※別に誰とも付き合っていません
限界な大人達と巻き込まれる高校生の話
多分腐向け
名無しのスタッフさんが喋ります。
お誕生日おめでとうございます。
誕生日とは全く関係ない話ですが深夜テンションで書きました。
この界隈に入ったきっかけがtyなので今までもこれからもずっと最推しです。
追記
ありがたいことにランキングにのってしまったので非公開にしてました。再度公開します。ありがとうございます。(2024/08/26)
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・この作品はnmmnです。タグが理解できない方はブラウザバックをお願いします。
・この作品は腐向けです。自衛をお願いします。
・ブクマは必ず非公開。
・SNS等での拡散・コピー・スクショ等の世間の目、ご本人様の目に触れる行為は厳禁です。個人でお楽しみ下さい。
・現実と一切関係ありません。
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「………うわぁ…。」
控え室の扉を開けた剣持刀也の口から感嘆詞が漏れる。
理由は単純。これから撮影だと言うのに目に入る光景が異常すぎるからだ。
物凄い速度でパソコンを打ち込む加賀美、同じく文字なのか記号なのか分からない羅列を書類に書き綴る甲斐田の姿。2人揃って血走った目がガンギマっており、ピリついたどころじゃない雰囲気が充満している。まさに修羅場。
「……お疲れ様です…。」
一応の挨拶として言ってみるも案の定聞こえていないのか返事がない。
「…やばいな、これ。」
どうしたものかととりあえず手前の机の方にいる加賀美のもとへ。
「…お疲れ様です、社長。これから撮影ですけど、大丈夫ですか?」
「…え、あ!剣持さん!お疲れ様です。すみません散らかしてしまって…時間までには何とかしますから。」
「……。」
パソコンの周辺に無造作に置かれていた書類を慌てて整え、隈の張り付いた顔で笑ってみせる加賀美。ちらりと甲斐田の方を見るも同じ状況なのだろうと察する。
(正直、撮影を優先させるならまだ時間ある今のうちに休んで欲しいけど…急ぎの仕事とかだったら何も言えないしな…チラって見たけど多分ライバーじゃない方の仕事だし、甲斐田くんもそうだろうな…うーん…)
「…僕、なんか手伝えることあります?」
「いえいえそんな、申し訳ないですよ。大丈夫ですから。」
早く終わらせて少しでも休ませた方がベストだと思ってした提案はすぐに断られる。まぁそうだろうなとも思いつつもう一回だけ食い下がろう。飲み物買ってくるくらいだったらできるのだから。
「ほんとになんでもいいですよ。自販機とかコンビニとか…」
「…あぁ、それでしたら…」
ふらりと今にも倒れ込みそうな身体がこちらを向いて、僕の手を取る。
手を取る??
「結婚してください、剣持さん。」
「…………は?」
「あぁいや、すみません、間違えました。お嫁に来てくださればそれで大丈夫です。」
「さっきと何も変わってないけど?」
(あぁ、これはまじで休ませないとやばい。)
明らかに目が据わっている加賀美から手を振り切ろうとするも馬鹿力が発揮されているのかビクともしない。すると、
「…は?社長なに勝手なこと言ってんの?」
普段より数段低い声が響く。声の主の方を向けば書類を片手に掴んだまま甲斐田くんが隈のせいで迫力の増した睨みをきかせていた。
「ひっ…。」
「勝手なことってなんですか?剣持さんは私を案じてなんでもしてくれるというから結婚してくれとお願いしただけですけど?心配もされてない人は引っ込んでいてくれます?」
「いや、別になんでもとは言ってないけど…」
「はぁ?たまたま扉に近いとこに座っていただけで自意識過剰っすか?優しいもちさんがそんなことする訳ねーだろ。ちゃんと僕の方も見て僕の方も心配してくれましたよ。もちさんが照れ屋だから最初にこなかっただけで、社長は意識すらされてないんすよ。そんなことにも気づいてなかったんですか?」
「別に照れてないし意識もしてないけど…」
なぜか急に始まった喧嘩。本来なら仲裁に入るべきだが内容が内容で呆気に取られてしまう。
「だいたい!社長はいっつももちさんの隣陣取って構い倒して!いい歳してかまってちゃんとか正直痛いっすよ!いい加減適当にあしらわれてること自覚したらどうですか!!」
「かまってちゃんは貴方の方でしょう!貴方のボケの九割剣持さんのツッコミ待ちなのバレバレなんですよ!かがみもちのコンビ名が羨ましいなら素直にそう言えばいいのに子供みたいに意地張る人ですねぇ!!」
「……まじで何の話?」
二人とも立ち上がりギャーギャー繰り広げられるレスバ。自分の名前が逐一あがるのに何一つ会話を理解できないという謎状況に未だ混乱が収まらない。
そして、ガチャリと扉が開く。
「…おつかれぇーっす…」
「あ!ふわっち!お疲れ……うわぁ…。」
救世主登場かと現れた男を視認したとたん、再び剣持の顔が引き攣る。
よれたスーツ、崩れたメイクにぼさついた髪、そしてこっちにも濃い隈、おまけに片手にエナドリ。明らかに徹夜明け、仕事帰りである。
「…あぇ…?なんかみんな元気っすね…。」
「………ふわっち、今日寝てきた?」
「あぁ―……ちょっと時間なかったっすねぇ…」
いつも通りのへらりとした顔を浮かべ、まだ言い合ってる二人を見て呑気そうにしている。仲裁を頼もうと思ったが焦点の定まっていないホストでは無理そうだ。
これは流石に僕が止めるしかないと二人に向き直った途端、
「「不破さん!!」」
「社長がもちさんと結婚するとかほざくんですよ!絶対僕の方が相応しいですよね!!」
「は!?不破さん!私の方がこんな適当な人より幸せにできると思いませんか!?」
「は!?適当!?どの口が言ってんだ大雑把ゴリラぁ!」
「なんだとへっぴり甲斐田ぁ!」
「ぁえ〜…。」
「二人とも何言っとるん?もちさんはもう俺と結婚してるで?」
「「は?」」
「……は?」
思わず不破の方を見たのはほぼ掴みかかって喧嘩してる加賀美と甲斐田だけではなく僕もだ。本人なのに初耳である。
「な?永遠の愛誓い合ったやんな?」
「いや、存在しない記憶だから、それ。」
「な、な、剣持さん本当ですかそれ!!」
「そんな訳ないから。なんで信じてるの?」
「結婚したんですか!?僕以外のやつと!?」
「甲斐田くんそれどっかで聞いたことある。」
最悪だ。火に油どころか核爆弾ぶち込みやがった。これぞカオス。
なんでこうなったんだ?
てかなんでみんな僕と結婚したい前提で話が進むんだよ。そこからおかしいだろ。
止まないどころか悪化する喧騒の中、頭を抱えた剣持の背後でまた扉が開いた音がした。
「…あのぉ…そろそろ15分前なんで伝えにきたんですけど…どういう状況ですか?」
「スタッフさん…!あの、あそこのおっさんたちが疲労と睡眠不足で番組の趣旨と正反対の所まで堕ちちゃってるんで少しだけ遅れさせてもらってもいいですか?1時間…いや、30分とかだけでも…」
「あー…なるほど。了解です。どうにか1時間貰ってきますよ。」
「神!ありがとうございます!」
あまりにも醜い様子を指さしてお願いすれば全てを察してくれたらしいスタッフさんがグッドサインを残してスタジオに戻っていく。あとでスタッフ全員に頭下げに行こうと心に誓い、大人たちの中へ歩みを進めた。
「は!剣持さん!やはり結婚するなら私ですよね!!一番まともで大人で絶対に幸せにしますから!!」
「はぁ!?もちさん絶対僕にした方がいい!こんな中身ガキより僕の方がなんでもできるしもちさんの好奇心全部応えて見せるから!僕がこの中じゃ一番まともでしょ!!」
「は?晴お前が一番ガキだろ。もちさん、頭おかしい人は置いといて俺とデートの予定たてよっか。指輪も買いに行こうね。」
「「不破さん!!!」」
口を閉じることを知らない大人たちはわーわーと剣持を囲む。すうっと1つ深呼吸してから、まずは甲斐田の腹に一発。
「ぐふぅ!!」
そして加賀美の顎に一発。
「がっ!!」
最後に隣で倒れた二人を見て横向きのまま固まってる不破の首元に手刀で一発。
「かはっ!」
「…よし。」
とりあえず死屍累々を邪魔にならない部屋の端の方に頑張って寄せ、それぞれの上着を脱がせてブランケットのように被せた。
「はぁ、全く手のかかる大人たちだなぁ…。」
またため息をついてスタッフたちに事情を説明しに行こうと部屋を出た。
―
Dの温情により2時間たっぷり寝た三人は控え室で並んで正座している。目の前には椅子に座って台本を捲る剣持。無表情のままこちらに一瞥もくれない先輩に三人はますます顔を青くした。
「…あ、あの、剣持…さん…。」
おそるおそる声を発する加賀美。
「私たち…その、本当に申し訳…「2時間。」」
普段からは全く聞くことがない震えた声はピシャリと遮られる。
「最初2時間もらってコンディション整えるために貰ったプラス30分。」
「「「………。」」」
「今日がたまったま収録数が少なくてそれぞれ時間のかかるものじゃなかっただけで、Dもスタッフさんもエンジニアさんもみんな忙しいのに2時間半。」
「「「…………。」」」
「大声で騒ぎ立てるせいで他の部屋から何事かと様子見にくるスタッフやライバーたち。」
「「「………………。」」」
「これがカッコイイ大人、ねぇ。」
「「「本当に申し訳ありませんでしたぁ!!!」」」
綺麗に揃った土下座。高校生相手にいい歳した大人三人が並んで土下座してるのもある意味カオスだなと遠目で様子を伺っていたスタッフは思った。
「…あのね、僕も貴方たちの個人の仕事までとやかく言いませんよ。でも身体が資本なことぐらいいい加減理解しろ。忙しい日縫って来てるんだから収録がある日くらい体調管理ちゃんとやれ。」
「「「はい!!」」」
「残り15分ほどあるのでとっととそのボロボロの身なり整えてこい。遅れた分収録はいつもより巻きで行きますからね。グダついた奴は強制電気椅子の刑です。」
「「「はい!!」」」
「あと今の時間でスタッフ全員に土下座してこい。僕の時より深く頭下げるんだぞ。いいな、行け。」
「「「はい!!!!」」」
スタッフ陣からしてみれば何も思わなかったわけではないが、普段温厚で怒ってる所など見たこともない剣持の説教でほとんどスッキリしており、なんなら軍隊さながらの様子に吹き出す者もいた。
この後の撮影はもともとそんなに長引く企画ではなかったとはいえ驚くほどスムーズに終わり、結果的に遅れた分を補うほど巻きで終わった。
それからしばらくの間、収録がある度に剣持の機嫌を取ろうとする3人の姿がスタジオやら事務所やらで目撃されたという。
(おまけ)
「あの、なんかうやむやになっちゃったんですけど、僕らカミングアウトどころかプロポーズまでしちゃったんですけど…。」
「もしかして水に流してくれたりしたんですかね…。いくらなんでもあのプロポーズは私嫌なんですけど…。」
「俺なんかもちさんと同棲してる妄想までカミングアウトしちゃった…詰み…」
「アニキ…それは流石に引くっすよ…。」
「は?お前も二人暮し用の物件調べてたの知ってるんやからな。」
「なんで知ってんの!?」
「ちょっと、その話は後でになさい。問題は我々の気持ちがガチなのがバレたのかどうかでしょう?正直忘れててくれとは思いますけど…」
「「たしかに…」」
こそこそと控え室の隅で顔を合わせ話し合う三人。
「そんなとこで団子になって何してるんですか?」
突如現れる張本人。
「わぁ"ぁ"ぁ"剣持さん!!」
「うわうるさ。」
「いいいいいつから…っていうか、き、聞いてました…?」
「何が?っていうかそんなこそこそ喋ってて聞こえるわけないでしょ。何話してたの?」
「「「いえ何も!!」」」
あっそうと特に興味もなさげに扉の方へ向かう剣持。
「あれ、もうすぐ始まるけどもちさんどこいくん?」
「ちょっとトイレに。…あ、そうだ。」
剣持はくるりと振り返る。
「僕基本、告白だのプロポーズだのは断ってますけど、『カッコイイ大人』のプロポーズなら多少は聞いてあげないこともないですよ。『カッコイイ大人の』ならね。まぁこの間のプロポーズもどきは聞かなかったことにしてあげますよ。」
んべ、と舌を出し、びしっと中指をこちらに立て、三人の返事を待つこともなく部屋を出る。
閉じた扉を見つめたまま固まった三人は震えながらお互いを見合わせ、次の瞬間声にならない叫び声をあげた。
ニヤニヤが止まらない