アジア最大の犯罪組織「プリンス・グループ」トップの兄貴分は、日本に一時潜伏していた? 「複数の幹部が日本に逃げた」情報を追ったら…東京上空をまるで遊覧飛行(3回続きの③))
カンボジアの中国系巨大複合企業「プリンス・ホールディング・グループ」は、特殊詐欺に使う「詐欺団地」を無数に運営していた疑いがある。トップのチェン・ジー会長(陳志)が2026年1月、中国当局に引き渡された後、事情に詳しい関係者からこんな情報がもたらされた。 【写真】日本の高級物件を次々に買いあさり…その真の狙いは? 独自調査で判明した一等地の豪邸や億ション…即金で購入、すぐ転売 「アジア最大の犯罪組織」プリンスグループに迫る(3回続きの①)
「プリンスの複数の幹部が日本に逃げた」 実は同じような噂は、2025年10月にアメリカ、イギリスが「アジア最大の犯罪組織」と名指しして経済制裁を発表した際もささやかれていた。 私たち取材班はこれまで、日本国内でプリンス幹部らが投資した高級物件の存在を報道してきたが、幹部は本当に日本に潜伏していたのか。情報源からの示唆と、さまざまなデータを組み合わせ、その足取りを追った。(共同通信 角田隆一、鈴木快生、渡辺哲郎、武田惇志、敬称略) ▽専用機 まず着目したのは、プライベートジェット機だ。チェン会長らプリンス幹部はかつて、専用機の保有をSNSで誇示していた上、日本―カンボジアの直行便は2025年10月下旬までなかったためだ。そこで日本とプノンペンを行き来した小型機が、制裁発動の前後とチェン拘束の時期にどう動いていたのか、航空機が発する信号データを可視化した「フライトレーダー24」「ADS-Bエクスチェンジ」などで追跡した。
すると、普段はあまり往来がないカンボジアから日本へのプライベートジェット機の動きが、この二つの時期に活発になっていたことが分かった。主に中国系や欧州系のプライベートジェットのチャーター会社が運用する航空機だが、その乗客までは分からない。真の所有者を隠すアメリカの航空機信託会社の機体も、プノンペンから東京や大阪に向かっていた。 その中で唯一、持ち主が判明した小型機があった。フランスのダッソー社製のファルコン8Xで、登録国はサンマリノ。所有者は香港の資産管理会社「CN Breeze Hong Kong Limited.」(CNブリーズ)だった。この会社の社長は、香港当局の登記簿データベースによると胡晏銘(ウー・アンミン)という。 英国政府は2026年3月26日の追加制裁で、プリンス幹部の陳小二と胡晏銘が同一人物と断定している。私たちは、かつて胡が経営する香港上場企業が証券取引所に提出した文書を入手。そこにもこう書かれていた。