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産業人材の育成拠点、県立6高校を採択 3年で最大62億円支援

(更新)
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文部科学省は15日、公立高校の改革を支援する3000億円基金の公募で、静岡・富山両県の計6校を採択したと発表した。採択は今回が初めてで、各校は人工知能(AI)や理数系の教育を拡充する。技術革新や地域産業に貢献できる人材の輩出に向けた取り組みが本格始動する。

「生徒一人ひとりの可能性を引き出す改革にしたい」「採択校を出発点とし、県全体に改革を広げる」。両県の担当者は同日、採択を受けて意気込みを口にした。

高校を巡っては2026年度に授業料無償化が始まり、私立の人気が上昇すると指摘されている。大規模な基金は公立に改革を促すために創設された。

公募では静岡、富山両県が提出した計8校の改革計画を審査。このうち6校を支援対象となる「改革先導拠点」に選んだ。文科省は最終的に全国に同拠点を置く方針だ。

1都道府県につき3年間で計62億円を上限に支援し、地域産業関連や理数系の教育、多様な教育ニーズへの対応を後押しする。

静岡県は県立の4校が選ばれ、計62億円の支援が決まった。焼津水産高校は地元の水産業を担う即戦力人材の育成を強化する。

養殖の実習で使う「海水棟」を新設し、AIカメラや水中ドローンを導入する。24時間体制で観察やデータ解析が可能になる。缶詰製造・販売大手のはごろもフーズ(同県)や東海大学と連携し、流通から販売までのマネジメント能力を高める。

静岡中央高校は公営の学習塾や遠隔授業による手厚い学習支援を目指す。外国にルーツのある生徒や不登校の生徒らの多様なニーズに応える。

富山県は県立の2校が選ばれた。計23.5億円の支援を受ける。魚津高校は普通科で理数系教育を充実させる。3Dプリンターなど高度な機材をそろえた「探究棟」を造る。大学教員などの協力のもと、生成AIやデータサイエンスの講義も開く。

文科省が異例の規模で公立を支援する背景には、求められる人材の変化もある。

国の推計によると、AIやロボットといった先端技術の進展を受けて、理系人材やものづくり人材の需要が今後大幅に増える。

全国に約287万人いる高校生のうち、公立には65%が通い、工業や水産、農業といった専門高校も多くは公立だ。人材育成で担う役割は大きく、文科省は公立の教育や指導の見直しを急ぐ。

同省は2月には高校改革のグランドデザイン(基本方針)を公表。40年までに普通科の生徒の文理割合を半々にするほか、少子化が進行しても専門高校の生徒数は現状を維持する目標を盛り込んだ。

帝京大学の小入羽秀敬教授(教育行政学)は「学校単独で新しい取り組みをするのはリソースが少なく難しい。採択された改革計画には地元企業や大学など外部との連携が具体的に盛り込まれていて、実現可能性がある」と評価する。

公立高の志願者増につなげるためには「中学生に進学候補として考えてもらえるように、各校の改革内容や魅力を分かりやすく伝えていく必要がある」と指摘している。

(森紗良)

▼高校教育改革基金
正式名称は「高等学校教育改革促進基金」。2026年度に高校授業料無償化が始まるのを前に、25年度補正予算に約3000億円が計上された。文部科学省が「改革先導拠点」となる公立高を公募で選び、機能強化や魅力向上に必要な経費を3年間支援する。
公募では各都道府県が3〜4校の改革計画を提出。計画は①高度な技術で地域産業や社会を支える人材の育成②理数系や文理融合の学びの実践③遠隔授業などによる高校教育へのアクセス確保――の類型に沿って策定する。
同拠点で先行事例をつくり、他の高校に広げる。公募は計3回で、第1回には申請がなく、今回が2回目。第3回の採択結果は6月下旬に公表される見通し。

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