「仮に夫婦が落としていても…」5歳児が家族風呂から行方不明、過熱するSNSの“犯人視” 弁護士が警告
●権利侵害が認められるかは…言い回しでも変わる
こうした投稿に問題はないのだろうか。ネット上の権利侵害の問題に詳しい清水陽平弁護士に聞いた。 ──「これ、仮に夫婦が窓から落としていても誰にもわからんやろ」のように、確認されていない事実を仮定の形でほのめかす投稿は、名誉毀損や侮辱罪などにあたる可能性がありますか。「仮に」「もし」と前置きすれば、責任を免れられるのでしょうか。 なかなか悩ましい問題です。文脈や言い回しなどによって、権利侵害が成立したり、しなかったりします。 投稿された記事の読み方は、一般の閲覧者の普通の注意と閲覧の仕方を基準にするとされています。 ですから、「仮に」や「もし」などの前置きをつけたとしても、読む側から見て事実上断言していると読み取られる場合には、そのように評価される可能性があります。 投稿によって親を犯人と断定するようなものもあるようであり、それについては親の社会的評価を低下させたり、名誉感情を侵害したりする余地があります。 一方で、「これ、仮に夫婦が窓から落としていても誰にもわからんやろ」のような内容は、断定しているというより、「そういった可能性がある」と指摘するにとどまるものです。権利侵害があると評価することは、やや難しいように思います。
●不用意な発言で責任を問われることもある
──行方不明事件の初期段階で、SNSに投稿する際に注意すべきことはありますか。 意見や論評をすることは広く認められており、それだけで直ちに権利侵害となるわけではありません。 しかし、根拠のない憶測を向けられた側が不快に感じたり、深く傷ついたりすることは容易に想像できます。また、投稿の内容や文脈によっては、不用意な発言が法的責任を問われる事態につながる可能性もあります。 そのため、十分な事実関係が明らかになっていない段階で、想像だけで他者を犯人視するような投稿は避けるべきでしょう。 【取材協力弁護士】 清水 陽平(しみず・ようへい)弁護士 インターネット上で行われる誹謗中傷の削除、投稿者の特定について注力しており、総務省の「発信者情報開示の在り方に関する研究会」(2020年)、「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」(2022~2023年) の構成員となった。主要著書として、「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル第5版(弘文堂)」などがあり、マンガ・ドラマ「しょせん他人事ですから~とある弁護士の本音の仕事~」の法律監修を行っている。 事務所名:法律事務所アルシエン 事務所URL:https://www.alcien.jp
弁護士ドットコムニュース編集部