“発達障害の子の中学受験”を描いたコミックエッセイ…適切な教育方針を熱心に考える様子に「親の対応がすばらしい」【漫画】
コミックの映像化や、ドラマのコミカライズなどが多い今、エンタメ好きとしてチェックしておきたいホットなマンガ情報をお届けする「ザテレビジョン マンガ部」。今回は、エッセイ漫画を手がけるブロガー・モンズースーさんの『発達障害っ子の中学受験』をご紹介しよう。 【漫画】本エピソードを読む 同作は、実際にモンズースーさんが発達に特性のある子どもたちの中学受験を取材し、その様子を描いたエッセイ漫画。以前モンズースーさんのX(旧Twitter)に同作がポストされると、合計1500以上の「いいね」が寄せられている。そこで作者のモンズースーさんに、同作を描いたきっかけやこだわりについて話を伺った。 ■中学受験に向けた服薬で夫婦が対立…“得意を褒めて伸ばす”方針への転換で見えた息子の成長 実際にモンズースーさんが取材したのは、集団行動が苦手で些細なことで手を出してしまうハルキや、乳児期から発達が遅く不器用なジンといった子どもたちだ。 学校で問題児扱いされることも多かったハルキは、のちにADHDとASDの診断を受けた。小4の春から大手中学受験塾に通い始めるが、極端に低い国語の成績や本人の特性もあり、父親の熱血すぎる指導に母親は不安を募らせる。 通院先の医師から薬物療法を提案されたハルキ。父親は「本人の努力の成果ではなくなる」と猛反対し、両親の意見は対立してしまう。しかし、学校の先生からのアドバイスをきっかけに「得意な算数を褒めて伸ばす」方針へ切り替えると、数カ月後には算数につられて他教科の成績も上がり始めた。 打たれ強いハルキには父親の全力の指導が合っていると気づいた母親は、薬には頼らず、夫と息子の力を信じて成長を見守ることを決意するが…。 読者からは「親の対応がすばらしい」「この話題を広めてくれて感謝」などのコメントが寄せられている。 ■偏差値よりも“安心して通える場所探し”を…作者・モンズースーさんが作品に込めた思い ――『発達障害っ子の中学受験』を創作したきっかけや理由があればお教えください。 発達障害のある子どもの進路について考える中で、「中学受験」という選択肢もあると知ったことがきっかけです。 また、受験だけでなく、学校にもさまざまな選択肢があることを、同じように発達障害のある子を育てる保護者の方にも知ってもらえたらと思いました。また、受験という選択肢があることは知っていても、実際にどんなふうに受験をしているのか、当事者側の体験談はあまり見つけられませんでした。 そのため、数例ではありますが、実際の家庭の悩みや工夫を漫画として描きたいと思いました。 ――『発達障害っ子の中学受験』を描くうえでこだわった点や、「ここを見てほしい」というポイントがあればお教えください。 発達障害といっても、本当にいろいろなタイプの子がいるので、なるべく偏った描き方にならないよう意識しました。ありがたいことに取材させていただいたご家庭は、それぞれ違ったタイプのお子さんで、悩みや困りごともそれぞれ違っていました。 一方で、「受験がうまくいかなかった」というご家庭のお話は、なかなか聞くことができませんでした。ただ、調べていく中で、中学校には本当にさまざまな学校があり、第一志望ではなかったとしても、それぞれのお子さんに合った進学先を見つけているケースが多いことを知りました。 中学受験というと、「少しでも偏差値の高い学校を目指すもの」というイメージが強いかもしれません。でも実際には、「自分が過ごしやすい環境を探したい」「安心して通える場所を見つけたい」という思いから受験を選ぶ家庭もあることを、作品を通して感じてもらえたら嬉しいです。 ――『発達障害っ子の中学受験』のなかで特に気に入っているシーンやセリフがあれば、理由と共にお教えください。 コミュニケーションがとても苦手で、国語にも苦戦していたユイト君が、英語を得意になり、「なんで日本語は英語みたいに教えないの?」と自分の気持ちを親に伝える場面が特に印象に残っています。その言葉をきっかけに、親が「なぜユイト君は日本語がうまく使えなかったのか」に気づいていく流れは、描いていてとても印象深かったです。 こういう、それまで周囲からは「どうしてできないんだろう」と見えていたことに対して、本人が成長したことで、自分なりの感じ方や苦手だった理由を言葉にできるようになることは、発達障害のある子の子育ての中で時々あります。親には長年わからなかった謎が少し解けたような嬉しさもありますが、「もっと早く知ることができていたら」という気持ちにもなるので、特に印象に残っています。 また、このエピソードを当事者の方にお話しした際、「自分も日本語より英語の方が理解しやすかった」という声を何人かからいただきました。理由は人それぞれだと思いますが、学び方や言語との相性によって、理解しやすさが変わることもあるのだと知り、自分にとっても大きな発見になったシーンでした。 ――今後の展望や目標をお教えください。 これからも、発達障害など少数派の人たちのことを、漫画を通してわかりやすく発信していきたいと思っています。作品を通して、「こういう人もいるんだ」「こういう考え方もあるんだ」と平均とは少し違う人たちのことを知ってもらえるきっかけになったり、同じ少数派の人に「1人じゃない」と共感してもらえたりすると嬉しいです。 ――作品を楽しみにしている読者へメッセージをお願いします。 いつも作品を読んでくださり、本当にありがとうございます。コメントや感想、とても励みになっています。 作品を通して少しでも共感していただけたり、「こういう感じ方をする人もいるんだ」と何かを考えるきっかけになってもらえたら嬉しいです。