MBA太郎さん、ETFの信用買いで資産膨らみ2億円超
投信ブロガー
ブログ「MBAのインデックス投資日記」を運営する「MBA太郎」さんは、神戸市の賃貸住宅で暮らしている59歳の男性。エンジニアとして大手IT(情報技術)企業に勤めながら、国内の大学院で経営学修士(MBA)の学位を取得。2018年3月に退職してFIRE(経済的自立と早期リタイア)生活を送っている。
指数への連動を目指すインデックス投資に目覚めてから本格的な資産運用に乗り出し、上場投資信託(ETF)の信用買いも手掛けた結果、運用資産額は2億円を上回った。FIREしてからこれまでの年間運用益は平均で2000万円近くにのぼり、会社員時代の給与収入を優に超すという、MBA太郎さんの資産運用を聞いた。
運用益は年平均で2000万円
――投資を始めたきっかけは何でしたか。
「証券会社の営業員からの勧誘がきっかけです。24歳ごろから、勧められるまま、アクティブ型(積極運用型)の海外株ファンドと外国債券を買っていました。28歳で運用資産額は1000万円くらいに増えたのですが、債券には利益が出ていた一方で、アクティブ型ファンドは数百万円まで運用損が膨らみ、トータルではあまりもうかりませんでした」
「インデックス投資を知ったのはそれから25年くらいたった2014年のことです。仕事がとてもきつく、このままでは定年まで勤め上げるのは厳しいと感じ、本格的に資産運用するしかないと一念発起して投資に関する書籍を読みあさりました」
「中でもミスを減らすことが何より重要と説いている『敗者のゲーム』が役立ちました。その時には預貯金などを含めて7200万円あまりの資産があったので、平均狙いのインデックス投資なら自分でもできると自信を深め、年間で360万円ほどの運用益が見込めるよう、2年半ほどかけて計画的にインデックスファンドやETFを買い進めました」
――FIREに至った経緯を教えてください。
「仕事がきつかった半面、海外出向手当など給与には比較的恵まれていたので、投資に向けられる資金に余裕はありました。世界的な株高の流れに乗れたこともあって、インデックス投資を始めてから4年ほどで年間の運用益は1000万円以上と目標を大幅に上回り、運用資産額が1億円を超えた結果、FIREに踏み切れました」
「FIREしてからこれまでの運用益は年平均で2000万円近くと退職前の給料を優に超えています。23年は7400万円以上の運用益がありました(23年12月末時点)」
――なぜブログを始めたのですか。
「以前から投信ブロガーの方のサイトを参考にしていました。自分も書き手に回ってみたいと思い、15年3月にブログを立ち上げました。ブログでは運用資産額の推移、投資手法や自分なりの相場観を書き込んでいます」
アクティブファンドも1本だけ保有
――資産配分や投資手法について教えてください。
「インデックス投資を始めたころはまだ金融資産の大半が債券と現金でしたが、その後、金融ショックで株式相場が大幅調整するたびに、債券を売って株式型のETFやインデックスファンドを買い増していきました」
「現在は、投資先が米国株や米国株にレバレッジをかけたETFとインデックスファンドが大半で、債券の保有はごくわずかです。現金は当面の生活費を残してすべてファンド購入に振り向けています」
「運用の主体はあくまでインデックス投資ですが、運用担当者の相場見通しを聞く権利を得ることができるため、アクティブファンドを1本だけ、ほんの少額保有しています。個別株には一切投資していません(図A)」
「リスク資産額は2億2650万円に膨らみ、給与収入がなくなった18年の倍以上に増えました。自分なりの相場観に基づいてリスクをさらに取り、数年前からETFの信用買いを始めたのがその原動力です。ファンドを担保に入れて信用買いの購入資金を借りています。レバレッジ型ETFも信用買いの対象に加え、全資産額の15%程度が信用買い相当です」
「少額投資非課税制度(NISA)は一般NISAを利用していますが、資産額は合計500万円程度で資産の大半は特定口座で保有しています」
「24年からの新NISAではつみたて投資枠でも成長投資枠でも、米国の『NYSE FANG+指数』に連動するインデックスファンドのみを買うつもりです。10銘柄に集中投資するのでアクティブ型の色彩が濃くリスクも高いファンドですが、この1本だけで生涯投資枠を埋めても総資産の1割に満たないほどなので、許容範囲内と考えています」
インデックス投資を愚直に継続
――資産運用をしてよかったですか。
「高血圧に悩まされ降圧剤を服用しながら仕事をこなしていた時もありましたが、FIREしてからはストレスがなくなったせいか血圧も正常範囲まで下がりすっかり健康体に戻りました。資産運用でFIREできたおかげです」
――成功体験や失敗談はありますか。
「20年のコロナショックなど、株式相場の暴落時に債券を売って、株式型のETFやインデックスファンドに大胆に投資できたことで資産が大きく膨らみました」
「失敗したのは、21年11月に『米ナスダック100株価指数』に対して2倍の値動きを目指すファンドに投資したことです。高値づかみしてしまい、いまだに運用損を抱えています。市場が高揚している時に買い付けしてはいけないという教訓になりました」
「インデックス投資を本格的に始めた14年ごろは債券の比率が高かったので、株式の比率をもっと高めておけばさらによい運用成果が期待できたと思うともったいなかったです。当時は資産分散を重視していました。資産分散は大切な考え方ですが、今は債券への投資は不要という考えです」
――これから投資に踏み出す方にアドバイスを。
「資産形成への一番の近道は、インデックス投資を愚直に続けることです。誰にでもでき、大きな失敗を避けられる投資手法です。『投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year』の上位受賞ファンドの中から選ぶのもよいでしょう」
(QUICK資産運用研究所 聞き手は西本ゆき、高瀬浩)