「オフィス内の便器はすべて和式とする」「社名を株主阿鼻叫喚ホールディングスとする」…個人投資家らの“悪ふざけ株主提案”が横行する「株ハラ」の実態
毎年6月は上場企業の定時株主総会が集中するシーズンで、今年も6月26日に開催のピークを迎える見込みだ。最近はアクティビスト(物言う株主)の動きが活発化しているほか、過去には一部の個人株主からまるで「悪ふざけ」のような株主提案が行なわれたケースがあり、これらは「株主ハラスメント(株ハラ)」とも言われる。実際に起こった「株ハラ」の実態とは――。 【写真】「オフィス内の便器はすべて和式とする」と株主提案された大手企業はこちら * * * 「(株)いよぎんホールディングスの社名を、(株)いよぎん株主阿鼻叫喚ホールディングスとする」 今年4月、愛媛県松山市に本社を置き、伊予銀行を中核とするいよぎんホールディングスに対し、こんな株主提案が行われた。6月の株主総会に向けたものだ。提案理由には「ケチ根性丸出し」「剰余金を役員会が湯水のごとく」など、同社に対する批判が並ぶ。 株主提案は、一定数以上の株式を保有する株主が、株主総会で議論・採決する議案を会社側に提出できる制度だ。上場企業の場合は原則として、6カ月以上継続して300個以上の議決権を持つ株主に認められている。大半の上場企業では100株ごとに1つの議決権が与えられるため、議決権300個は3万株に相当する。冒頭の株主提案を行ったのは、議決権数302個の個人株主だった。 制度について、金融資本市場を専門とする日本総研調査部の吉田剛士研究員はこう説明する。 「株主提案権制度は1981年に導入されました。それ以前は、少数の株式を取得した総会屋が株主総会で嫌がらせのような動議を乱発する問題がありました。そこで、総会屋の横行を防ぎつつ、個人株主・少数株主にも提案の機会を持たせるためにつくられたのがこの制度です。議決権300個以上のほかに(総株主の議決権の)『1%以上』でも認められますが、ほとんどの企業では議決権300個のほうが1%よりも必要数が少ないので、300個が事実上の基準になっています」 いわゆる大株主ではなくとも、会社の中・長期的な成長につながる視点から質の高い提案をする株主はおり、大規模に投資する一部の機関投資家だけでなく少数株主にも提案機会を設けることが、会社の成長や投資家の利益に資するとの考え方だという。