「オフィス内の便器はすべて和式とする」「社名を株主阿鼻叫喚ホールディングスとする」…個人投資家らの“悪ふざけ株主提案”が横行する「株ハラ」の実態
■野村ホールディングスなど大手企業でも… ただ、この株主提案を行うハードルが近年、急速に低下している。吉田さんは続ける。 「かつては議決権の単位を千株ごととしている企業が多数でしたが、2018年に全国の証券取引所で株の売買単位が100株に統一され、議決権も100株ごとが基本になりました。また、個人投資を呼び込むために株式分割も盛んに行われて、1議決権あたりの投資額はかつてよりかなり安くなる傾向にあります。一方、議決権300個で株主提案できるルールは制度導入以来変わっていません」 今では、数百万円あれば株主提案可能な大企業も少なくない。 同時に目立ってきたのが、乱用的な株主提案だ。いよぎんホールディングスを巡っては、2023年にも会社名を「(株)いよぎん内部留保第一主義リアルエステート」に変更するよう求める議案が提出された。提案者名は公開されていないが、今回と同数である議決権数302個の株主1人だった。 また、2025年には三菱UFJフィナンシャル・グループに対し、実業家の堀江貴文氏、NHK党(今年3月に「休眠」を発表)党首の立花孝志氏、「青汁王子」こと三崎優太氏の3人を社外取締役に選任するよう求める議案が出されている。 2020年には三井金属鉱業(現・三井金属)に対し、「役員および社員は排便の際、洋式便器の便座の上にまたがり、足腰を鍛錬」すること、「(資源節約のため)トイレットペーパーの代用品として古い新聞紙を使用」することなどを求める、という意味不明な提案がなされたこともあった。提案者は議決権数301個の株主1人で、会社側が株主総会の招集通知に記載しなければならない上限である10の議案を乱発している。10議案のなかには最高経営責任者と取締役会議長の兼任を禁止する提案などもあってすべてが乱用とは言えないが、一部は「悪ふざけ」と取られても仕方のないものだった。 少し前の事例では、「100株以上保有する株主にムーミンマグカップ又は同等のものを贈呈する」(2016年、フィンテックグローバル)、「(社名を野菜ホールディングス、略称はYHDとし、)営業マンは初対面の人に自己紹介をする際に必ず『野菜、ヘルシー、ダイエットと覚えてください』と前置きする」「オフィス内の便器はすべて和式とする」「取締役の社内での呼称は『クリスタル役』とし、代表取締役社長は代表クリスタル役社長と呼ぶ」(いずれも2012年、野村ホールディングス)などの例もある。