女優の演技とカメラが捉えた「残像」の貴重さ
本作で印象的なシーンの1つは、次女ちなみ(牧瀬)が事件を追う刑事・沖田に対して持ち前の奔放さで食ってかかる場面だ。「ちょっとあんたどこ見て運転してんのよ」「逃げる気!?刑事だろうとなんだろうと関係ないからね!」とまくし立てる序盤のシーンは、当時の彼女が持つ明るいエネルギーと女優としての爆発的な初期衝動を映し出している。ちなみは無邪気な笑顔から真剣な眼差しまで表情がクルクル変化するキャラで、アイドルから女優への過渡期にいた牧瀬のポテンシャルを示すシーンだ。
また長女すなみ(清水)は親友を襲った悲劇とある男の苦悩を目の当たりにした上で、自らの結婚式を迎える。妹たちに見守られながら「大人の女性」としての成長を象徴する、悲しみを乗り越えて新しい人生へと踏み出す長姉の姿。アイドルという消費される存在から、人生を生きる「女優」へと昇華した彼女の存在価値を決定づけた。
かつて、アイドルの輝きはライブやテレビ番組で瞬間的に消費されるものだった。しかし「アイドル映画」はその一瞬の輝きを物語の中に取り込み、永遠の「残像」としてフィルムに焼き付ける。
「四姉妹物語」は、当時のスターたちが持つ純粋な美しさと、それを打ち砕くような情念的な悲劇を対比させることで、観客がアイドルに求めた「遠い憧れ」を完成させた。
なおCS放送「衛星劇場」では、「スクリーンで輝いた80sアイドル映画まつり 第3弾」という特集のなかで1月30日(金)昼5時45分より「四姉妹物語」を放送。同局ではほかにも1月の同特集で「愛の陽炎」(1月9日[金]夜9:00ほか)「満月 MR.MOONLIGHT」(1月16日[金]夜7:15ほか)「STAY GOLD」(1月9日[金]夜7:30ほか)をオンエアするほか、本田美奈子. のライブを3作品放送するなど充実のラインナップを取り揃える。
アイドルの輝きは永遠に失われないが、その最たる魅力は時代とともに移り変わっていく。アイドルという存在のありようまで変化していくなか、当時の熱気とまばゆい輝きを切り取った映像作品はさまざまな意味で貴重だ。牧瀬たち当人のファンはもちろん、アイドルという文化の変遷を楽しむという目的でも、同作をはじめとした“アイドル映画”の世界に飛び込んでみて欲しい。
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