な自分をこうやって見世物にして、批判が来ることも十分想定していただろうが、勇気を出して顔出しで出演した彼には最大限の敬意を表したいところだ。
久保さんへの共感と不安
久保さんに共感した場面はいくつかあったが、最も同情したのは、彼がインタビュー中、結婚相談所に入った動機を聞かれた際に呟いた、「友達もいないし、自分の味方になる存在が欲しかった」という旨の発言である。
同じ天涯孤独の身にとって、気持ちはすごくわかる。でもそれを結婚相手に求めるのは、かなり危ういと思う。僕もそうだが、この人は、今まで恋愛経験がないので、その長い長い孤独の期間を経て、交際相手なり結婚相手に期待するものが肥大化しすぎているのだと思う。だから、仮交際とはいえ、交際相手ができた瞬間に、いきなり「手をつなぎませんか?」など、舞い上がってしまい、これにX民からの非難が集中する事態となった。
その後も、彼女のことを考えて転職したとか、引っ越したとかいう様子を見ていると、「彼女のためだけではないとはいえ、ちょっと大丈夫かな・・・?」と心配になったし、(「テイカー気質」とかいうのは言い過ぎだとしても)少なくとも精神的には相手にのめり込んでいるように見えたから、もし真剣交際に入っていたとしても、良い結果にはならなかっただろうと思う。
「地雷確定」の身として
こうして考えてみると、世間が言うように、「恋愛経験がない」、その上「友達がいない」男が即地雷確定というのはその通りである。職場での出会いや友達からの紹介もないし(そもそも友達がいない)、マッチングアプリでは足切りされるしで、自由競争の恋愛ではどうにもこうにもできないので、男女交際を経験し、パートナーを得るための最終手段(ラストリゾート)として、結婚相談所の門を叩いてみようか、などと考えたこともあった。
しかし、(仮交際に至れたとして)おそらく間違いなく、今回の久保さんのようになってしまうだろう。「恋は盲目」の典型例だ。いや、それでたまたまうまくいくこともあるかもしれないが、少なくとも、他山の石ではないが、久保さんの事例を見る限りは、そこはかとない危うさを感じる。相手の女性に恐怖心を抱かせるようなことにもなりかねない。
この歳になって、恋愛の「れ」も知らないような人間が、いきなり「交際」だなんて言われたらどうなるか。いや、相手の女性に迷惑をかけたり、不甲斐ない自分の未熟さを噛みしめたりしながら一歩ずつ成長していくものだ。それが恋愛というものだろう。だが、それを10年前に経験しておくべきだった。あの頃(大学時代)はメンタルを病んでいたなどというのは言い訳にならない(心を病んでいても恋愛している人はいる)。このツケは、既に今後の人生を全てかけても払えないほどに大きい。
人生の唯一のパートナーとは
結婚願望があるかとド直球で聞かれたらよく分からないが、唯一の人生のパートナーが「お酒」という今の状態はなんとも危険なので、誰か隣に居てくれればなぁと思うこともある。しかし、身の程を知ることの重要性について、これまで経験してきた出来事から嫌というほどそう学んではいたが、このドキュメンタリーを見て、その思いを新たにしたところだ。
色んな記事で何度も似たようなことを言って恐縮だが、自分の味方は自分だけしかいない、一人で生きていくしかない、という決意というか覚悟が僕には必要だ。折しも20代の終わりかけという今、人間関係や恋愛関係を築くことは、20代までの僕にとっては「できない・向いていない」ことだった。これからの30代は、そういったことへリソースを割くのをやめ、自分が「できる」ことにのみ注力していきたいと思っている。(おわり)
・・・そういえば、男女論はもう懲り懲り、みたいな話を今年のnote書き初めの記事で言及したような気がするが、あれから2か月しか経っていないのにまたこんなことを書いてしまった。まぁ、男女論や恋愛や結婚に対する興味はそう簡単に消失することはない、ということなのだろう。少なくともXはもう懲り懲りだが、これからもnoteではアレコレ書くかもしれない。どうか大目に見てください。



初めまして。このザ・ノンフィクションのマリーミーの婚活シリーズは植草美幸さんが営んでいる結婚相談所と提携の脱毛店、娘が展開している婚活御用達婦人服のラインの売上のために提供している「ヤラセ」の番組で、見ていてわかるようにわざわざ婚活に不利な高齢女性や社会的弱者に近い男性介護職の方…
交際経験がない女性もいるから、そういう人とマッチングできてお互い暴走(?)できたらハッピーエンドなんだけどね。 恋愛への熱量が違いすぎると恐怖だからね。
アラサーで恋愛経験ない同士の恋愛、十数年遅れの青春みたいでいいですね笑 でもおっしゃるように、そうそう上手くはいかないんだろうなぁ⋯ 妄想にとどめておきます笑
他人に対して侮辱する境界知能共は最悪ですね… こいつらのせいで悲しんでいる人もたくさんいるのに
Twitterにはそんな人ばかりいますね